七晩と七日目の記録
視界はふつう暗いもので、目を開けても結果はあまり変わらないはずだった。だから目覚めた瞬間、瞼を開く前からおかしいと思いはした。
恐る恐る瞼を開く。
見たことのないたくさんの色がそこにはあった。
「おう、起きたか」
野太い声の主の手前でぱちぱち音を立てるのは、焚き火と言うのだと教わった。連れの男たちの向こう、はるか遠くの稜線からは光の筋が生まれようとしている。
「まぶしいか。まともに見たら目が潰れるぞ」
揶揄を真に受け、慌てて目を閉じる。数人の連れがいっせいに笑い出した。
「期待すんのは勝手だが、そんなにいいとこでもねぇぞ」
暗い住処を出てから七晩と七日。
初めて見るものだらけの旅には、まだまだ先があるらしい。
運営さんが変わられて、第1回。
毎月300字小説企画、お題は「初」でした。
年明け1本目なので、展望の明るいお話がいいよね! ということで。