第0話『運命のはじまり』
『運命』それは、なんだろうか…?運命なんてそんなものと、思うかもしれない。しかし、この世界で運命は、人間は必要としていた。運命は人の手ではつくれない。しかし、運命を決めるのは人だ。そして、運命を変えるのも人だ。運命はそのままのようにとおりすぎていく。嬉しいものも、悲しいものも、苦しいものも、幸せなものも。何もかも。全て。なのに、それなのに、人間は運命を信じたがる。悲しい事もあるのに、運命は嬉しいと思いこんでいるばかり。人間はそれに従うように毎日を、生きてきた。しかし、ある男は違った。運命を、避けて、憎んで、ずっと生きてきた。4年間を。
青い澄んだ空がこの世界には広がる。青い海。豊かな緑。剣と剣の響き。ロットから出る熱い炎や冷たい氷の刃。そう。魔法。鋭い音を響かせる銃の音。全てがこの世界に存在する。剣と魔法。銃や弓。戦いが、『運命』(みらい)が存在するこの世界の名は、『セールディア』。この世界には、『アルリア王国』と、『ユルエリア王国』の、2つの国があった。そしてこの世界には、「魔物」も存在する。魔物の王。『魔人王』。何千年も前から人間は魔人王を封印していた。今は、セールディア歴4316年。今から4年前、ユルエリア王国は、アルリア王国の王子3人を襲った。王子3人はその事件から行方不明になった。『魔人王』が目覚めるとき。きっとあらわれる。『運命のかけら』は…。
真っ赤に燃える炎。視界は赤く、暗闇だ。
"ごめんね"
その言葉が聞こえて、彼は目を閉じた。
なぜこんなことに。どうして、殺す必要があったんだ。なんで、そんな時に運命は変わらない。だから、俺は運命が嫌いなんだ。だから、だから…。なんで、俺は、救えない…。
第0話
「んっ……」
二度三度と瞬きする。緑にいきいきとした木が目に写る。むかつくくらいに青い空。男は体を起こす。いや、青年と言ったほうがいいだろうか…?しかし、青年といっても、幼さも見える。青年は木に体重をかけて座っていた。青年は、深くため息をする。その青年は後頭部から腰近くまで漆黒のように黒い髪の毛が、ながれている。その黒い髪の毛は右目を覆っていた。輝くブルースカイの瞳。青年は髪の毛を左耳にかける。左耳にはパープルダイヤのピアスが揺れていた。青年はゆっくりと立ち上がり、一歩と足を動かした。
ザワザワ
この世界に住んでいる人々の声が町に響く。青年の心にもその響は刻まれる。商売人のやたらうるさい声や、どこかの家族の今晩の夕飯のメニューだとか。
そんなことが耳にはいってくる。どーでもいい、平凡な、あたりまえの会話が、幸せの時間が、この町の人にはあるのだ。ここは、「イブ」という町。ユルエリアの町だ。その町の中。青年は商売人の前へと動く。
「おぉ。お兄ちゃん。いらっしゃい!」
「林檎を1つ。」
青年の声は透き通っていた。声は少し低いが、綺麗な声だ。透き通る、どこまでも鳴り響くような声。青年はその真っ赤に熟した林檎をひとかじりする。
ガシッ
その新鮮な音が町に響く。青年の口から果汁があふれ出る。それほど新鮮でとてもしっかりした、林檎だった。青年は林檎を持ったまま、ゆっくり歩いて行く。
「『運命』とは、」
そんな声がその言葉が青年の足を止める。青年はおもわずその声の方へと顔を向ける。木で造られたイスに商売人らしい男が座っていた。そのまわりに町人が何十人もいる。詩や言葉の説明などを聞かせて商売するのだろう。青年は少し遠くからその言葉を聞いていた。
「『運命』は、この世になければいけないもの。人は運命を信じ生きていく。運命に従い、運命を愛し、運命を誇る。それが人間だ。この世界に存在する「魔人王」(まじんおう)。魔人王を封印したのも運命の力だ。運命は「運命」(みらい)を変える。運命は」
「運命、運命って、黙れよ…!」
いっせいが驚いた。青年は商売人の言葉を遮り、声を上げたのだ。地には赤く熟した林檎がポロリと落ちる。青年の目はするどくなり、商売人の方へと歩いて行く。
「運命がなんだ…!運命は人間を救うみたいな事、言っているけど、全てがそうじゃない!くるしい時やつらい時、誰かが死んだ時、『運命』(みらい)は変わんねぇーだろ!運命が全てみたいなこと、言わないでくんない…?」
いっせいが呆然とする。町人は口をポカーンと開ける。目が2倍3倍と開いていた。
「や、やべぇ…」
青年はあわてて呟く。嫌な予感がした。青年のその予感は的中していた。
「うるせぇー!」 「運命バカにしやがって!」 「黙れ!!!」
そんなさけび声が青年めがけて飛んでくる。
「やっぱ、やばかった…!」
青年はあわてて、走る。先ほどの商売人や、町人が追いかけてくる。
"また、やっちまった…"
青年は人ごみの中、必死に走る。人にぶつかったりしてバランスを崩すが、青年は、走り続ける。今はそれしか頭になかった。地に落ちた新鮮な林檎のことなんか忘れていた。ふと、青年は目を輝かせた。
「これだ…!」
青年は目の前の馬車に目をつけた。商売人の馬車だろう。青年はその馬車めがけて勢いつけて走る。そして、飛んだ。うしろへと。青年は深くため息をつく。町人達は、あきらめたようで、こちらを睨みつけながら歯をくいしばっていた。
「や、やばかった…」
ホッと安心して、青年は呟いた。
「あなた…誰…?」
「!」
青年はビクッと動く。先ほどの声の方へと、顔を動かす。そこには女がいた。10半ばくらいの年に見えた。身長は160いったかどうかくらいだ。透き通るような茶色の髪の毛は、肩まであり、右の横髪だけ胸元までのびている。その横髪を黄色の髪留めがまとめている。水色のシンプルなワンピースに、ベルトをつけていた。スラッとした体型。多く露にしてる足はラインがとても美しい。
「あ、その、お、追いかけられて、に、逃げてきたっていうか…その、」
「ま、いいわ。荷物を確認するのに、うしろに来たら…ビックリした。私の家の宿に
泊まったら今回のこと、なかったことにするけど…?」
女はニヤッと笑うのを青年は気づいていたが、
「あぁ。わかった。」
青年はうなずいた。女はニコッと笑う。そのまま馬車は走り続けた。
「で、さっきは、どうしたの…?」
女は青年に問いかける。ここはその女の家の宿だ。言いづらかった。あんな事。おおげさに言ってしまった。ただ、自分が思ってるわがままな感情。それを言うのか…?青年は戸惑うがゆっくりと、口を動かす。
「ある事で少し、ムカついて町人怒らせちゃってさ。そうさ。俺が悪かった。それで町人怒らせてさ。逃げるためお前の馬車に乗ったわけだ。悪かったな。」
青年は囁いた。女は悲しい顔をする。その意味はわからなかったが女はすぐ笑顔になる。
「私はルミーナ・オルマトス。別に気にしないで。」
“ルミーナ。いい名前だ。”
青年は心の中でそう呟く。青年は笑みでルミーナを見つめる。
「ルミーナか…。アルリア語で『未知へ進む者』。本当にいい名前だ。」
「えっ。そ、そう。ありがとう…。」
ルミーナは頬を赤く染め、小さく囁いた。青年はルミーナを見つめる。
「俺はメイラだ。」
「メイラ、かっ。アルリア語で、『運命の輝く光』。いい名前。」
ルミーナはニコッと笑う。
"いい名前。ねっ。『あいつ』は、いいと思う。でも俺には…。"
「そ、そういや、どうしてアルリア語がわかったの…?」
ルミーナは首をかしげ、メイラに問いかける。メイラは先ほどまで壁に背をつけていたが、今メイラは、今日、自分が泊まる部屋にいる。メイラはゆっくりその部屋のベッドへと、腰をかける。ルミーナはメイラが座ったから、と思ったのだろう。ゆっくりイスに座った。
「俺は、その、」
メイラの口の動きが鈍くなる。それにルミーナは気づいていた。
「どうしたの…?」
心配そうにしてくれ、可愛らしい声が聞こえてくる。メイラは思い切って言うことにした。深く息をし、そしてゆっくりと息をはく。
「俺、アルリア人だから。ほ、ほら、あんま他国で言ったら、攻撃されると思ってさっ。」
メイラは アハハッ と、苦笑いする。余裕を見れているように見える。しかし、少し恐怖もあった。アルリアとユルエリアは、最大の、1000年以上も続く敵国だ。貴族だけではない。普通に暮らしている一般の住民も他国に敵意がある。なので、アルリアとユルエリアを行き来する建物があった。そう。他国の人間に自分の国を言うのは、相当勇気がいるのだ。メイラはそれをルミーナに告げた。そりゃ、恐怖があるのも当然だ。メイラはゴクリと、息をのむ。ルミーナは、深くため息をつき、口を動かした。
「そう。」
「!」
意外な結末だった。てっきり攻撃、あるいは、ここから、出ていけなど、言われるも思った。それ以上に、ルミーナは笑顔を見せる。
「メイラ。そんなに驚かなくていいよ。」
「あ、あぁ。わ、悪い。」
メイラは自分の黒い髪の毛を、かきむしる。ルミーナは下をうつむき囁く。
「私も、アルリア人なの。」
「!」
メイラは驚きと疑問が心の中で生まれる。
「で、でも、アルリア人が、ユルエリアに住めないと、思うのだが…。」
メイラは戸惑いながらも、ルミーナに問いかける。
「あ、あぁ。秘密にしている。おばさんと5年前にユルエリアに来たの。
なんとか、バレないようにね。知られたら大変だし…。」
静かにルミーナは言葉をはく。下を向く。うかない顔だった。メイラは思う。この人を知りたいと。どうしてか分からない。でも他人に興味をもったのだと。自分の心の中がそう言っていた。今日はじめて会ったのだ。しかしどこか懐かしくて、せつなくて。そして、どこか、誰かに似ているかもしれないと…。
「…なぁ。ルミーナ。」
次第に口から言葉を吐いていた。自分の中で、ハッと我に返る。
「な、何でもない…。」
その黒い髪の青年は、下をうつむく。何かが彼の中で、ゾクッと動きはじめた。
辺りは漆黒の暗闇につつまれていた。明るく綺麗に光るその満月がこちらを向いていると、勝手にメイラは思った。小さい部屋の窓から夜の光景が見えた。肌寒いほどに静かにふく風。その風は窓からこの部屋にも入ってくる。
「さみぃな…」
薄い紫の服をメイラは身につけていた。両肩の肌は出ている。しかし他にはあまり肌は出ていない。膝したまである自分と同じ髪の色のズボン。腕には白い布を身につけている。でも寒いと感じるのだ。
「『未知へ進む者』かっ…。」
ルミーナの名をふと呟く。
「何か、寂しいな。なっ。会えるかな…?」
その美しい顔を曇らせる。綺麗に光る青い瞳。隠れた右目にもその輝きはあるのだろうか…。
自分の膝の上で握られた拳を見る。左耳についたパープルダイヤのピアスがシャラン、と音をたて揺れる。
「どこか、遠くに、行ってしまうのかな…。」
メイラは自分の拳を見つめる。大きく感じる。でも、この手じゃ、この醜い手じゃ、届かない。大切なものには。
「んっ…。」
メイラほそのまま静かに目を閉じた。
朝だ。窓から眩しい太陽が差す。その重たい瞼が静かに開く。メイラはゆっくり体を起こす。まだ体はおもい。
「…眩しい…。」
メイラはベッドから出て着替えをする。純白なその布を両腕にまとう。ゆるめていたベルトをしっかりとつける。
「ルミーナに、なんか一言いうか…」
そう呟いた時。その瞬間、
パキンッ、と嫌な音が響いた。
「!」
嫌な予感がして、しすぎて、あわててメイラは剣を持ち部屋を出た。メイラは思い思いに宿の通路を走る。
”なにか、嫌な予感が…!…ルミーナ。無事でいてくれ…!”
バンッ
メイラはおもいっきりドアを開ける。そこには頭から血を流すルミーナの姿があった。ルミーナの横に、若い女がいた。ルミーナをかばっているようにみえる。おおがらな男達や、商売人、普通の町人たちもいた。そして、床にはバラバラになっているガラスの皿が割れていた。心に傷が入ったかのように…。
「お、おい!何やっている!?」
詳しい状況も分からないまま、メイラは思い思いに叫ぶ。メイラの目が何倍にも開かれた。いっせいにメイラに目線がいく。
「おい!お前もここに泊まっただろ!この店は騙していた!!!」
おおがらな男が叫ぶ。その言葉にメイラの心がドクンッと動く。
「ここの宿はアルリア人だった!俺たちは騙されていた!まさか、アルリア人が
ユルエリアに住んでいるなんて…!」
この世界、アルリア王国、ユルエリア王国。2つの国には敵意が強かった。この世界「セールディア」での争い。何年経っても変わらない。何十年も、何百年も…。この2つの国には間があるのだ。何をいれても埋められない、この間が…。
「メイラ…!」
ルミーナは叫ぶ。その声はかすれて、言葉に力の無い声だった。ルミーナの血はどんどん流れていく。メイラは歯をくいしばり、ルミーナと、若い女の前に立つ。
「お前、なんだ…!」
おおがらな男がメイラに向けて言った。メイラは何倍にも大きく目をあけた。そしてそのおおがらな男を鋭い目つきで睨む。
「この宿のやつがアルリア人だったとして、この宿はお前らユルエリア人になに
かしたか!?」
「…!」
ユルエリアの町人は言葉を疑う。なにもないだろうが、敵は敵なのだと。そう。アルリアも同じだ。敵は敵。なにをしようが、なにもしないだろうが、敵には変わりはしないのだ。
「そうやって、世界が、どうだ。まわりがどうだとかで決めるな!
俺はそうやって、教科書どおり生きているやつが大嫌いなんでね!」
メイラは叫ぶと、その光のように早いスピードでうしろ振り向いた。そして2人の女の手をひっぱり、すぐうしろにある、小さな部屋に入りこんだ。そしてすぐさまその扉の鍵をカチャリッとしめた。
「おい開けろ!」 「早くアルリア人をだせ!」
そんな聞きたくない声が、扉ごしから聞こえてくる。ガンガンと、扉を叩いていた。
「ここも時間の問題だ…。」
メイラはポツリ呟く。
「あ、あの、メイラ…」
メイラのうしろからその弱々しく、可愛らしい声が聞こえてくる。メイラは振り向く。そこには涙目になっている、ルミーナの姿があった。彼女の額には赤く染まる血が流れていた。メイラは腕につけている右の白い布をとる。そしてルミーナの額に優しく巻いた。出血が多く、その白い布はすぐ赤く染まる。
「あ、ありがとう…。」
ルミーナは頬を赤く染めさせて囁いた。その言葉にメイラはニコッと笑い返す。
「さて、どうするか…。」
メイラはポツリ呟く。
「あ、あの…」
少し低い女の声がした。その女の方へとメイラは見つめる。濃い茶髪に黄色がかかっている髪の毛。蒼い瞳、白いワンピースに、白いカーディアンを着ていた。年は20後半だろうか。
「あの、あなた、は?」
メイラは問いかける。
「はじめまして。私は、アナ・オルマトス、ルミーナの親戚にあたるものです。
このたびは、助けてくださり、誠にありがとうございます…!」
女、アナは頭をメイラに向けて下げる。
「いや、大丈夫だ。で、ルミーナ。これは一体?」
ルミーナは下をうつむいてしまう。そして静かに口を動かす。
「…。国の人は全員証明書、持っているでしょ?その、私がアルリア人であること
がそこには書いてある。それが、見つかって。私が、イスの上なんかに置いと
くから…!」
証明書。自分の身分を表すものだ。生まれたときに作られるもので、生年月日や、性別。身長体重。そして、出身国。いわゆう個人情報がのった、大切なものだ。
ルミーナの目から、ポツリポツリと、温かい雫が落ちる。メイラはその震えている彼女の手を優しく握った。
「メ、イラ…。」
ルミーナはポツリ呟く。
「震えるな。大丈夫…。俺がなんとかする。」
その彼女の手を自分の顔の近くへと持っていく。
「ちょっ…!メ、メイラ…!?」
ルミーナの頬が真っ赤に染まった。メイラは目を静かに閉じる。
「きっと、きっと…。」
その続きを言わないまま、静かにルミーナの手を離す。
何かを決心したような。
「よし。行くぞ。」
「う、うん。でもどうやって?」
考える二人の会話に、
「この奥に…。」
突然、二人の間に女性の声が響いた。
「この部屋の奥に小さい窓があります。そのまま北に行けば、森に行き、そこを
ぬければアルリア王国へ行けます。メイラさん。ルミーナを連れて逃げてくだ
さい…!」
「ちょっ!ア、アナさん!?」
ルミーナは驚いて声をあげた。アナはメイラを見つめた。
「あなたならルミーナを助けてくださると思います。どうかルミーナを連れて。
ここは私がなんとかします。」
「…」
メイラは一瞬黙りこむが、その青い瞳を強くアナに見せた。
「わかった。アナさん。どうか無事で…。」
「…。メイラさん。」
アナはメイラをその蒼い瞳で優しく見つめた。
「メイラさん。あなたは悲しい目をしている。その理由は聞きません。でも、
あなたの味方はきっといるはず…。だから、あなたはもっと胸はって生きな
さい。」
アナは最後にそう告げるとスッと立ち上がった。
「さぁ、行きなさい!」
手を広げアナは叫んだ。
「ルミーナ!あなたはメイラさんについて行きなさい…!」
「!ア、アナさん!絶対また会いましょう!!!」
メイラとルミーナは奥に行きその窓から外へ出る。ガタンガタン、と、ドアを叩く音が響く。そして、その扉は壊され、ユルエリアの町人達が彼女めがけて殴る。叩く。傷をつける。痛かった。痛かった。ユルエリア人も恨みなどない。なのに、攻撃する。なにも分からないのに、敵だから。敵国の人だから、攻撃する。
"ルミーナ。生きて。"
その彼女は心の中で呟き、静かに目を閉じた。
これは、運命の世界に一人、運命を憎む青年の物語。それが今、幕をあけようとしていた。
「さぁ。運命のはじまりだ…!」
低い男の声がその場に響いた。その男の名はまだ知らされていない。
真っ赤に燃える炎。
目の前に写るこの光景。
何も感じなくて、何も求められなくて、ただ、その光景を見ていることしかできない。
自分の居場所が、燃えている。
それを黙って見ている。
見ていることしか出来なかった。
自分は血を流しすぎたから…。
背中から深く刺さる短剣。
自分の腹から赤い液が流れ出る。
血の臭いが確かに感じられる。
自分の血の臭いもそうだが、他の者の臭いも交じっている。
自分は横に倒れている。
口から流れ出る液の味さえ、分からなくなってしまったほど、時間は経った。
目の前に大切な者がいるのに。
救いたいのに…。
その手が大切な者に届く前に、その手はふさがれた。
目の前に、ニヤッと笑う彼がいた。
彼の笑みを見たのを最後に、自分は目を閉じた。
"ごめんね…"
そう、彼は呟いた。
この小説を書き始めたのは私が小学5年生の時でした。昔から小説を書くのが大好きで、ずっと紙に書いてファイルにはさむ。これがいつもの日常でした。でも、この小説を他の人に読んでもらいたい。感想など教えてほしい。アドバイスが欲しい。そう、他人の意見が欲しくなり、今回親に話して、投稿することになりました。まだ小学生ということで、あまり難しい言葉はないと思うので、同じ小学生でも楽しく読めるお話だと思います。これから連載していくつもりです。
では、これから『六つの運命』メイラを、ルミーナを、よろしくお願いします。
(誤字脱字がありましたらすいません。)