ロニア・ダラーに見張られている
アマリリスちゃんとの百合営業も板につき始め、今ではほとんど意識しなくともいちゃいちゃ出来るようになった。優しくするとうれしそうに照れ、意地悪すると真っ赤な顔で分かりやすく慌てるアマリリスちゃん。今日も彼女は素晴らしくかわいい。私よりヒロインしてるわ。見習わないと。
そんな日々を過ごしながらも、今日も今日とで毒見をする。アマリリスちゃんへの嫌がらせ界隈が減ったから、毒の入っている食べ物は減ったけど、やっぱりまだ時々あるのが気になる。毒の種類も、ただの下剤から命を奪うものまで様々だ。私は、アキにぃの昏睡状態回復の為にめちゃくちゃ毒を試していたのと、光の魔法使い属性による回復魔法得意システムによって毒で死ぬことはほとんどないし、ダメージも少ない。……とはいえ、ダメージがないわけではないので、切実に毒を盛るのはやめてほしい。……あー、頭痛くなってきたわ。絶対さっきの毒のせいだわ。むかつくーー!!
そう思いながらも耐えれる程度なので、アマリリスちゃんとの食事が終わり、解散するまではアマリリスちゃんとおしゃべりでもしようかなと、そうのんびり椅子にもたれ掛かったその時
「……アゼリア様、来てください」
そう話しかけながら、もたれ掛かったことにより傾いた椅子を支えたのは、ロニア・ダラーだった。
「ロニア、さては私とアマリリスちゃんのいちゃいちゃタイムを邪魔しに来たな?」
そんな私の軽口にもロニアは何も言わず、私をじっと見るだけ。その眼差しからは疑念と私への気配りが感じられたので、「分かった行くから」と立ち上がる。そこにまるで図ったかのようにダークが近くに来て「アマリリスは僕に任せていいから」と言ってきたので素直に甘えることにした。ダークが一緒なら、大丈夫だろう。
あーーー、あったま痛い。頭痛が痛い。頭痛が痛い。頭痛という言葉がだけでは言い表せない。頭痛が!痛い!くそ、文法を間違えていたとしてももうここまで言わんとこの頭痛の酷さは伝わらない。つまりだ。もう兎に角頭が痛いのだ。私は今!!頭痛です!痛いです!!頭痛が痛いんでーす!!!……おぇ、痛すぎて吐き気まで出てきた。てか、ロニア足早くないか?ちょっとは私に合わせようとする紳士的な動きをしてくれないかしら?こちらとはヒロインぞ?あ、アマリリスちゃんに夢中でしたね。こりゃどーもすみませんでした!あー!頭痛い!!
と、現実逃避をしても頭痛と戦いに敗れそうになる。……うわぁ、やばいもう無理かも。……くそ、周りに誰もいなくなったから緊張の糸も切れてしまった……わ、もう……無理だ。
そう、なんとかしゃがみ込み、ロニアが私の様子に気がついて振り向いた所で、意識が途切れてしまった。
目が覚める。……ね、眠い……けど、頭は痛くないな。というかここどこだ?そう、のっそり起き上がると、そこには何やらカチャカチャと薬を混ぜているロニアがいた。
「……ロニア?」
そう声をかけると、ロニアはハッとしたように振り向き、私の顔を見て、安心したような顔をした後、すぐにキリッとした顔に戻った。わっ、これ、怒られるやつだ。その予想が当たり、ロニアは私を睨み「馬鹿なんですか?」と早速罵倒してきた。
「いくら毒に耐性があり、回復魔法が得意でも、体を酷使すれば倒れます。あなたが今日飲んだあの毒は、特に回復への体力を持っていくものです。アゼリア様は頭がいいんでしょう?毒見は任せてと豪語するのであれば、それぐらい予測して、対策を取っておいてください」
真っ当だ。真っ当な怒られ方をした。ロニアは優秀だから私達と同じ学年で学んでいるだけで年齢自体は1個下だ。つまり私は、1個下の男の子に、正しい主張で怒られたというわけだ。前世の年齢も合わせたら……駄目だ、数えるのをやめよう。どっちにしても年下に怒られる情けない自分であることにはかわりないのだから。
元日本人の性かもしれない。無意識にベッドの上で正座をし、「ごめんなさい」と頭を下げていた。
アマリリスちゃんは私やロニアが毒見をしている、していたなんて知ったら罪悪感で泣いちゃいそうだし、もう毒見させてくれないだろう。
だからロニアもここまでバレないように慎重に動いていた。それなのに代わりを申し出た私がこんな様子じゃ怒りたくもなるだろう。
「……アマリリスちゃんと別れたら、休む予定だったの。アマリリスちゃんにはバレないようには頑張ってたんだけど……今回は危なかったよね、ごめん」
そう顔を俯かせる。私が反省したことを知ったからか、そこからロニアはこれ以上追求することはなかったが、変に静かなのが気になって少し顔を上げる。
ロニアの顔は、信じられないものを見るかのような、そんな顔をしていた。
「……あなたは……私が、アマリリス姉様に毒味がバレそうになったから叱っていると……そう思っているのですか?」
ロニアの表情には驚きつつも、彼の言葉の通りだったので、こくんと頷くと、彼の表情は更に強張る。何故だ。全くもって意味不明だ。そしてそんな時でも顔が良いのはどうしてたのだ。うむ。目の保養なり。
と、そんなことを思っていると、ロニアは少し考えるように目を瞑った後、私をじっと見つめながら、言った。
「さっき、アマリリス姉様の所にすぐにダーク殿下が来たのも、あなたがすぐにでも休める為に手助けしに自ら来たのです。私があなたを呼んだのは、部屋にある毒消しをすぐにでもあなたに飲ませるためです……急いでいたのであなたの歩く速度の変化に気が付かなかったのは申し訳なかったですが…………兎に角、私達は、あなたを、アゼリア様を、心配して、行動したんです」
その言葉に、説得するような必死な彼に、私は頷くことしかできなかった。
まあ、そりゃ、そうだろう。アマリリスちゃんの毒味役がいなくなって一番に困るのはロニアだろうし、ダークだって可愛いアマリリスちゃんが危険に近づくのは本意ではないだろうし。
そんな私の考えを知っているのか知らないのか、ロニアは「分かってませんね」と確信したように言う。何を言う!私はちゃんと理解してますとも!なんせ入学テスト1位ですよ!!前世のゲームのステータスぶち上げ能力付与されてるので賢いんでーーーす!!羨ましーだろーー!!
と、心の中で煽っていると、ロニアから「今後毒味は私がします」と言ってきた。ごめんなさい!!何でもするので私がやります私にやらせてください!!そう説得したものの、ロニアも頑なで、結局1日ごとに交換しながら行うことになった。ロニアが毒味役の日は、すぐに回復出来るように私が側にいることを条件にした。そしたら私が毒味をする日もロニアが側にいることが決まってしまった。何故!!私は自分で回復できるのに!そう言うものの、ロニアはそんな私の言葉を無視して、回復魔法使いすぎてなくなった魔力の補充の為のポーションを、無理矢理私の口に突っ込んできた。




