5 戦いに出る前に
のほほんと見てもらえたらありがたいです。
「冒険がしたいっ!!」
ログインして宿屋から出てきたところで、アッシュが右腕を上げた。
「いや、してるだろ?」
俺は首をひねる。
「ちがう!ダンジョンみたいなところ、入ってみたい!!」
「あー、俺、それは行ったことないなぁ。冒険者ギルドで聞いてみるかー。」
俺たちは冒険者ギルドに向かって歩き始めた。
「ラシュも行ったことないんだな。」
「俺は訓練所とその辺の草原までしか行ってねーよ。」
「筋トレしてたんだもんあー、それもそうか。」
「魔法剣士になるために必死だったからな。」
「なんで魔法剣士にしようと思ったんだ?」
「両方できるとお得そうじゃん。」
「その分大変だったんだな。」
「そうだな。」
「あ、あの売店の肉、うまそう!買っていこうぜ。」
「えー、確かにうまそうだけど、装備買えなくなるぜ?」
「冒険は逃げねえだろ?」
「まあ、そうだなー。」
「でも、あの熱々のお肉は今しかない!」
「たぶん、明日もやってるぜ?」
「でも、俺が食べたいのは今なんだ!」
「はいはい、じゃー、食べてくか。」
俺たちは屋台の串焼きを買い食いしながら歩きだした。
「んめー!」
「すげーな、ダイブシステム。味まで分かるようになってるのか。」
「・・・腹が膨れた気がする。」
「・・・気分的にな。」
「俺、これのために戦えるかもしれない。」
「あははは。」
そんな馬鹿話をしながらようやく冒険者ギルドについた。
「えーっと、地図売ってそうなとこは・・・分かんねーな。受付行くか。」
「すみませーん、ダンジョンってどこですかー?」
マイペースに受付に突撃したのはアッシュだ。
「はい、ダンジョンですか?ギルドカードをお見せください。」
さわやかな笑顔で迎えてくれたのは、茶髪のポニーテールの受付のお姉さんだ。
「え?ギルドカードってどこだっけ?」
アッシュが慌てている。
「インベントリに入っているだろ?」
「あ、あった!はい。」
ラシュが後ろから教えると、アッシュはインベントリからギルドカードを取り出した。
「すみません、今のレベルでは、ダンジョンへ入ることはできません。
レベル20からダンジョンへ入ることができます。
レベル20になってからまたおいでください。」
「そうなんかー。じゃあ、また来るよ。ありがとなー。」
アッシュは受付のNPCに挨拶して別れた。俺たちは冒険者ギルドから出た。
「おれ、まだレベル5だからしばらく難しいな。」
「いや、昨日始めたばっかりなんだから、仕方ないだろ。
今度は草原じゃなくて森に行こうぜ。」
「それいいな!森から、どんな敵が出るんだろう?楽しみだな。」
「とりあえず、昨日、回復薬使ってなくなってるから買いに行こう。」
「あ、それは大事だな。
昨日はサイカがいてくれたから回復できたけど、おれたちは回復スキルもってないもんな。」
「スキルポイントためるか、スクロール買えば回復スキルをもてるだろうけど、
スキルポイントは高そうなんだよなー。もともと攻撃系のつもりだったからな。」
「ふーん。まあ、店に売ってるんだろ?じゃあ買いに行こうぜ。」
俺たちは薬屋に向かって歩き出した。
「・・・いらっしゃいませ。何になさいますか?」
緑色の屋根の建物に、大きく「薬」と書いてある店に入ると、柔らかい笑顔のおばあちゃんがいた。物腰柔らかそうなおばあちゃんだ。
「回復薬が欲しいんだ!」
「体力回復薬ですか?
水だと、5回復。
お茶だと、10回復。
スポーツドリンクで、50回復。
栄養ドリンクで100回復します。
今のところよく売れているのは、スポーツドリンクですが、いかがされますか?」
「ポーションとかじゃないんだな?」
アッシュがつぶやくと、おばあちゃんが丁寧に解説してくれる。
「ポーションは魔力回復薬ですから、1本で50回復して1000ポイントかかりますよ。」
「そっかー。体力回復薬と魔力回復薬で違うのかー。」
アッシュは感心して頷いている。
「俺らの体力だと、お茶かスポーツドリンクだな。」
「じゃあ、5本ずつで。」
「合計10本、まいどありがとうございます。」
「えーっと、お金はギルドカードが使えるんだっけ?」
「ええ、ギルドカードでポイントの支払いができますよ。」
アッシュがギルドカードを出して、支払う。
俺はその周りにあるもの見ていて、気になるものを見つけた。
「なあ、おばあちゃん、これは傷薬?」
「ああ、そうですよ。絆創膏は5回復。傷薬は20回復ですよ。
でもねぇ、傷薬は傷口に塗らないといけないからあまり需要がなくてねぇ。」
「確かに、戦闘中に塗り薬はぬれないな。でも、20も回復するなら3つくれないか?」
「おやおや、もの好きだねぇ。はいよ。」
「ラシュ、買うのか?」
「戦ってないときに使ったらいいんだろ?飲むばっかりだと、腹が膨れそうじゃん。」
「確かに。」
俺たちは買い物をして店を出た。
歩いて町の門を通り、草原へ出た。遠くのほうに森が見える。
「森、遠いなぁ。」
「草原で終わらないようにがんばろうぜ。」
俺たちは草原で出てくるモンスターと闘いながら森に向かって進み続けた。
次は戦う・・・はずです。