いつもの俺たち
「あー・・暇だ」
時計を見てみると既に午後一時を指している。今日は四月の七日、月曜日。世間一般の大人は早朝から働きに出て昼休憩をしながら「今日も残り半日だな。」などと言って一息ついている時間であろう。高校生は今日が入学式だ。本来ならばこの俺も一年目の高校生活をスタートさせる歳である。しかし俺は高校に行っていない。いや、行かなかったという表現が最も当てはまるであろう。
世の中は不公平だ。
金持ちの家に生まれたやつが金持ちになる。
才能を持って生まれたやつが成功する。
そういう奴らは生まれた時から幸せになる道が既にできている。
俺は生まれた時から幸せになんてなれないことが決まっている。それに気づいた俺は徐々に道を踏み外していった。どうせ楽しくない人生だからどうなってもいい。どうせ退屈な人生なのだから道なんて踏み外してやろうと。そう思い始めたのがちょうど二年前、それから俺は同じような考え方をする仲間とつるみはじめた。
補導十五回、停学四回。俺が中学二年の春から卒業までに積み重ねた愚行の軌跡である。
特にすることもないにも関わらず深夜のコンビニの前で仲間とうろついたり、おいしくもない煙草をくわえて平日の真昼間からゲーセンに出没したり。とにかくこの頃の俺は常に道を踏み外してやろうと考えていた。
俺は母子家庭で母親は昼も夜も関係なしに働いているため、俺は家にいるときはほとんど一人であった。そのため深夜家を出ても特に親が何か言うようなこともなかった。
今の俺は世間から見たらゴミだ。十五歳にして高校にも行かず平日の昼間家でひとり何もせず過ごしている。
「今日も特にすることねぇな・・・」
俺は携帯電話の画面を眺め、慣れた手付きで電話帳の人物に電話をした。
「もしもし蓮?なに?」
言い忘れていたが俺の名前は南野蓮。身長は15歳にして180㎝体重は70キロとアスリート体系である。電話の相手は水梨有紗。中学のころの所謂悪友である。髪は金髪、性格は強気で男勝りだが身長は150㎝ほどで、とても華奢な身体つきである。
「今日暇?いつものコンビニに皆であつまらね?」
俺らは中学を卒業して、特にする事もない時にはよく集まっていた。
「いいよ~、夜は仕事だから18時位までだけど。」
有紗は夜の仕事をしている。俺とは違い自分のお金はしっかり稼いでいる。
「よし、他の皆は俺が呼んどくわ。15時にいつものコンビニで」
「は~い、また後でー。」
俺らはいつもこんな感じで集まっている。