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六つの運命  作者: 柿音
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第5話 「不安」

第5話  



「…。」

一人、メイラは小さい宿の部屋。椅子に座りながら、窓から見える下弦の月を見つめていた。美しい月だ。正直に、素直にそう思う。

メイラは隣に寝ているアリマを見つめる。静かに、鼾をかかずに寝ている。自分より年上なはずなのに、寝ている時は幼く見えるのはなぜだろうか?大人びているから、いつもは気づかないが、こいつもまだ、子供なのだ。だと、思う。そのアリマの寝顔を見て、メイラは微笑む。

「なんか、俺の旅の目的外れていったなぁ~。何やってるんだろ。俺。」

メイラは左耳についている、パープルダイヤのピアスをサッと触れる。

「…。俺、“早くお前達を見たいよ。“どこにいるんだよ。俺、もう“旅の目的、失せたよ…。“」

メイラの頬に温かい透明な液体が流れた。




「んんっ…。」

メイラは二度三度、目を瞬きする。チュンチュンと小鳥達のさえずりが響いてくる。眩しい太陽の光にまだ慣れたいのか、目を細めてしまう。

「あのまま、寝たのか。」

夜のことを思い出す。あんなこと考えちゃったなぁ~、と。

「なんだよ。こんなにも、太陽輝きやがって…。」

むしゃくしゃするこの気持ち。誰か、静めてくれ…。



「おい。」

低い男の声が部屋に響きわたる。森の中に立つ建物なので、あまり太陽の日射しは差さず、少し暗い。電気がないと薄暗い。

「なぁ、今すぐ頼みたいのだが、」

「なんですか、隊長。」

緑の髪の男は低い男、隊長と呼ばれる男に囁く。

「依頼だ。今すぐ出動しろ。探してくる男の名は…」

隊長と呼ばれる男が言い終えると、緑の髪の男は

「はい。」

そう返事した。しかし、この男はいつも心を動かさない。ずっと、自分を出してないような…。なぜなのかは、今は知られないまま…。



「さて、どこ行く?」

ルミーナは首をかしげ、3人に問いかける。メイラ達は今、「バジビア」にいた。バジビアの広場の端で話していた。

「そうだな。どっか行きてぇーところとかあるか?ま、追われてる奴が言う台詞じゃねぇーけどさ。」

メイラは苦笑いし、囁いた。

メイラ、ルミーナ、アリマは追われている。なので、ユルエリアから離れて、こちらのアルリアへ来たのだ。今ここでユルエリアに戻る、なんてことは恐ろしくて出来ない。と、言っても何も目的もなくアルリアへ来たのだ。何をすればいいのか、自分達も分からなかったのだ。

「とにかく、ゆっくり動こ!大きな街とかないの!?いっぱいお店があるところとか!」

ルミーナがはしゃいで言った。すると、リリアが答える。

「ここから南西に行くと、『ルードリア』っていう大きい街があるわ。いつも祭気分の街よ。宿も大きいし、いいんじゃない?これから旅していくのに、武器とか集めたりとか、防具とか。」

「さすがの返答だな。リリア。」

「そりゃ、どうも。」

メイラの言葉にしっかり答えるリリア。さすが、貴族様だ。リリアはしっかりしたやつだなとそう思う。

「さて、んじゃ、『ルードリア』に向かうぞ!」

メイラが叫ぶと、3人はコクリッと、頷いた。


これからが、本題へと入るのだ。これはまだ始まりだとは、今、誰もそんなことは思っていなかった。今から、ここから、物語が始まるのだ。『運命』についての物語…。




「ねぇ、ねぇ、」

声が聞こえる。綺麗な声。美しくて、高くて、透き通るような声。

「ねぇ、こっちだよ!」

いつも温かく、手をさしのべてくれる。それが嬉しくて、嬉しくて、だから俺は、お前についていきたいんだ。なぁ…。なぁ、返事くらいしてくれよ。なぁ。なぁ…。


風が透き通る森の中。木の用に土のように深い茶色の髪が揺れる。草々の用な緑の瞳は、どこまでもまっすぐに、輝いている。男はポツリ立つ。遠い遠い夢を見て。遠い遠い過去を見て。




アリマはアルリアを見つめて、

「やっぱりアルリアって自然がいい。空気もおいしい」

と、言ってくる。

「おいおい。なんか、そんなようなセリフ、前にも聞いたような気すんだけど、」

メイラが苦笑いすると、アリマは、

「前は機械とかの技術が進んでる!みたいなこと言ったんだよ!」

と、言ってくる。

「そんなこと言ってるうちに、見えてきたよ!」

リリアがそう言うと、目の前には大きい街が広がっていた。


「ルードリア」リリアの言っていた通り、明るい街だった。いつでもお祭り気分のようで、人の表情もとてもいい。

「おぉ。」

大きい街につい声が出てしまうメイラ。笑顔でいた。しかし、横に見えたのは、とても不安そうなアリマの顔だった。一応アリマは白いフードをつけて、頭をおおっていた。その顔はフードをつけているせいかとても深刻な顔に見えたのだ。

「どうした…?」

心配になってメイラが問いかけると、アリマは慌てて

「大丈夫!」

と、横に手を振る。

「そ、そうか。」

メイラはサラッと通したが、本当にこれで良かったのだろうか?メイラは心の中で思っていた。

「男たち!」

ルミーナはメイラとアリマに声をかける。

「私とリリアは色々必要な物、買ってくるから、先に宿とってきてくれない?宿でゆっくりしてていいから。」

「分かった。」

メイラがそう返事すると、ニコッとルミーナは笑って、リリアと店が並ぶもっとにぎやかな方へと走っていった。

「俺たちも宿行こうぜ。」

「うん。」

メイラはアリマに言う。しかし、アリマの顔が良くない…?そうやっぱり感じるメイラだった。

「やっぱりどうした?」

「えっ、」

メイラはアリマに問いかけた。アリマはつい声が出てしまう。

「どうした?不安なのか?相談してーことでもあるか?言ってもいいからさ。そんなに自分、抑えんじゃねぇーよ。アリマ。」

「う、うん。」

メイラの言葉に曖昧な返答が返ってきた。

何かおかしい…。なんだろう。なにを考えていやがる。アリマ。不安が広がる。何かが起きそうで、モヤモヤする。

遅くなってすいません。お久しぶりです。読んでくださっている方、ありがとございます。これからも温かい目で見守っていただけると幸いです。

(誤字脱字ありましたらすいません。)

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