第6話 「理由」
久しぶりの投稿です。遅れて申し訳ないです。
第6話
ルミーナとリリアが買い物に言っている間、メイラとアリマは先に宿へ行っていた。今日買い物を済ませ、どこに行くか決めて、明日出よう。そういう話になっていた。部屋は2つとった。男子と女子で、2人ずつ。メイラとアリマは「4」と書かれた部屋へ入った。
「はぁー。」
メイラは2つあるベッドの右の方に腰を下ろした。アリマは先ほどまでかぶっていた白いフードを外す。真っ赤に熟した林檎のような髪、エメラルドグリーンの瞳がはっきりと分かった。つい見とれてしまうような髪と瞳だ。こんな綺麗な物を隠さなければならないのか。メイラは思う。
「なぁ、アリマ。やっぱり今日はなんか変だぞ。おまえ、どうした。」
メイラが問いかけるのに、
「なんでもないよ。」
と、やっぱりこの返答だ。
「なんでもねぇーじゃないだろ!」
メイラはベッドから立ち上がり、アリマの腕を掴んだ。
「なにかあったら頼れよ。俺じゃダメか?1人で抱え込まないで、誰かに話せよ。そうした方が楽なんじゃねぇーの?」
「メイラ…。」
アリマは下をうつ向き呟いた。アリマはいっぱいに息を吐くと、深く吸った。
「…相談していいかな…?」
「いいよ。相談して。」
メイラなやっとその言葉がきた、と、心の中で思う。
「あのさ、俺、」
アリマが言いかけたその時、
バン!
「買い物してきたよ!」
赤髪をもつ青年の言葉を遮り、この部屋にルミーナの声が響いた。ルミーナの後ろには大きい袋を抱えているリリアの姿も見えた。
「お帰り。ルミーナ、リリア。」
2人の方に一歩一歩前へ彼は進む。先程まで何もなかったかのように、アリマはいつもの笑顔で言葉を発した。
(アリマ…。)
メイラはその大きく、弱々しい背中を見つめる。お前は何を考えている。何を抱えて、生きている。俺は、俺は…。
メイラは静かに後ろのベッドへ戻り、先程と同じく座る。
「あ、それで、どうすんの?これから。」
ルミーナはメイラに視線を向け、問いかけた。
「そうだな…。俺たちの今現在の目的はあの国から遠ざかることだけだ。特に、旅の理由とか無いし…。」
メイラは下をうつむき言葉を失う。しかし、その現状をルミーナの一言で変えた。
「じゃ、メイラの旅の目的で旅をすればいいんじゃない?」
「!?」
ルミーナの発言にメイラは目を丸くして彼女を見つめる。その彼女の言葉にリリアも反応する。
「確かに…。特別に旅の理由が無いんだから、私はあなたたちに従うわ。そういや、しっかり聞いてなかったわね。メイラの旅の理由。」
リリアもメイラに疑問をもたせるような口ぶりで言った。アリマも後ろを振り向きメイラを見つめた。まるで、“どうして旅をしてたのか?”と問いかけるように…。
「いい。俺のことはいいから!!」
少し言葉を投げ捨てたようにメイラは叫んだ。
「とにかく、今は俺たちのことを深めあおう。いつまで旅をするかわからないけど、今はこれでいいじゃん。」
メイラは少し悲しそうな顔をして囁いた。その表情に気がついたルミーナは
「それもそうだね。」
と、話しを終わらせた。
このままメイラに聞いたところで、メイラを追い詰めるだけだな。
ルミーナはそう思う。
「じゃ、そろそろ。お休み。行こっ。リリア。」
ルミーナはリリアの腕をつかんでこの「4」という部屋をニコッと笑って出ていった。少しリリアは不思議そうな顔をしていたが、静かに出ていった。
…。この部屋にはメイラとアリマの二人。ただ二人。
「あ、あのさ。」
ルミーナたちが出てから15秒が経過した時、勇気を出して、アリマは言葉を発した。
「メイラ。聞いていい?」
「…。何を。」
少し機嫌が悪い。それはすぐアリマにも分かった。
いつもより声のトーンが低い。俺を…。俺の目を見てくれない。
「メイラ。メイラはなんで、旅をしてたの?」
「お前には関係ない。もう、寝る。」
そう言ってメイラは、座っていたベッドに横になった。布団で自分の顔を隠し、アリマに顔が見えないように寝てしまった。
「メイラ…。」
メイラ。いつか聞いていいかな。君が俺を信じてくれた時。もう一度。旅をしてた理由。
アリマは膨らみがある布団を見つめて、下をうつ向く。少し経って、アリマはこの部屋を出た。
なんとなく今は、外に出たかったんだ。
空に輝く月に、灰色の雲がかかっていた。
アリマは宿を出ると、町を出た。町を出て少し歩くと大きい木がたっていた。森とまでは言わないが、大きい木より小さい木がその場所には広がっている。その大きい木の下にアリマは座り込んだ。
「相談…。聞いてもらえなかったな。」
アリマはボソリ、呟いた。アリマは思う。
俺のことを言っていいのだろうか。俺の暗殺団、貴族。…。やっぱりまだ言えないな。
アリマは上を向いて空を見上げる。やっぱり月に雲はかかっていた。
何分たっただろうか。アリマに強い風が吹く。
「さむっ…。」
アリマは小さい声で呟き立ち上がる。
“そろそろ帰るか”
アリマは宿へ戻ろうとした。
戻ろうとしたのだ。
「!?」
アリマは背後の異変に感じ後ろを振り向いた。
そこにはアリマの知らない人物が立っていた。180cmの身長をもつアリマから見ると、恐らく10cm弱低いだろう。その顔からは青年さを感じさせられる。17,18歳くらいだろうか。木々の根のような茶色の髪。アリマから見て右耳には緑のピアスをつけている。灰色を中心とした服。それは彼の暗闇を感じさせるように見えた。
そして、
「貴様、その目…。」
彼の目は自分と同じ、エメラルドグリーン。緑の瞳をもっていた。
まだ確信はもてない。でも、もしかしたら、彼は…。
「あ、ちょっと。考えてるとこ悪いけど。」
その少し高めの声を発したのは茶髪の青年だった。
「俺は貴族じゃねぇーよ。この目はただなんか一緒だっただけ。偶然。貴族なんかとは関係ねぇーよ。」
彼はニヤッと笑いアリマを睨んだ。
「メイラ・アリマトネはどこだ。アリマ・ウルメディア…!」
アリマは目を丸くする。こいつは誰なんだ。こいつは何が目的だ。アリマはただ彼を見て呆然と立っていることしか出来なかった。
空の月は完全に灰色の雲に隠れていた。
友達も初めたということでとても嬉しいです!これからなるべく投稿ペースを遅らせないよう頑張りたいです。
誤字脱字がありましたらすいません。