追われる夢
築40年の猫屋敷には
よなよな
夢追い人が追いかける夢がやってくる
脱ぎ散らかされたしわしわのシャツ
読みかけのゲーテ
どこへ行く
手つかずの書類に
血を腐乱させる客人
空の物語へ
ノートが真紅に燃える刻を待ちわびる
偉人に連れ出されて引きずり回され
隣人にしがみついて振り回され
飛び立つ雀は捕まらない
亡骸の鼠だけ捨てられていく
猫が見つめる先は知らない
猫と同じ獲物を見つめる
―置き去り―
今、家以外のどこかにいて、あったかいココアを飲み干したところです。
誰かこの退屈に決着をつけてくれる裁定人を求めています。
飲み終わったココアがカップの縁に固まり始めました。チョコになるまでもう少し。
本と私の間に流れる緑色の交流が、やがて思想を生み出す樹木となるのでしょうか。
音がつながり風を作ります。揺らすのは心でしょうか、頭でしょうか。
残念ながら判定が出たようです。置き忘れられた時間が再び元に戻ります。
たぎる血潮を秘めながら、表面上は静かに安息を称えます。