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私とたまご 14
緑の髪と焦げ茶色の瞳。
耳が長くて、森の民の娘であるエルスことわたしは、エルフ族である。
たまたま旅の途中に、この町にある、地神殿に寄ることにしようと思った。
「レオン様、そんなに急いで走られたら、あふないですよ」
角を曲がってすぐに、男の子がわたしに向かって、勢い良くぶつかってきた。
わたしはぶつかった男の子が転びそうになるのを、慌てて受け止める。
「君、こんな町中で、あんなふうに走ったらあふないよ」
「ごめんなさいお姉さん」
「レオン様が、申し訳ありませんでした」
男の子に付き添っていた、男の人が、わたしに頭を下げ謝る。
「マシュウも、ごめんなさい」
レオン君が、付き添いの男の人にも謝った。
「たいしたことはなかったんだから、頭を上げてください」
そんなこんなで、わたしとレオン君はこの日、友達になり、わたしは町をいろいろ案内してもらう。
この時から、わたしは小さな友達に会いに、何度もこの町を、訪れるようになるのだ。
エルス視点。