女の子は電車と
がたんごとん がたんごとん
「ねぇねぇ、電車さん どこへ行くの」
「どこまででもさ」
外はひんやり寒い秋の日電車は進む
「ねぇねぇ、電車さん 寒くないの」
「寒くないさ」
がたんごとん がたんごとん
女の子が電車に向かって話す
それに車掌が裏声で返す
「ねぇねぇ、電車さん 疲れないの」
「疲れないさ」
電車は最低限しか話さなかった
「ねぇねぇ、電車さん 歌ってよ」
「わかったよ」 がたんごとん がたんごとん
線路を電車が走る
電車が線路を走る
線路は電車を走れない
「ねぇねぇ、電車さん」
「何だい」
「なんでもないの」
女の子は笑った