表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六つの運命  作者: 柿音
8/8

第7話 「恐怖」

また始めてみました。色々初めの話から編集しつつ、次話を投稿していきたいなと思います。

第7話



「誰だ...。お前。どうして、俺の名を知っている...!」


アリマは、心の中の感情を抑えながら、彼に問いかけるように叫ぶ。


「ははっ。そーいう顔、だぁーいすき。」


茶色の髪をもつ青年は笑う。飽きないくらいに笑い、そして、笑う。目の前の”独りぼっち”の王子を見つめて。


”なぁー、あんたはわかってるんだろ。アリマ・ウルメディア。あんたが一番、自分自身のことを。わかってるはずだ。”


「俺は、ルーザ。下の名は無い。」


ルーザと名乗る青年はニヤリと笑う。そして、ゆっくりとアリマに近づく。一歩。また、一歩。


ガサッ ガサッ


アリマの中で何かが刻まれる。一秒一秒、悲しみが、自分の中の何かが、おかしくなっていきそうだった。


「ねぇー。」

「!」


アリマがハッと顔をあげるとルーザの顔が目の前にあった。ルーザはやはり笑う。何か考えてるような。余裕のあるような。


”俺を、全て知っているような。”


「まだ、言ってないんでしょ。お前の本当のこと。お前がとっても、弱いということ。お前はまだ、ここにいてはいけない。それを言いに来ただけだ。」


ルーザは、ニヤリとまた笑う。そして、アリマから、ゆっくり離れる。

何が起こっているのか、何を言われてるのか。アリマは、まだ理解できない。いや、理解なんてとっくにできてる。ただ、理解したくないのだ。認めたくない。自分で自分自分自身を否定したくないと欲が出てくる。


「じゃぁーねー。アリマ王子ー。」


一瞬にして消えた。その言葉だけ残し、移動魔法を使ったのだ。


バサッ


「はぁーはぁー。」


一瞬にして力が抜けた。アリマは、膝を地面につける。今は体に力が入らない。ただただ、恐怖だけが、込み上げてくる。震えが止まらない。これは安心してなのか。いや、これからの怖さだけだ。


”なんで、あいつは、何を知っている。俺の、何を、何を…。”


輝く月はいったいどこにいったのだろうか。どこの雲に隠れているかさえ分からない。




バタッ


宿に戻った。扉をゆっくり閉める。彼を起こさないように。先程と同じベッドにしっかりと膨らみがあった。メイラは深い眠りにしっかりついているようだ。

アリマは、それを確認して隣のベッドに横になる。なにも今はどーでもいい。ただ、この感情を、恐怖を、だれか、止めてくれないか。


「メイラ。」


その言葉は、メイラには、届かない。




「さぁーて。これからどうするの?メイラ。」


翌日、宿から出て、広場で四人、今後どうするかを話していた。青い空が広がっていた。ルミーナはメイラに問いかける。


「さぁー。どうすりゃいーんだか。ルミーナは、どうなんだ?

見たいとこ。あるか?」

「そうか。うーん。特に。世界を見たいって言ったけど、自分で何をすればい

 いか、正直分かんないんだよね。」


二人が話している、最中。リリアは気づく。アリマの異変を。いつもとは明らかに違う。表現が暗い。


「アリマ…?」

「!」


アリマはいきなり名前を呼ばれ体をビクッとさせる。その二人を見て、メイラとルミーナをアリマを見つめる。


「今日どうしたの?」


リリアがアリマの顔を見つめ呟く。アリマは、大丈夫大丈夫と、手を横に振る。


「アリマ、どーした?何か言いたいことでも?」


メイラがアリマに近づき訪ねる?アリマは、メイラと顔を合わせないように下をずっと見ている。その行動にメイラは、アリマの肩をガシッと、力強く握る。


「下向いてたらわかんねぇー‼何がが気に入らないんだ!?なんか、あったん

 だろ?言ってみろよ‼」


メイラは、少々怒り交じ、アリマに叫んだ。ちょっとメイラ。と、ルミーナは、メイラに告げるが、メイラは、聞く耳すらもたない。


「…いくせに。」


アリマがボソッと呟く。


「は?なんだよ!?」


そのメイラの言葉の直後、


ガシッ


左手で、肩にのっているメイラの手を思いっきりはらった。


「だから、何も知らないくせに…!!!」


そう叫んでアリマは走ってしまった。どこかわからない。無我夢中で走っていった。


”なんだよ。なんだよ。俺は…。何をやっているんだ。”


そんな思いを秘め、アリマはひたすら走った。


「…。アリ…マ。」


赤い髪の彼の後ろ姿をただ黙って見ることしかできなかった。ルミーナもリリアも何が起きたのか分からなかった。メイラも、何が起きたのかと、ただ立っていることしか。できなかった。

空は青い空を隠し、曇り空、灰色の空となっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ