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第1話 基本理念。
アーダの所属するアグネスメイド派遣協会は、所属人数20名。もちろんその道のプロが育て上げられている。主にメイドの産休や急に使用人が大量にやめてしまった場合のつなぎ、当主の入れ替わりで一時的に使用人が大量に必要な場合などに先方からの依頼によって派遣される。派遣先の選定や派遣する人材の選定はやり手ババア、アグネス統括部長が行う。オーナーの名は伏せられている。
「今回のあなたの派遣先はディーター伯爵邸です。幽霊騒ぎがあったらしくてね、気味悪がってお掃除メイドがやめてしまったらしい。よろしくね。」
呼ばれたのはお掃除メイドのアーダ。こげ茶のおかっぱ眼鏡。瞳は緑。
「今回は、あまり先方の情報がないので、まあ、気を付けて。」
「はい。」
「この協会の基本理念は?」
「はい。生きて無事に帰ってくること。たんまり稼いでくること。です。」
「はい。良く出来ました。では、よろしく。」