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僕、白猫と会う
お兄ちゃん視点。
その日、僕は白猫を拾った。
全然汚れのない、真っ白い毛並みに、エメラルドグリーン瞳。
僕の足下に体をこすりつけてニャアンと鳴いた。
「かわいい」
思わずつぶやく。
人懐っこくって、僕はひとめで気に入った。
お昼ご飯のサンドイッチを、白猫と半分こにしながら、いっしょに食べる。
僕が帰ろうとすると、白猫も後をついてくる。
すごく気になって、何度も後を振り返える。
「僕についてきちゃだめだよ」
何度そう言っても、白猫は「ニャンニャン」と鳴きながらついてくる。
最後に根負けした僕は、白猫を抱き上げて家に帰った。
両親の部屋に入った僕は、ふたりの前で、猫を抱き上げてよく見せる。
「お願いがあるんだ。この子を家で飼いたいって思っているんだけど、父様、母様、飼ってもいいかな」
動物好きのふたりは、白猫を気にいってくれて、飼ってもいいって言ってくれた。
僕は白猫にアルという名前をつける。
こうしてこの日、白猫は僕たちの家族になった。