勇者と仲間
俺のピンチに駆けつけたのは、勇者でした。
いやね、あの後スキルをとって鑑定したら称号って欄があって
そこに記載されてたのが勇者の二文字。
今はその勇者のパーティーメンバーさんと一緒に町へ帰る途中。
勇者のせいで腰の抜けてしまった俺を背負ってくれているのは魔法使いのニーチェさん。
紺の綺麗な長い髪で、大人な落ち着いた雰囲気の女性だ。
クールなのか、まだ一言も話ができてない。
「もうすぐま‥…」
「はいはい。ユウくんは近づかない。自分のスキルを自覚しようね。」
「うっ‥…」
勇者が俺に話しかけようと近づくのを防いでくれたのは、アーチャーのリカさん。
八重歯がチャームポイントで、胸が大きい‥…
「ほんと、女たらしのくずですね♪」
そんな毒舌を吐いたのは僧侶のヴェルン
俺と同じぐらい小柄なのに巨乳と、どうやら勇者は大きい胸が好きらしい。
あ、ちなみに大きさ順はニーチェ>ヴェルン>リカである。
そういえば二人とも勇者の近くによっているのにいたって普通だ。
不思議そうに見つめているとリカさんがよってきた。
「何でって顔してるね?」
「あ、はい‥…」
ズバリ言い当てられ驚きながらも返事をする。
出来ればあの悪夢は二度と体験したくない‥…
「あのスキルだけど、好意を持つ相手には効かないのよ。私達は皆ユウくんが好きだからああはならないけど‥…今回は災難だったね。」
「ホントに‥…耐性を越えるのにはビックリしました‥…」
「あはは‥…」
リカさんが苦笑いをする。
その後詳しく話を聞けば、普段は意識してセーブしているのだとか。
じゃあ、何であのときできなかったんだよ!って声を上げそうになったが
ピンチにそれどころじゃなかったんだろうってことで納得することになった。
まぁ、助けて貰った事には感謝してるし、あの状態で下手をすれば俺は魔物になってしまっていたのかもしれない。
魔物化のスキルには詳しく表記されていないが、
魔物に至るのは時間の経過、自身の意思、そして敗北時の三つだ。
これは神さまに教えてもらったが、敗北時の定義は死亡か、心を折られる、屈服するのどれからしい。
自身の意思や、時間の経過は自我が残るが、敗北の場合俺と言う存在がきえる可能性もあるそうだ。
そんなわけで俺がきえるピンチを救ってくれた勇者の事をあのスキルが発動しなければ俺は敵意を持つ事はできない。
まぁ、いずれ俺の意思に反して敵対することになるのだが‥…
(このまま、人と触れあえば‥…戦いづらくなるな。)
(そう‥…ですね。)
シロと話しをする頃には俺達は町の中へと戻っていた。
クロの出会った勇者はよくある転生ハーレム系の主人公です。