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第11話 学校での日常

目が、ショボショボしてきた。昨日、なかなか眠れなかったからなぁ。こういう時は、情報収集を一度やめて、脳を休ませるに限る。私は図書館を出て、天気が良いからと、裏庭の草むらに寝っ転がる。あ、気持ちいい。風が、優しい。……眠い……。


「アゼリア様」


その言葉にバッと目を開く。目の前には、何とも言えない顔でこちらを見下ろしているロニア。どうやら私は眠ってしまっていたようだった。えっと、朝の登校前に図書館で禁術書立ち読みして、目がショボショボして、そこから……。

朝は少し薄暗かったのに、今は燦々と降り注ぐ太陽の光に包まれている。嫌な予感をさせつつ、ロニアに聞いた。

「……ロニア、今、何時?」

「……お昼過ぎです。昼食時間、いつもの場所にアゼリア様がいなかったので……。探しましたよ。呑気にお昼寝とは、予想外でしたが。」

ぎゃ!!!授業も、毒味役も、サボってしまった!!ってこと!?!?う、うわーー!!

「ご、ごめんロニア。もう昼食終わっちゃったよね。だ、大丈夫だった?」

「…………私のことはいいんです。……それより、どうしてここで眠っていたのですか?」

その問い掛けに素直に答えられるほど、楽観的ではない私は「徹夜で勉強しちゃって?」と、ヘラっと笑いながら答えると、ロニアは溜息つきながら「どうせ禁術書読み漁っていたんでしょう?」と答える。流石だ。

でも、それよりも……と立ち上がり、ロニアをじっと見つめる。ロニアは「な、なんですか?」と戸惑い、視線を交わしてくる。……心なしか顔が赤い?「ごめんね」と謝りながらおでこに手を当てる。肩を揺らすロニア。首を傾げる私。んー。

「特に熱はないみたい……大丈夫?毒がまわってきて具合悪いとか、ない?」

その言葉にロニアは怒った。そりゃもう、激怒だった。

「淑女が!!男性に!!ベタベタ触らない!!!」

その言葉に私は「ヒェッ」と言いながら正座をした。よほど私に触られたのが嫌だったのだろう。ごめんなさい。


ひと通りお説教が終わり、丁度予鈴がなった。ロニアはハッと気が付き焦る。次、男子は体育で着替えの必要があるからだ。「……今日はひとまずここまでにします」と悔しげな言葉に一安心しつつ、慌てるロニアをよそに、私はゆっくりと教室に向かった。その時、丁度廊下で出会ったセバン先生。彼は私を見るなり「大丈夫だった?」と声をかけてくる。

「ロニア氏にめちゃくちゃ怒られてたね。目立ってたよ。」

「うわ、本当?やだなー、教室に行ったら皆に変な目で見られるかも」

「……ま、あれはアゼリア氏が悪いよ。大いに反省しなさい」

「えー、セバン先生もそう言うの?皆私に厳しいよー!もっと優しくしてほしいよー!」

そう不貞腐れながらとぼとぼと歩いている私に、セバン先生は声をかける。

「……そんなに甘やかしてほしいなら、早く『わんカニ』の11巻返すことだね」

「ぎゃっ!!……ご、ごめんて……」

ショボショボと縮こまる私。そんな私を見てセバン先生はふっと笑い、高い背を曲げて私を覗き込む。そして、その、綺麗な顔を見せつけながら、機嫌良さそうに言った。

「……今日放課後、図書館に持ってきてよ。僕が読み聞かせてあげる。」

その言葉に私はヒェッと、心拍数を急上昇させながら顔を覆う。強い。顔が、強い。真っ赤になった私を見てさらに機嫌良さそうにセバン先生は「じゃ、僕こっちだから」と背を向ける。……セバン先生の顔が良すぎて何話していたか半分忘れてしまった。……えと、取り敢えず今日借りてた『わんカニ』持っていけばいいんだっけ?



 

そんなことを考えながら教室に辿り着く。そこにはアマリリスちゃんがいて「こっちこっち」と私に手招きをしてきた。可愛い。

今回の授業は自由な所に座っていい授業だったので、私は手招きられるがままアマリリスちゃんの隣にストンと座る。ひえ、いい匂いする。

「遅かったね。何かあったの?」

そう少し心配そうに聞いてくるアマリリスちゃんに「何でもないの」と笑いかけると、そっかと微笑む。ぐうかわ。と思っている間に本鈴が鳴り先生が来た。早く教科書とノート開かなきゃと思った途端に気がつく。これ!違う科目の教科書や!!わ、どうしよどうしよ。取りに行く時間もないし目立っちゃうし……と、慌てている中、チョンチョンと肩が突かれる。ふと、顔を見上げると、アマリリスちゃんがニコッと微笑み、小さな声で、ヒソヒソと言う。

「私の一緒に見よ?」

……天使か?いや、天使だ。悪役令嬢の「あ」の字もないわ。私は「ありがとう」と両手を合わせて彼女にお礼をいう。アマリリスちゃんは「ふふっ」と微笑みながら言った。

「いつも助けてもらってばかりだから……役に立ててうれしい」

やっぱり彼女は天使だった。こりゃ攻略対象3人組も必死で守りますわ。と、妙に納得しながら、私はアマリリスちゃんと楽しく授業を受けるのであった。




授業が終わり、お手洗いによってから教室に戻ると言いアマリリスちゃんと別れる。

用事を済ませ、教室に向かっている最中、掲示板に貼られているあるチラシに目が行く。

……文化祭。そう、文化祭。このロマンス学園には文化祭があり、乙女ゲームのイベントとしても文化祭は重要なイベントだった。

なんせ、文化祭の優勝賞品としてクラスに贈られる、クラス全員で行く旅行券……じゃなくて、盾の飾りが魔王を倒す為の必要アイテムの1つだからだ。旅行券は別として盾の飾りは部屋の邪魔になるからと欲しがる人はいない為、私が欲しいと言えば全く問題なく受け取れる。

ただ、それには優勝しなくてはならない。……こりゃ、アマリリスちゃんと協力して、ゲームで優勝することができる選択肢の執事メイド喫茶を全力で推さねばならない。よし!頑張んなきゃなと思っていた矢先、体育終わりのダークが目の前にいた。

「い、いつの間に?」

「……さっきからいたよ?君、考えごとするとトリップする癖あるよね。危機管理能力的にはよくないから、その癖直したほうがいいと思うけど?」

「……サーセンでした」

普通に怒られしょぼんとしていると、ダークは少し申し訳なさそうにした。

「……ごめん、言い過ぎた」

そんな彼の言葉に私は首を横に振る。……ダークは、私が物珍しく狙われやすい光の魔法使いであることを知っている。知っているからこそ、こうやって傍にいようとするし、注意もする。そして……多分……

「……はいこれ」

「?……なに…………え」

私がダークに渡したのは対象者の位置情報がわかる魔法道具。つまり、GPSだ。勿論、私の位置をダークに見てもらう目的のものだ。

「私を守るために、いろんな魔法使っているでしょ?……本当は止めたいところだけど、止めても聞かないだろうなっと思って、セバン先生に作ってもらった!これでダークも使う魔力減るだろうし、少しは安心でしょ?」

そう問いかけるが、ダークからの返事はない。それをいいことに私は続けて言う。

「……確かにダークは何でもできるけどさ、たまには頼ってほしいな。隠れて無茶して守られたって……守った人が無事じゃないと、守られた側はずっと苦しいんだよ?」

そう、まだ眠り続けているであろうアキにぃを思い出す。そうだ。私が求めているのは誰も犠牲にならないハッピーエンド。そして、私は……ダークだって大事だ。だから無茶しないでほしい。生きててほしい。そう思いながら言うが、ダークの表情は暗い……というより、怒ってる?

「…………無茶しているのはどっち?」

ダークはそう言い私に近づく。あまりにもの低い声と迫力ある睨みに思わず後ずさりをしていると、背中に壁がついてしまった。大変だ!逃げ場がない!そう思いながら私は、ダークが私を追い詰め、壁に手を付けるのを、ただただ見るしかなかった。わあ、これが噂の壁ドンかぁ。と現実逃避をしたかったのだが、ダークが怖すぎて「ヒィ」としかいえなかった。ダークは私を睨みながら、ゆっくり言葉を発する。

「君は、何をそんなに焦っている?100年の眠り……以外の何かにも囚われているよね?何を手に入れようとしているの?何を望んでいるの?何をそんなに、焦っている?」

そして、そこまで言い切り、ダークは俯いたあと、ゆっくり、顔を上げた。まるで、泣きそうな、懇願しているような、そんな顔で

「……僕に、できることはないの?」

と、聞いてくる。

………………昔も、こんなことを誰かに言われた気がする。アキにぃを起こすために色々頑張っていた時、前世の記憶が戻ったばかりで色々混乱していた時、…………珍しい本を持ってきてくれた男の子が……いたような……

…………まさかね。……きっと、疲れているんだ。非現実的なことを考えるのはやめて、目の前の、ダークの質問に、答えなきゃ。私は、ダークを見て、言う。

「…………アマリリスちゃんを、守ってあげてほしいです」

私の言葉を聞いて、ダークは暫く黙った後に「……わかった」と、小さく言った。よかった!取り敢えず何とかなったらしい!そうホッとしながらも次の授業まで時間がないので「じゃあこれで!」とそさくさ退散する。だから、私は知らなかった。あの後、ダークが、壁に拳をぶつけながら「……また他人の心配か」と悔しそうに呟いていたのを。

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