イリーナ母様の絵本語り 2
ルーチェ視点。
精霊溜まりとは、大精霊様のお力が最も強い場所の事です。
その場所は世界各地にあり、6大属性の中のひとつの属性の力にあふれています。
精霊溜まりからは、大小様々の力をもった、精霊や妖精たちが、数多く産まれます。
その場所のひとつに、見知らぬ神が降り立った時、世界中で、恐怖と悲劇と悲しみの、始まりとなりました。
その神は、精霊溜まりを汚して、邪気溜まりに変えると、その邪気溜まりにあふれる力を束ねて、魔王という存在をこの世に産み出しました。
魔王は、自らを産み出した神を、邪神様と呼び、崇め従います。
魔王は邪気溜まりを使い、魔族を次々と産み出しました。
魔王に産み出された魔族は、魔王を自らの主と認め、忠誠を誓います。
沢山の精霊たちや妖精たちが、邪気にふれるたびに、その存在を砕かれて、邪気溜まりの中に、取り込まれていきました。
さらに、放置されている邪気溜まりからは、定期的に魔物が生まれて、世界中に散らばっていきます。
魔族から、身を守る術のない地上の人々は、救いを求めて、天上神殿、あるいは、地神殿へと集まりました。
天の神さまは、戦う意志の強い者たちを選び出し、戦うため術と天獣、そして使い魔を授けます。
地の神様は、守りたいと強く思う者たちを選ぶと、守り癒やすための術と、地獣、そして使い魔を授けました。
こうして、魔族と戦う術と力、または、魔族から非力な人々を守り、癒やすための術と力を、手に入れた人々が、魔族と戦っていく事になるのです。
「さあ、2人とも、今日のお話はここまでよ」
イリーナママはそう言うと、私を抱き上げて、ママたちの寝室に連れて行こうとする。
「やぁ、もっと」
舌っ足らずな言葉で、何とか、もう少しだけ話が聞きたいと、駄々をこねる。
「ねえ、母様。ルーチェはまだ聞きたそうだよ、だからもう少しだけ」
お兄ちゃんも、続きが聞きたいのだろう。
たが、私をダシに言いかけた途中で、口を閉じる。
「母様の、言うことを聞かない悪い子は、どの子かな」
いつの間にか、仕事から帰ってきてたオルトパパが、後ろからお兄ちゃんを抱っこしたまま、ニッコリ笑って、私たちに聞く。
「父様、お帰りなさい」
抱っこされたままお兄ちゃんが言う。
その後は、大きなベッドに横になると、イリーナママの子守歌を聴きながら、家族みんなで寝むりました。