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私とたまご 15
ルーチェ視点。
幾度と繰り返される、まどろみと目覚め。
眠っている間にも、幾度なく繰り返し聞こえてくるのは、たくさんの声。
ルーチェリア、ルーチェ、どうやらそれが、私の名前みたい。
目覚めるたびに何も見えず、私の心は声もでないのに、泣き叫ぶ。
声は聞こえているのに、何も見えなくてこわい。
ここには誰もいない。
トクン、トクン、規則正しい心臓の音は、少しだけ私を慰めてくれる。
(やだ、やだ、ひとりぼっちはこわくて、いやだよう)
泣きくたびれて、再びまどろみの中の私は覚えていない。
(ルーチェは、ひとりぼっちなんかじゃないよ)
ルーチェの心の中のたまごが、念話をつむぎながら、フルフルとゆれる。
(だってルーチェの中には、いつだって、メルがいるんだからね)
眠りの中の私は、メルの声の安心感に包まれながら微笑んで、深く深く眠っていました。