運命の扉
しばらく掃除をしていると清一がやってきた。
「おや?何をやってるんだい?掃除の時間は終わったはずだろう?」
うるせぇ!今から何が起こるか知らされて無いから不安なんだよ!
俺はほうきを置いた。
清一は生徒会長の席に座った。
「おおっここは眺めがいいね」
ちょうど目の前には生徒会室の扉が見える。
俺は清一の横の椅子に腰掛けた。
「なあ、今から何をする気なんだ?俺にはさっぱりわからないんだが」
すると清一はイケメンをいたずらっ子の様な顔にして説明し始めた。
「実は6時にこの生徒会室を訪ねて来る人が、今回の一連の出来事の黒幕なんだよ」
「黒幕って、遠藤だろ?あいつが茶髪コンビを使って金を集めさせたんじゃないのか?」
「いや、違うのだよ。実は遠藤氏はただ利用されただけなんだ」
俺は驚いた。
「その黒幕が遠藤氏を退学に追い込もうとしたんだ」
「それは、一体誰なんだ!」
自然と言葉に力がこもる。
「まあ待ちたまえ。あと3分ほどで6時だ。そうすれば答えは自分からやって来るよ」
俺はそれ以上は何も言わず黙って待つことにした。
まだ17年しか生きていないが人生でもトップ5には入るほどに長く感じた3分間だった。
その間、清一は目をつぶり腕を組んだまま椅子に座っている。
今こいつは何を考えているんだろう。
時計の長針と短針が一直線に並んだ。
6時だ。
ガラガラっと生徒会室の扉が開く。
一人の人間が中に入ってくる。
清一は椅子に座ったまま言った。
「お待ちしていましたよ。吉田氏」
生徒会室に入ってきたのは吉田だった。




