私とたまご 3
天使視点。
天に属する、善良なる第6位天使の俺たちは、数人の同僚天使と共に、たまご部屋のお世話と管理を任されている。
ここで管理されているたまごは、全部で四種類あり、天獣のたまご、地獣のたまご、幻獣のたまご、そしてもっとも多く、一般的なのが使い魔のたまごだった。
まだ、第6位天使になりたてで、たまご部屋に配属されたばかの俺は、3日後に任される初めての大仕事の事ばかり考えていたため、とんでもない大ポカをやるはめになった。
そう、3日後、俺がたまご部屋担当になってから、初めて、幻獣のたまご受け取り試験を乗りきった男の子が、過酷なる運命つきの、特別なたまごを受けとりにくる事になっているのだ。何度も何度も、転生を繰り返した男の子が、自らの意志で、幻獣のたまごと共に、新たなる人生を歩き出そうとするはずだったのだが、俺の大ポカのせいで男の子が生まれる日が、10日間も伸びてしまった。
「900年も閉じ込められていた、不運な女の子には使い魔のたまごを受け取る資格があるのじゃ。」
そんな事を、いきなり神さまが、言い出したせいで、まるで準備されていない、使い魔のたまごを、大急ぎで渡さなければいけなくなった。
神さまの大ポカに巻き込まれるのは毎度の事だが、ここで神さまにつられて、俺まで大ポカをやらかしちまった。
と、言い出したいところだが、さすがにそれは言い訳だな、実際ポカやらかしたのは俺せいだしな。
そう、慌てて持ってきてしまったのは、以前から前もって、あの男の子のために用意していた、たまご。
幻獣のたまごを渡すはずだった男の子のたまごを、勘違いの末に取り間違えて、逆のたまごを渡してしまったのが、悪かった。
そもそも、使い魔のたまごは700年の間、転生を繰り返した魂が、資格を認められて、今生にて、一度きりたまごを手にする事が出来る。
生まれ変わるたび、リセットされるので、転生のたびに、使い魔のたまごのみ、ある、無しの自由選択が可能だが、天獣、地獣、そして幻獣は使い魔を、100回連続的に育て上げた強者だけが、三個のたまごから、輪廻転生含めて一度だけ、選ぶ事が出来る、特別なたまご。
天獣、地獣、幻獣のたまごをひとつ選べば、幾度の転生を主と共に、たまごから生まれて、主とと共にあり、主の死とと共にまた、たまごにもどるをくりかえす。
天獣、またわ、地獣との、二人三脚のすえに、幾度も繰り返される試練の果てに、主が天使、またわ、地使になる道へと導いていく。
だが俺は、一番最悪なたまごを渡してしまった。
何も知らないで、資格すらもなく、女の子は最悪な形で、たまごに名前を付けてしまった。
名前を付けてしまった以上、たまごを取り変える事も不可能になってしまった。
幻獣のたまご。それは、自らそのたまごを望んで、歴史に名をのこす可能性に、挑み続ける者のみに、神さまがあたえる特別なたまご。
そして、幻獣のたまごを手に入れた者は、歴史に名を刻むまでは、平穏無事な人生を送る事出来なくなる。
俺は覚悟決め、神さまのもとにあるきだす。
もしも、幻獣が、暴走した時は、あの女の子には止める事は出来ないだろう、その時は俺の決意を全てかけて、何としても止めてやる。
これが、俺ができる、ただ一つの償いだと思うから。