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『週刊 わら人形を作ろう』  ~毎号付いてくる材料で、1/10スケールの藁人形作り。憎い相手を呪って良し。大藁に大豆を入れて後悔するも良し。呪術の初心者から上級者まで、様々な呪いが楽しめます!~

掲載日:2025/12/27

◆人形制作1日目

 『週刊 藁人形を作ろう』の創刊号が届いた。

 定価は2980円。

 高校生の俺にとって、3000円近い出費は痛い。

 だが、創刊号は特別価格の666円だった。

 安いのはいいけど、自分が呪われそうで怖いんだよな……。


 梱包を解いてみる。

 マニュアルの他に、チラシ・ロウソク5本・鉢巻・白装束らしきもの・

 でかいブランデーグラスが箱の中にどんよりと横たわっていた。

 さすが、呪いのグッズといったところか。


 ん? ブランデーグラスだと? まあ、いいか。


 白装束らしき物体をどけると、ピコピコハンマーピコハン

 五寸釘(約15センチ)が顔を覗かせた。


 五寸釘をピコハンで撃ち込めということか。いや、ムリだろ……。


 人形の主材料であるはずの(わら)だが、1本だけ入っていた。

 五寸釘は100本も入っているというのに。


 いま気づいたが、送り主(販売業者名)『ケツアゴスティーニ』となっている。

 本家と間違えて購読を申し込んでしまう被害者が、俺の他にも居そうだ。


 チラシに視線を落とすと、楽し気な文字が目に飛び込んできた。

 どうやら、その他の商品紹介をしているようだ。


 “週刊 ランボルギーニ・ディアブロを作ろう 創刊号は10万円”


 コンプリートには、4000万円ほどかかるらしい。

 そんなもん買えるかボケ!

 ん? 1/1スケールか……

 って、ホンモノのスーパーカーじゃねぇか!


 さて、やることもないし、付属の白装束を試着してみますか……。

 おっと、白装束ではなかった。

 白いバスローブだ。ブランデーグラスが付属している理由に合点がいった。

 このブランデーグラスを持つと、バスローブが映えるからだろう。たぶん。


 藁が1本しかないため、今日は製作に取り掛かれない。

 バスローブを装着した俺は、ラテン系の麻薬王になった気分で、

 でかいブランデーグラスをグリングリンと回した。



◆2日目

 長さ160センチほどの藁が届いた。

 剥き出しで送られてきたのには驚いたが。

 藁の重さは25キロ。

 何本あるのか、見当がつかない。


 マニュアルによれば、数体の藁人形が作れるらしい。

 人形のタイプは2種類あるそうだ。

 ひとつは、ノーマルタイプ。藁を束ねて人型をつくるという、初心者向けの藁人形だ。

 もうひとつは、ハイグレードタイプ。

 完成形は似たり寄ったりだが、呪いの効果が段違いらしい。

 藁を編み込んで作るものだ。


 ノーマルタイプを選んだ。

 簡単なほうがいい。



◆10日目

 作り始めて、指10本を折り曲げるくらいの日が立ったころだ。

 藁がワラワラと6畳間に集結していた。

 ほどよい量の藁が集まるまで、作業を中断していたのだ。

 そのせいか、部屋の中は屋根を()けそうなくらい、大量の藁で溢れている……。

 呪いだろうか。


 夢中になって作業を続けた甲斐あってか、今日1日で人形の胴体部分が完成した。

 見ればみるほど、“水戸納豆”っぽい。

 160センチという大きさだが。

 今日の作業は中断して、大豆を買いに行くとしよう。



◆20日目

 納豆ができた。いや、出来てしまった。

 少し前に仕込んだ大豆が良い感じに発酵したようだ。

 ちなみに、納豆はおいしくいただいた。



◆21日目

 一度人形をバラして、藁を洗った。

 だがしかし、ほんのりと藁が納豆臭を放っている。

 ネバネバも取り除けなかった。


 藁は、大量に残っている。

 複数体の人形を作れる仕組みのようだ。

 社名はアレだが、侮れんな、ケツアゴスティーニ!


 ハイグレードタイプの藁人形制作に切り替えるとしよう。

 手間はかかるが、マニュアルには作り方が丁寧に解説されている。

 挑戦するしかない。ついでに、人形制作と並行して納豆を製造することにした。



◆22日目

 わらじが完成した……。

 なにかの呪いだろうか。



◆23日目

 ソンブレロっぽいものが出来上がった。つばの広い帽子だ。

 メキシコ人が被っているイメージがあるので、

 “ドンタコスったら、ドンタコス”と歌いながら踊ってみる。

 虚しくなってきたので、やめた。


 油性マジックで鼻の下に描いた“チョビひけ”が消えない。

 明日、学校あるじゃん、どうしよう……。

 呪いだろうか。



◆24日目

 “遅刻、自爆、地殻変動ぉ~”とか言いながら、スマホを咥えて爆走する女子高生とすれ違った。

 遅刻の最上級って、地殻変動だっけ?

 出世魚的なアレなのか?


 そんなことより、ひとこと言いたい……。


 危険です、走りスマホ!



◆25日目

 人形を作っていたはずだが、トートバッグが出来上がった。

 ちなみに、昨日描いたチョビひけは残っている。

 鼻の下がチョビっているのだ。

 藁を届けてくれた配送業者のお兄ちゃんが、俺の顔を二度見した。

 調子に乗って眉毛をゲジゲジにしたせいだろうが、俺は気にしない。



◆完成

 ようやく藁人形の誕生日を迎えた。

 出来上がった藁人形のサイズは、160センチ。

 『大』と言う文字を模した立派なブツが完成した。


 どうでもいいが、1/10スケールでこのサイズ。

 “元”となった藁人形って、どんだけデカイんだよ!

 16メートルくらいか?

 モビルスーツですか?


 怨念を込めながら、藁を編み込んでいたせいか。

 人形が完成したら、怨みなど、どこかへ消えてしまった。


 仕返しなんて、もうどでもいい。

 いまは、こうして藁人形を抱き枕にして使っている。

読んでいただき、ありがとうございます!


本作をベースにシリーズ化(〇〇を作ろう)します(笑)

次回は、『週刊 走る玉座を作ろう』を構想しています。

ウソです(笑)


よろしければ、主人公に何をつくってほしいか、コメントでおしらせください。


ブクマ・評価等をいただけると、シリーズ(続編)の執筆が捗ります(笑)

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