私とたまご 7
人間の男の子視点。
最近のぼくの毎日の日課は、天使さまが大切に管理されている、たまご部屋がよい。
幾度となく繰り返し、たまごと会うために、足をはこぶことだった。
そんな中、17日目が無事に終わる。
もうすぐなんだなぁと思うと、ぼくの中からあふれだす、わくわくする気持ちが、抑えきれなくなった。
あと3日で、ぼくとたまごの、完全同調が終わる。
その日がきた時、この幻獣のたまごの、正式な主はぼくになるのだ。
その日を楽しみにしながら、たまご部屋についた時、部屋の中が妙にざわついていた。
何かあったのかなと、軽く首を傾げた時、天使さまのおひとりが、入り口からのぞいている、ぼくの存在に気がついた。
天使さまは、ぼくの前に大慌てで駆け寄ると、地面に頭をこすりつけて、深々と土下座を始めてしまう。
えっ?ええっ??えええっ???これっていったい何なわけ????
なにがなにやら、サッパリ訳が分からずに、立ちすくむ事しか出来ないぼく。
固まったままの、ぼくの立ち位置からは、チャパツを短く刈りこんだ、天使さまの頭がよく見えた。
あっ、天使さまの後頭部に左回りのつむじ発見。
ハッキリ言うと、ぼくは今、現実逃避をしている。
今のぼくは、なんとも言えないほどの、重苦しい不陰気に包まれているような、そんな気がした。
その状況が、しばらく続いた後で、ようやく顔上げた天使さまは、やはり土下座したままの状態で、土下座をしなければならない理由を語ってくれた。
天使さまの語られる、話のすべてを聞き終えた後、ぼくは思わず、ぞっとした。
ぼくのように、魂の熟練度を、鍛え上げるだけ鍛え上げて、十分に自信がついた後なら、何の問題もなく、上位のたまごを受けとる事が出来る。
だが、女の子の方は、ぼくとは違い、魂の熟練度が、ほとんど無い状態のままで、幻獣と共に、生きていかなければならないのだ。
話を聞いていくうちに、その女の子の事が、凄く心配になってきた。
天使さまは、女の子に渡すたまごが、使い魔のたまごだと、思っていたせいで、女の子とたまごの、完全同調すら、まるでしていなかった。
しかも女の子に、間違って渡されてしまった、幻獣のたまごは、ぼくとほとんど同調している。
天使さまが、ぼくに土下座している理由。
つまりそれは、天使さまの都合と不始末にて、ぼくに、これからかなりの無理を、させようとしていることへの、前もっての謝罪。
これからのスケジュールは、休む暇もいっさいなく、不眠不休で、たまご部屋に泊まり込み、別の幻獣のたまごとの間にて、同調を最初からのやり直す。
しかもたった10日の間に、完全同調を終わらせなければならないという無茶ぶりだった。
その後、10日間という無茶ぶりスケジュールを、ぐったりふらふらと、なりながらも、ぼくは、なんとか乗りきった。
完全同調、成功後すぐに、ぼくは天使さまにおぶわれなから、たまご部屋を出た後すぐに、転生の扉の前まで、連れてこられる。
10日遅れには、なったけれど、これからぼくは、新しい人生を生きる。
扉をくぐり抜けたぼくは、新たな人生を歩き出した。