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6話 朝はいつでも訪れる

 朝。

 目が覚めた。


「おはようございます、ルイフェさま」

「おはよ、クロエちゃん」


 ちょうどクロエちゃんも目が覚めたみたいだ。

 ベッドの上で、にっこりと微笑み合う。


「気持ちのいい朝だね」


 体を起こして、ベッドから降りた。

 窓の向こうを見ると、眩しい太陽。

 青い空に白い雲。


 私の心を表しているみたいに、とても良い天気だった。


「クロエちゃん。すごく良い天気だよ。ほら、あそこで小鳥さんが鳴いて……」

「ごほぉっ!!!?」

「えええええぇっ!!!?」


 また例の発作!?


 あわわわ!?

 ベッドの上に血の湖が!

 穏やかな朝が一転して、物々しい殺人現場に!!!


「あら……すいません。私、またやってしまいました」


 クロエちゃんは、なぜか……本当になんで? ……ピンピンしていた。


 落ち着いた様子で、枕元にあるティッシュで口元を拭う。


「あ、あのー……クロエちゃん、大丈夫?」

「はい。お騒がせしてしまい、申しわけありません」

「大丈夫ならいいんだけど……」


 うーん、やっぱり気になる。

 クロエちゃんはピンピンしているけど、こんなに血を吐くっていうことは、体に良くないよね?


 なにかの病気なのかな?

 でも、大量に吐血しながらも平気な病気なんて、聞いたことないし……

 まあ、人間のことはあまり詳しくないから、私の知らない病気があってもおかしくないんだけどね。


 いっそのこと、アストさんとミリアさんに聞いてみようかな?




――――――――――




 クロエちゃんの発作の後始末をして……


 私たちは普段着に着替えて、リビングに移動した。


「わあっ、良い匂い!」


 焼きたての香ばしいパンの匂いに、私は目をキラキラさせた。


 テーブルの上には、焼いたばかりのパン。

 それと、サラダとスープ。

 おいしそうなごはんだ。


「おはよう、二人とも」

「おはよう。ぐっすり眠れたかしら?」


 アストさんは席について、新聞を読んでいた。

 ミリアさんは朝食の準備。

 みんなの席を回り、コップに牛乳を注ぐ。


「はいっ、よく眠れました!」

「そうか、それは良かった」

「さあ、準備ができたわ。ごはんにしましょう」

「はい、お母さま」


 席に座り、いただきますと唱和。


 バターをパンに塗り、さっそく一口。


「ん~~~♪」


 外はサクッとしていて、中はふわふわ。

 バターの旨味が染み込んでいて、すごくおいしい!


「このパン、すごくおいしいですね!」

「気に入ったのですか?」

「うんっ、すっごく!」

「そのパンは、お母さまの手作りなんですよ」

「へー、そうなんだ。クロエちゃんがうらやましいなあ。こんなおいしいパンを、毎朝食べられるなんて」

「これからは、ルイフェさまも一緒に食べられますよ」

「あ、そっか」


 にっこりと笑い合う。

 そんな私たちを、アストさんとミリアさんは、微笑ましそうに見守っていた。


 これが、人間の『家族』の形なのかな?

 すごく温かい。


 でも……魔族も、あまり変わらない。

 お父さんとお母さんと一緒にごはんを食べる時は……お父さんは、少しうるさいけど……楽しくて賑やかで、温かい、って思える時間だった。


 人間も魔族も、基本的なところは変わらないのかな?

 それなら、なんで争っているんだろう?

 うーん、謎だよね。


「あのー、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」


 食事の最中にどうかと思ったけど、二人はこの後仕事があるから、話をする時間は今くらいしかないだろう。

 そう判断して、私は口を開いた。


「クロエちゃんって、なにかの病気……なんですよね?」

「ああ……うむ。そのことか……」

「それは……」


 ハーヴェイ夫妻が揃って難しい顔をした。


 あわわ。

 やっぱり、気軽に聞いちゃいけないことだったかな?

 私、空気を読まないで、踏み込みすぎた?


「病気らしいですわ」


 両親に代わり、クロエちゃんが答えた。


「……らしい?」

「定期的に発作が起きるのですが、見ての通り、命の危険があるわけではなくて、ピンピンしていまして……お医者さまは、このような病は見たことがないと」

「クロエの言う通りなんだ。色々なお医者さまに診てもらったのだけど、誰も治療法を見つけられなくてね」

「なんとかしたいのだけど……でも、どうしようもないというのが現状なのよ」

「そうなんですか……」


 もしも私が、定期的に血を吐いて、まともに運動することができない体だとしたら?

 きっと、すごく辛いと思う。

 友だちを作ることができないだろうし、寂しいと思う。


 自分で考えてみると、ものすごく胸が痛くなった。


 クロエちゃんの力になりたい!


「あの……私に、診察をさせてもらえませんか?」

「えっ、ルイフェさんが?」

「はい。私のちか……魔法なら、原因がわかるかも」


 ここで、私は一つの仮設を立てていた。


 クロエちゃんの体を蝕んでいるのは、病じゃなくて呪いでは?


 たくさんのお医者さんが診て、何一つわからないっていうのは、ちょっとおかしい。

 原因は病じゃない、って考える方が自然だ。


 だとしたら、本当の原因はなにか?


 一つだけ、心当たりがある。

 『呪い』だ。


 魔族なので、呪いに関する知識は豊富だ。

 それに、本をたくさん読んでいたから、呪いについては……正確に言うと、それ以外の知識も……普通の魔族以上に詳しい。

 そんな私が見る限り、クロエちゃんの症状は、呪いに似ているんだよね。


 呪いって、色々な種類があるんだけど……基本的に、相手を苦しめるための魔法だ。

 生かさず殺さず。

 真綿で首を締めるように、ジワジワといたぶる。

 そんな悪趣味な魔法なんだよね。


 吐血をするものの、命の危険はない……まさに、呪いの症状だ。

 呪いが原因なら、なんとかできるかもしれない。


 なにしろ、私は『魔王』なんだからね。


「クロエちゃん。私に任せてくれないかな?」

「……はい。よろしくお願いいたします」

「絶対に、治してみせるからね!」


 クロエちゃんの手を握り、私は決意を表明するように、強く言った。

こちらもミスで、一日に二度目の投稿を……

次を書かないと。


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