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こんな風に、産まれてきた私
ルーチェ視点。
初めは体中がひめいをあげるほど、ぎゅうぎゅうに締め付けられた。
死にそうと思うほど、本当に痛かった。
なのにさらなる試練がおとずれる。
今までは、お腹の管から息をしていたのに、突然その管を切られてしまった。
急に、体内に入る空気が途切れて、窒息するかと思う。
だが、直ぐに口から息をすることを本能的に悟り、思いっきり息を吸い込こんだ。
息を吐き出すとともに、大声で私は泣き叫ぶ。
だけど、周りにいた女の人たちは、泣き叫ぶ私を見て、ホッとあんどの笑みを浮かべている。
「奥さま、おめでとうございます。」
40過ぎくらいの、ふくよかな女の人が涙ぐみながら、お祝いの言葉を言っている。
「奥さま、元気いっぱいな、女のお子様でございすよ」
にこやかに、白衣を着た二十歳前後の、女のお医者さんも続けて言う。
女の人は疲れきっていて、ぐったりとしていた。
でも、その人は優しく微笑んで、私のホッペタをなでてくれる。
この人が、私のお母さんなんだ。
騒がしくなっていくなかでも、へとへとに疲れきっている私は、抗えないほどの眠気に誘われて、夢の中へと旅立っていった。