私とたまご 11
とある地使のおじさん視点
久しぶりに、学生時代の悪友が、おれを呼び出した。
第三地使長であるおれは、ハッキリ言って忙しく、呼び出した相手が彼女(おれの恋人という意味では、断じてない)でさえなければ、会うつもりもなかった。
「確かアンタん所、可愛い姪っ子がいるよね」
「ああいるが、それがなんかあるのか?」
彼女を見ると、楽しげに笑っている。
「アタシてば、君の姪っ子ちゃんの事、凄く気に入っちゃたんだよね」
おれが口を挟む間もなく、彼女が続ける。
「あんな可愛い子に、お姉様とか呼ばれてみたい」
「姪はやらん、ふざけているなら、おれは帰るぞ」軽く、睨みつけてやる。
「ふざけたつもりは、無かったんだけど。まあいいや、話をかえる」
ようやく話し出した彼女、聞いていくうちに、おれの眉間にシワがよる。
全て聞き終えたあと、おれは言った。
「つまり、お前ん所のボケナスな弟の、帳尻合わせの為に、おれの可愛い姪を貸せと言うのか」
「護衛対象者が、女の子だからね。それに君の姪っ子は、現役のヘドロ狩りで、腕もたつ。しかも、対象者と同じ女性、まさに適任というわけ」
「もしも、アタシのお願い聞いてくれるなら、今までたて替えた飲み屋のツケ、結構な額になるんだけど、全部ちゃらにしちゃうよ」
「弟のせいで迷惑をかける、姪っ子ちゃんには、さらにオマケで、アタシが作った、武器と防具もプレゼント」
悪友三人組の中で、一番の稼ぎ頭の彼女は、超がつくほど最上級の、神力道具や、神力武器、神力防具などを作り上げる、天が誇る、ただひとりの大天才。
今や彼女の作品は、目玉が飛び出るほど高く、おれの給料じゃあ、とてもじゃあないが、買うことなんて出来はしない。
姪よ、すまん。心の中で思わずわびながら、おれはこの話を受け入れた。