『予告』
初投稿作品です……。
至らないところばかりですが、お手柔らかに、お手柔らかによろしくお願いします……。
――この少年は異世界というものに憧れを抱いていた。
そこでは中世風の建物が並び、様々な人や物が所狭しととひしめき合い、中には亜人や獣人と呼ばれる者たちやドラゴンといった空想上の生物もいたりなんかする、剣と魔法のファンタジー世界。彼は何度もその世界に思いを馳せ、頭の中で夢想した。
そして何より少年が思い描く異世界には、彼が求める自由があった。スクールカーストやテストの成績、そんなものに一喜一憂することに飽き飽きしていた少年には、自分を抑圧することなく表現できる世界がとても眩しかった。
異世界ならば無個性を絵にかいたような自分でも、何かしらの存在意義を見出せるのかもしれない。
そんな風に考えるようになったのは一体いつ頃からだろうか。
「異世界召喚」
それが少年の持つ儚い願い。
決して叶うはずのない泡沫の夢――
しかし、
神の悪戯か、それとも悪魔の奸計か、はたまた誰かの思惑なのか。
時が経ち、それは叶う。
――最悪の形で、はあるが。
彼は想像していなかった。否、するはずもなかった。
自分が憧れていた世界は、きっと自分にとって住み心地のいい優しい世界なのだと、そう信じていた。そう……決めつけていた。
ましてや――、
異世界にとって自分が排除すべき異物、「敵」だなんてこと――
『怠惰だのぉ』
失意の中、少年・雨守テルマは悪魔と出会う。
そして始まる、あまもり少年の異世界奇譚。