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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

懐かしの味

作者: 二度寝る者

 遠出の途中で何気なく立ち寄った酒場で、見つけた。



「ねえちゃん、あっちの兄ちゃんが食ってるのと同じのをくれ!」

「ハンゴかい?大丈夫かねぇ…ありゃ好きな人は好きだけど、正直苦手な人も多いのよ?」


 間違いない、ご飯だ。業界人がひっくり返したか、あるいは飯盒から変化してハンゴなんて呼ばれるようになったんだろう。もうとっくに諦めていたものがこんな所にあったとは!


「食った事ならいくらでもある!なんなら前払いでもいいから早く頼む!」


 見慣れたものより大きいな。形としては長粒種、1センチ長もある。そして味は…マズい。噛んだ瞬間の弾力は良しとして、その後はぼそぼそと口の中で崩れていく。全力で感じとろうとしたけれども甘味はない。

 まぁ仕方ないかもしれない。粒の大きさが違えば上手に炊く加減も変わってくるだろう。何より日本の米は品種改良を重ねたものを丹精こめて育てた努力の結晶、美味しくて当たり前なのだ!さほど定着してないであろうこの世界とは作り手の情熱が違う。


 とはいえ米は米だ。工夫次第でそれなりに食べられるだろう。雑炊なら少々失敗しても誤魔化しが効くはずだ。



「ねえちゃん、このハンゴの、材料分けてくんねぇか?家で食べたいんだ」

「これは日持ちもしないし、扱いが難しいからやめときなよ。どうしても家で食べたきゃ出来たのを持ちかえりゃいいしさ。」



 日持ち?扱いが悪けりゃ劣化も早いという事か?あるいは虫がわくのか?魔物扱いされてる種もあるくらいだ、日本より厄介なのはいるだろう。だが、ご飯の為ならこの程度の障害、乗り越えてみせよう。



「大丈夫だ、近頃はご無沙汰してたが故郷では珍しくないものだ。懐かしの味を自分で料理してみたいんだよ」

 


 どうにか押しきった。部屋に帰って観察してみると既に精米済みのようで胚芽もついてない。残念だが栽培に関しては後回しだ。後日この辺りの農家を当たろう。早速明日からいろいろ調理法を試してみよう。




 その夜は心が逸ってなかなか寝つけなかった。





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         ハンターアント


 魔物化した蟻である。時に100万を超す数で群を形成し明らかな意思疎通を以て連携し大敵を倒し食い尽くす。群の個体数が足りない場合、幼虫は魔力を消費し瞬時に成虫となる特徴があり、魔力で一時的に補った栄養分を摂取する為に非常に攻撃的になる。

 繁殖力の高さから一部地域では縁起物として卵を食べる習慣がある。

お目通しありがとうございました。山場を読み手様の想像力に丸投げするスタイル、受け付けない方はごめんなさい。

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