やはりスライムは強かった。
「ちょ、駄目、そんなとこ‥…触るなっ!!」
スライムに絡み付かれ魔法で消し飛ばすこと早数十回‥…
他の人達はすでに試験を終えて町へと帰ってしまっている。
今この場にいるのは俺と試験官さんだけだ。
「はいっ。また失敗ね。」
「うぅ‥…」
スライムの粘液で体がベタつき
気持ち悪さに耐えつつも次のスライムと対峙する。
今俺の前には、スライムの行列ができていた
試験官さんの結界?の効果で区切られた所から指定された数しか入って来れないので順番待ちが起きている。
最初は結界一面スライムで覆われる気持ち悪い現象が起きていたが
スキルの効果で話しかけてみたらすんなり順番待ちを行った。
結構頭がいいのかもしれない。
「まだ諦めないの?」
「あと少しお願いします。」
今俺の武器は、小型のナイフを使っている。
片手剣は勿論、ハンマーや、槍、弓など力のいるものは全滅だった。
数日の経験で魔力は上がったが、筋力や他の能力値は微動だにしてない。
おかげでこの有り様だ。
「君にでも使えそうな武器他にあったかな‥…」
ごそごそと、何もない空間に手を突っ込み漁る試験官さん。
鑑定したところ空間収納というスキルらしい。
ゲームなどに良くあるアイテムボックスに似たスキルでスキルのレベル分
別空間に物をしまえる。
ただし、生物は腐るし空間内に無機物以外の物は入れれない設定だ。
「あ、これとかどう?」
そういって渡されたのは皮の鞭だった。
重さ的には大丈夫。
しかし扱い方がわからず試験官に訪ねその通り振るってみる。
ーーバシッ
教え方がうまいのか、俺に才能があったのか
鞭は綺麗な音をたて地面を抉る。
これなら‥…
そう思い俺は待っててくれたスライムへと駆け寄った。
ーーーーー
「はいっ。もう今日は終わり。明日も予約しとこうか?」
「‥…お願いします。」
結局魔法を使わずの試験一発合格は出来ずにこの日は町へと帰った。
ーーーーー
「ねぇ、あの二人見つかってないんだって?」
ギルドに戻ったところで試験官さんに聞かれた。
どうやら二人は新進気鋭の冒険者でもあったらしく
2日たっても町に戻ってこないのは彼らのランク以上の魔物にやられたのではないか?
という憶測が広がっているそうだ。
うん、殺したのは俺だけどね。
そういえば、戦闘の跡だけが見つかりその報告が今朝試験前にあった。
残しておいた武器は見つかってない。
その場には戦闘の痕跡しかなかったと、発見者のあのハーレム勇者が教えてくれた。
武器を奪うなんて勇者らしからぬ事はしなそうなので
別の誰かが持ち去ったのだろう。
いつかこれも回収したい。
そういえば、他にも言われたことがあった。
草原と森を越えた先のゴブリンが町の近くに小隊を組んで現れるようになったそうだ
ギルドは草原にクエストにいく冒険者達に注意を呼び掛けている。
まぁ多分、ゴブリンは俺が目的ぽいが
王の側近で1番強いのはうちのフェンより弱いので大丈夫だろう。
俺はとりあえず、自由に外へ出入りができるEランク
別の町でも冒険者活動ができるCランクまではあげておきたい。
そのためには何とかあのスライムを自力で倒さなきゃ
そう悩んでいると試験官さんが俺に耳打ちしてきた。
「試験合格できる裏技、教えてほしい?」
的確におれの一番ほしい物を提示してきた。
ただなんと無く
素直に教えてはくれなそうな雰囲気が‥…
「その代わり‥…このあと一緒にお風呂行かない?」
あ、この人危ない人だ。
俺は嫌そうな気持ちを隠さずだして距離を取る。
「あ、ちょ!逃げないで!?」
ぐいっと抱き寄せられ持ち上げられる。
端から見れば仲の良い姉妹に見えなくもないのだろうが‥…
‥…この人がおねぇちゃんとか嫌だ。
「わ、私ね、君みたいなにんぎょーー妹が欲しかったの。でも、勇者が居たでしょ?それで近づけなくて‥…お願い今晩だけでもいいから‥…」
顔を赤くし恥ずかしそうに言う試験官さん。
可愛くないよ?
引いてるよ?
逃げようかとも思ったが‥…
「ちゃんと秘密教えてくださいね?」
「勿論!(色々)教えるよ!」
何か食い違ってる気がするけど‥…
いいか
俺は、離れて実験中のシロに一言送り
試験官さんとギルドを後にした。
あ、そう言えばこの人名前なんだっけ?