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終幕

「吉田氏」


頭を下げる吉田に清一が優しく声をかけた。


吉田が清一の方を向く。


「本当は心のどこかで誰かに止めて欲しかったんじゃないんですか?」


清一が言う。


「そもそも昨日遠藤氏がお金を盗んだ事を自分で先生に言えば、一番すんなり退学に出来たはずだ。ちょうど一階には橋下先生もいた事だし」


そうか。実際考えてみれば吉田さんが遠藤を退学に持っていくのは早い段階で出来たのだ。


俺は言った。


「母親の事件だって。それそのものを先生に報告すればその時点で遠藤達には処分が下っていたはずだ」


「吉田氏がわざわざ回りくどい、やり方で退学させようとしたのは、本当は心のどこかで誰かに止めて欲しかったからでしょう」


「吉田さん、あなたは心が優しすぎるんだ。だから悪い事をやろうとしてもかならずボロがでる」


吉田は恐らくどうにかしてお金を返すつもりだったんだろう。だから机の中にお金を入れっぱなしにして持って帰らなかったのだ。


清一が言う。


「あなたがとった行動は正しい方法ではなかったかもしれない。だが、あなたの母親を思う気持ちは何も間違ってはいない。あなたのような息子を持った母親は幸せだな」


清一がニッコリと笑う。


その言葉を聞いた吉田は体を震わせて泣いた。


「ありがとう、古村君、家倉君、僕を助けてくれて」


そう言うと吉田は床にしゃがみ込んで泣いた。

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