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6月11日
翌日、教室の空気はさらに冷たくなっていた。
琴音が教室に入ると、ざわつきが止み、みんなの視線が一斉に自分に向けられた。
「見て、あいつまだいるよ」
「ほんと、嘘つきだよね」
「なんであんなこと言ったんだろ」
囁き声が琴音の耳に刺さる。胸がぎゅっと締め付けられた。
琴音は俯きながら席に着くが、誰も話しかけてこない。
陽菜の取り巻きグループが、遠くからニヤニヤと琴音を見ている。
琴音は涙が溢れてくるのを止められなかった。
心の中の孤独がどんどん膨らみ、誰にも頼れない絶望が重くのしかかった。
周りの冷たい視線が、まるで自分を無価値にしてしまうようで……。
琴音は小さく呟いた。
「もう、誰も信じられない……」