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―幕間― 地下66階情景描写神視点
―― intermission ――
66階の扉を開くと、土の風景が広がっている。
石造りの家並みは白で統一され、みな律儀に角張っていて、中東辺りの街並みを思わせる。
道が真っ直ぐに伸びて、広場に接続する造りは76階と同じだ。
だがそこに豪奢な聖堂はない。
代わりにあるのは箱形の建物。建物というより施設という言葉の方が似合っている。無機質で、美術の立体作品みたいで、どことなく宗教的な感じがする。扉は開け放たれ、中はやけに賑わっていた。
広場には川が流れ込み、中央に泉を作っている。水の恵みで緑に溢れ、周囲に立ち並ぶのはバザールの露天。その風景はまるで土の街のオアシスだった。
広場を西に抜けると、小高い丘の斜面を利用した住宅街がある。
厳しい坂と階段、照りつける太陽が、体力を著しく奪う。
隙間なく並ぶ建物、複雑に絡み合う道が、進む足を惑わせる。
まるで迷路みたいな住宅街。
その乱雑さのせいで、やけにひと気の少ない一角がある。
建物群の谷間。
階段を下りた先には、隠れるようにしてドアがある。