表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の×と君の愛  作者: さなちゃ
第一章 始まりの×
8/10

第七話 俺の×と君の壁

ご覧いただきありがとうございます。

よければ感想等を頂けると嬉しいです!

 ゴールデンウィーク明けの憂鬱な学校。数学で埋まっている机。

 一時間目が終わると、瑠惟佳(るいか)が俺の(もと)にやってきた。

「はーくん、数Ⅱの教科書貸して」

「いいよ、はい」

 一時間目は数学Ⅱだったので机の上にある教科書をそのまま渡す。瑠惟佳は俺の前の席にいる愛菜(あいな)に話しかける。

「あ、愛菜ちゃんやっほー」

「やっほー瑠惟佳ちゃん。教科書忘れたの?」

「うん。だからはーくんに借りに来た」

「そーなんだー。前も体操着借りてたしねー」

 二人とも顔はにこやかだが内心は全く読めない。

「幼馴染の仲だからね」

「…そっかー。あ、そういえば、この前羽緒と一緒に水族館行ってー…」

 何故か二人の間に言葉にできない何かが生まれていることを俺は察した。俺の気のせいならいいが。

「…でねー、それが面白くってさ」

「あ、ごめん私もう戻らなきゃ」

「オッケーじゃあまた今度ねー」

 瑠惟佳は強制的に話を切り上げたようだ。

「うん。はーくん教科書ありがとー。授業終わったら返すねー」

 そういって自分のクラスに帰っていった。ただ一つ…俺を妬む男どもの視線を置いて。



 放課後になり、俺はバイトに向かう。週四日程度でファミレスのバイトをしている。学校が終わってすぐ行けるように学校の最寄りから一駅の場所だ。だからたまに同じ高校のやつに出会うわけだが…。

 今回はどうやら一味違うらしい。瑠惟佳と(かける)がご来店してきた。当然仲の悪い翔が俺のバ先など知るわけがないが、瑠惟佳にも言っていなかったのはミスだった。最高に気まずい戦いが、今ここにある。

「あ、はーくんだ。やっほー」

「るいか、さっきぶり。二人だよね」

「うん」

「ご案内いたします」

 気まずい!瑠惟佳は別に構わないのだが、その後ろから翔のとてつもない視線を感じる。

「こちらの席でございます。注文が決まり次第そちらのベルでお呼びください」

「はーい」

 本当に心臓に悪い。というか、なんでこの二人が一緒にファミレスに来ているのかが気になった。現に二人は同じクラスだったはずだが、そこまで仲がいいようには見えない。まあ俺には関係のない話だ。注文を取るときも同じように瑠惟佳と受け答えし、同じように翔に睨まれる。

 そして今日はさらにもう一スパイス加えてくるらしい。偶然愛菜が女友達と一緒に入店してくる。いや、愛菜の場合俺のバ先を知っているから偶然ではない。

「あ、はおだー。偶然だね」

 わざとらしいにやけ顔で話しかけてくる。

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」

「無視すんじゃないよ」

「四名様ですね。お席にご案内いたします」

「ちょっと!」

 席に案内していると、愛菜の横にいた女子が話しかけてくる。

「羽緒、久しぶり」

 この落ち着いた声は愛菜ではなく___友達の董花(とうか)であった。きれいなロングヘアだが無造作におろされていて常にぼーっとしているような幽霊のような見た目をしている。

「久しぶり、董花。…この席に座って」

 すると董花は手を俺の方に置き背伸びして耳元で話しかける。

「愛菜で、いつまで遊んでんの?」

「は、どういう…」

 少し冷たいような、かといって見捨てたわけではないような目でこちらを見る。

「そのままの、意味。これは、警告。退くか、進むか。早く決めたほうが、いいんじゃない?」

 心当たりがないわけでは全くない。でも今までこれで上手くやってきたし、これからもそうやっていくつもりだ。

「…ご忠告どうも」

 こんな性格の董花と愛菜はなぜ仲がいいのか、未だに謎のままだ。



 注文を取ったり料理を運んだり、やることはいつもと変わらないのだが今日は疲れが早く溜まった。そして愛菜たちに料理を運ぶとき、またもや愛菜に話しかけられる。

「ねえ、あそこに瑠惟佳ちゃんいるよね。前に座ってるのって、彼氏?」

「多分違うんじゃね?」

「なんで羽緒がそう言えるの」

「だってあいつも同じ小学校だし、あの二人はそんな仲いいイメージないし」

「本当は仲良かったりするんじゃないのー?羽緒が知らないところで色々あるのかもよ?」

 意地悪のつもりで言ったのだろうが俺にはノーダメージだ。痛くも痒くもない。

「別に何だっていいよ。他人の恋愛や友達事情に首突っ込むほど野暮じゃないし」

「そっか」

「もう戻んなきゃいけないから。じゃあな」

「あ、はお…」

 俺は厨房に戻った。問題というものは答えを出さなければならないものだが、考えすぎると頭が痛くなる。そんな体力、今日はもう残っていない。

 最初に帰ったのは翔だった。瑠惟佳はまだ残るようで何かあったのだろうか。まあ何もなかったら別々で帰るなんてことしないだろう。次に愛菜や董花たちが帰った。帰り際にも愛菜は話しかけてきたが、董花は何も言ってこなかった。

 俺のシフトが終わるまで瑠惟佳は残っていた。メッセージで一緒に帰ろうと言ってきたので店の外で待っていた。辺りはすっかり暗くなり、店の灯りだけが俺を照らす。

「バイトおつかれ」

「ありがとう。俺を待ってたの?」

「もちろん。今日ははーくんに頼みがあってね」

「…頼み?」

「そう」

 今日言わなきゃいけないことが何なのか、想像もつかない。

「えーっとね、」


 ___今日、はーくんちに泊めてくれない?


「…え?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ