知らない街
知らない街には、
知らない人たちばかり。
知っている街でさえ、
知らない人が多いのに、
知らない街では、
知らない人たちしかいない。
知らないって怖いね、って、
知ってる人と共感したいけど、
知らないが溢れているから、
知ってしまったんだ、独りを。
知らない道で迷った時、
知らない街を満たしている、
知らない空気がどうしようもなく怖かった。
知らない天井は見飽きたから、
知っているものを、せめて、って、
知らない街の真ん中で立ち尽くす。
知らない夜空を眺めたら、
知っている夜の月がいて、
知らないって、独りって、怖いね、って呟いた。
知らない間に、そうやって私も、
知らない人になっていくのです。