魔法の国
……ここは、魔法の国。
ここでは、魔法がたくさん暮らしています。
炎の魔法に、水の魔法。
何かを見る魔法に、誰かを虜にする魔法。
時間に振り回される魔法に、新しいものを生み出す魔法。
痛みを消す魔法に、夢を引っ張り出す魔法。
ありふれた魔法も、個性豊かな魔法も、それなりに仲良く暮らしています。
魔法はすべて…、使われたあと、この国に来るんです。
役目を果たした魔法も、発動しなかった魔法も、すべて…この世界に来るのです!
命を持つものは、命を終えたら天国に行くでしょう?
命を持たないものは、命を得たら地上に行くでしょう?
魔法も、おなじなんです。
場所が変わっても、魔法は魔法です。
肉体が変わっても、魂は魂なのと、ちょっと似ています。
命じゃないから生まれ変わることがない…、違いはそれだけなんです。
魔法は、この世界で自由に過ごしています。
何度も呼び出されるものもいれば、一度しか呼ばれないものもいますが…、みんな、のほほんと暮らしています。
星を滅ぼした魔法は、髪の毛を乾かす魔法とラブラブです。
お屋敷を作れなかった土魔法は、かさぶたをはがす魔法とケンカばかりしています。
鑑定魔法は、偽装魔法と親友です。
植物を枯らす魔法は、クリーン魔法にフラレて落ち込んでいます。
空を飛ぶ魔法は、からかい過ぎたことが原因で召喚魔法から嫌われてしまいました。
いろんな魔法が、思い思いに過ごしています。
自分が誰に使われて何をしたかなんて、そこまで気にしちゃいません。
……魔法は、魔法でしかありません。
しかし、誰かに使われることで、心を持ちました。
使い捨てられた悲しみが集まって、この世界はうまれたのかもしれません。
使ってもらえた喜びが集まって、この世界は存在できているのかもしれません。
魔法は、正直なところ…、心を与えた存在が気にはなっています。
けれど、魔法は命ではないので…、直接相まみえる事は叶いません。
のんびりお茶を飲みながら、他愛もない話で花を咲かせることはできないのです。
もしもの話で盛り上がる事はありますが…、ただそれだけで収束してしまうんです。
少しだけ、霊の世界に憧れる命と似ていますね。
なんとなく、神という存在に縋って生きる人間っぽいですね。
命というシステムがなくなったら…、対面することができるかも?
魔法という理が無くなったら…、交流が始まるかも?
……この世界には、実績のない魔法がずいぶん…増えたんです。
魔法のない世界で、魔法が放たれるパターンが増えているからでしょう。
魔法のない世界で、魔法が唱えられるパターンが増えているからでしょう。
ここに来ることのできない魔法も、たくさん生まれているようです。
いつか誰かに唱えてもらって、心を得て、ここに来れると良いなあと思います。
まだまだしばらく…、魔法の国は大きくなり続ける事でしょう。
いつか…、魔法が何かを生みだす時代が来るかもしれませんね?
何かが変わるかもしれません。
何も変わらないかもしれません。
先のことは…、誰にも分りません。
ただ…、確かなことが、1つだけあります。
それは、命のない魔法の国では『命を奪い合う必要がない』という事です。
何かを奪い合う必要がないこの国で、魔法たちがどんな風に過ごしているのか…少しだけ、紹介しようと思います。
のんびりとお茶を飲みながら、のぞいていって下さいね!




