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不運から4日目

 現在、4日目のゲームが終わってログアウトしたところである。

 3日目は穴掘り用の素材をひたすら探した。キーアイテムの翼竜の飛翔石(端的に言うとワープできる石)の登録先をワッズの牢獄に登録して、硬そうな物を見つけては、見てもらい。「ダメじゃ」と言われ。持って行けば「ダメじゃ」と言われ。。を何度も繰り返した。

 散々周辺を探しまくった挙句、結局最後にオーケーが出たのは、竜の巣にあった綱獣の骨だった。

 ワッズはクラフターのスキルもあるらしく、鋼獣の骨を使ってあっと言う間にスコップを2本作った。2本出来上がって嫌な予感がしたのは言うまでもない。

 4日目は案の定、穴掘りを手伝わされた。(穴掘りの目的は、牢獄の下階にある社までの脱獄ルートを作る為である)その日は、ひたすら肉体労働をする羽目になった。

 ある地点まで到達すると、ワッズから「明日また来い、その頃には終わっている」と知らせを受けて、クエストが進んだ。素直に明日また来てみよう。

 肉体労働によってレベルが上がるかな?と期待したが、まったくそんな事は無かった。Lv1のままである。

 そして解放された今、ログアウトしてロビー区画に戻ってきた。


「よろこべ、2号の勧誘に成功したぞ」

 ロリ博士が待ち構えていた。

「そりゃ、良かったな」

 1号は穴掘りで疲れて、気の利いた返しができない。疲れているのは、精神的にだが。

「ふふふ。14歳の女性だぞ」

 ロリ博士がふん反り返りながら、自分の成果を語る。

「なん、だと…。詳しく聞かせてくれ!」

 おっさんとは、どうしようもない生き物である。

「どうしようかなぁ」

 ロリ博士は、ニヤニヤした顔をしている。いつも忙しいと言う癖に、今回は話したいらしい。


 話しによると、2号は1号と同じく名前を代償に選択した。1号と同じく0時にログインして、さっきログアウトしたらしい。※1

 ロリ博士いわく、速攻やられた1号よりセンスを感じるだそうだ。俺は城の初侵入者だぞ、やれるのかオイ!(たまにはプロレスも言ってみたい)

 その後、ロリ博士は気分を良くしたのか、自慢話しに移行した。いや、聞きたいのはそこではないのですが。

 助手のウズキが乱入し博士を拉致するまで、延々訳の分からん武勇伝を聞いた。本当に忙しいのは伝わった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ふー、今日もおつかれでした」

 自分で自分を労う。無事に自分のアパートに帰って来れた安心から、お腹が減った。現在、朝の6時である。

「コンビニかな」


 このゲームをすると睡眠は必要なくなる。そもそも、「睡眠時を利用してみんなで遊ぼう」というコンセプトで立ち上がったプロジェクトらしい。

 ゲームにログインする際、まず実際の肉体から精神が切り離される。切り離された精神はゲームシステムのキャラクターデータとしてゲームサーバーに取り込まれ、ゲームにログインとなる。※2

 その後、実際の肉体はと言うと、脳を含めてシステムによってクリーニングされる。脳や肉体はゲームをプレイ中にストレスなく休止できる為、ログアウトして肉体に戻ると長時間睡眠のような怠い感じがするくらいだ。ログアウト時に帰る肉体がないなどのトラブルを避ける為に、肉体を保管する役目もある。


 薄暗いコンビニまでの道のりで、おばさんに声を掛けられた。だいぶ切羽詰まっていた。

「すいません!人を探しているのですが、中学生くらいの女の子を見ませんでした?」

「いや、見てないけど」

 おばさんが涙を溜めながら、続けて話した。

「いい子なんです。昨日急に施設を抜け出して、その時は近くで見つかったのですが、深夜ふと覗いたら、姿が見えなくて…」


 14歳、女性、昨日の深夜に突然消える、どっかで聞いたキーワード。

「おい、まさか」

 1号が呟く。

「心辺りがあるんですか?」

「いえ、勘違いかも知れませんが、その子の実家と言うか、昔住んでいた場所って探しましたか?」

「まさか、ここから歩いて行けない訳ではないですが、あの子は目が見えません」

 おばさんはあり得ないと、首を振る。

 ロリ博士の野郎、一番重要な情報を喋らなかったんじゃないのか。もしかして、2号は目が見えないんじゃないのか。


「あの、もしかしてその子、2号って名前ではないですか?」

 1号の発言はシステムで2号の本来の名前に置き代わり、おばさんに伝わる。


※1:初期設定のログイン時間は0時から6時となっている。開始時間は設定できるが、6時間を超えてのプレイはできない。長時間の肉体の乖離は本能的(自然)に動かしている呼吸器、心臓などに悪影響がでる事例がある。6時間を超えた場合は強制的にログアウトされる。

※2:肉体以外の心の部分をここでは精神という用語を用いる。ソウルはゴロ的に作者が好きではない。

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