イリーナ母様の絵本語り
最初はお兄ちゃん視点で、最後のほうに、白猫視点になります。
暖炉には赤々と炎が灯り、窓の外には深々と雪が降っている。
この、暖かな部屋には、家族みんなが集まっている。
今から母様が、みんなに、絵本、読んでくれるのだ。
「今日はどの本を読みましょうか?」
「始まりの物語がいいよ」
僕の言葉に母様は頷くと、絵本をひらいて読み初めた。
天の神さまと地の神様が、何も無いこの地に降り立ちました。
まず天の神さまが、「光よあれ」というと、光の大精霊様が産まれました。
光の大精霊様が天を指差すと、太陽が生まれ、世界が光につつまれます。
続いて地の神様が「闇よあれ」というと、闇の大精霊様が産まれました。
闇の大精霊様が天を指差すと、月と星が生まれ、世界の半分を闇がおおいます。
天の神さまが「風よあれ」と言うと、続いて地の神様が「土よあれ」と言いました。
風の大精霊様と、地の大精霊様が産まれました。
そして、風の大精霊様からは空が生まれ、地の大精霊様からは、大地が生まれます。
続いて、地の神様が「炎よあれ」と言うと、火の大精霊様が産まれました。
火の大精霊様が大地を指差すと、大地の中を炎がめぐり、土を焼き溶かしながら、大地のあちこちに山を生み出し、ヨウガンとなって大地の上に、流れ落ちていきます。
最後に天の神さまが「水よあれ」と言うと、水の大精霊様が産まれました。
水の大精霊様が空を指差すと、空いちめんを雲がおおいつくし、激しい雨が地上全てに、降りそそぎました。
地上の炎を消し去っても、雨はやむ事はなく、大地すらも飲み込んでしまうほどです。
見かねた地の神様は、地の大精霊様に、大地を半分へこませるように言いました。
水はへこんだ大地めがけて流れ込んでいきます。
ようやく雨がやむころには、大地に広大な海がひとつと、川や湖が、アチラコチラに生まれていました。
2人の神様と6人の大精霊様は、こうして次々と、世界に必要な全てを産み出していくのでした。
絵本が読み終わったあとに、ぐっすりと寝てしまっている2人の子供たちを見て、二人の親は幸せそうに微笑みあっている。
それを白猫のアルが見て、「フニャン」とひと声ないていた。