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インタビュー「吉田龍平」1

6時に更新できず、大変失礼いたしました。

「ボス、吉田龍平さんつれてきました~」

 すりガラスのドアを開けて、龍平をまず中に入れると奥行きのある部屋の奥にカラオケのモニターがビカビカしていて、その手前にそのモニターを挟むように2台のソファが並んでいた。

 ソファは一般のカラオケボックスのよりもフカフカそうだ。

 その右手側に男性が2人座っていて、手前の男性が立ち上がって近寄ってきた。

「お呼びだてしてすみませんでした。私は中条と言う、この事務所とはまた別に探偵事務所をやっております。そこに座っているのが篠田エージェンシーの篠田ですが…少々逆光になってはいますが…大丈夫ですか?」

 随分警戒してくるんだな…となんだかそれ自体が怖くなった。

 それは龍平の知らぬことではあるけれど、探偵側にしたら対面して命の危険に晒しかねないという恐怖もある。

「え…ええ、大丈夫です…」

 じっと見てみるが逆光はあまり感じず、立ち上がって軽く頭を下げる癖っ毛の男の人は、マスクのせいだろうか、画像を見た時のゾッとする感じは全くなかった。

「じゃあとりあえず、そっちのソファの手前側に座って。あの人と対面(といめん)にならないようにね」

 唯希は龍平を促して言われたところに座らせ、中条は龍平が座ってなお正面から時臣を見て逃げ出した時の留め要因として、念のためにドアの前に立っていた。

「初めまして、本当に今日は来ていただいてありがとうございます」

 名刺を龍平の前に置き、時臣は座ったまま少し頭を下げる。その光景を見て中条はドアの外に声をかけ、1人の女性を中に招いた。

「お邪魔します」

 その声を聞いて龍平がそちらを見る。

「母さん」

「私も一緒にと言われたから…何がどうなっているのか知りたいし、来てみたのよ」

 母恵子は唯希に促されて、龍平の向こう側時臣に近い方へ座ってもらった。

 ソファはゆったりと4人は座れそうな大きさで、時臣はできるだけモニターがわに寄るようにしていた。その時臣の前に唯希が座り、もう大丈夫だろうと中条も龍平の前時臣の隣に腰を下ろした。

「改めまして、本日はお二方揃っておいでいただきありがとうございます」

 時臣が挨拶をすると他の2人も頭を下げた。

「龍平くん、小宮にあった当初から色々されてたと思うけどその理由をお話ししますね」

 龍平はこくんとうなづく。

 そこで時臣は猪野充と伊藤瀬奈の一件を話して聞かせ、今回話を聞く龍平も自分を見て逃げ出して危険な目に遭わせてしまう可能性があったことを話した。

 周りくどく画像を見せたり、マスクはどうだとか聞いてみたりしたのはそのせいだと告げたら、母恵子は両手で口を覆い自分の子供がまずそんな危険なことに巻き込まれていることを知って震えた。

「最近…若い人…この子と同じくらいの人の事故や事件が多いですよね…それが全てそう言う…」

 恵子の体は少し震えていて、隣の唯希が背中に手を当てて宥めている。

「全てではないとは思いますが、ある程度は関係ありかなと踏んでいます。警察も、事件及び事故が起こった場所が全部管轄違いなので、気付いていない可能性もあるんです。なのでこちらの調査ではっきりしたら我々も警察には相談に行こうと思ってはいます」

 その言葉の合間に中条が龍平と恵子の前に一枚の紙を提示していた。

 それは、典孝からの紹介された精神科医にとりあえず電話で聞いた、洗脳及びマインドコントロールの事例やそれがどう言うものかを記されたものである。

「マインドコントロール…?」

 流石に龍平も訝しげだ。

「そう、さっきお話しさせていただいた子たちが私を見て逃げ出したのがマインドコントロール(それ)に該当するかという感じでおります。電話で聞いたので十分ではないと思いますが、とりあえずの医師の見解です。その可能性はあるということでしたのでお伝えしておこうと思いました」

 2人はその用紙を見てから顔を見合わせた。

「私どもの調べでは、その高円寺にいる間に自宅へ戻った子はいなかったんです。でも龍平くんは先日自宅に戻りましたよね。なのでもしかしたら、そのマインドコントロールがあまり効いていないんじゃないかと思って、今回声をかけさせてもらったんです」

 なるほどね…と龍平は納得した。自分は全然慣れないあの場所に、他の子達は慣れ親しんでいて、家にすら帰りたくないと言っている。

「だから今日は、どんな些細なことでもいいので、あの高円寺のビルの中で起こっていること、龍平くんの体調の変化などを聞かせて欲しいんだ」

 ボイスレコーダーを出してあらかじめ録音をさせていただきますと許可を得た上でスイッチを入れた。

 実は岩山に頼んで防犯用のカメラは作動してもらっている。面談中に何も起こらなければ廃棄してもらって、何か起こった時のためだけに撮っている。

「何が…と言われても、あそこは塾みたいに講習形式ではないですけど、パソコンが与えられて、その個人個人に専攻科目の問題が送られてくるのを解くと言った感じです。学校から帰ってからも寝るのも自由だし、ゲーム機なんかも居住部屋には完備されてます」

 居住部屋があることは伊藤瀬奈も言っていた。確証が増えてゆく。

「4階がその勉強をする部屋で、5階に2部屋居住する部屋があって、2段ベッドが壁際に左右4台設置されてその真ん中の空きスペースに座椅子やテーブルがあるんです。テレビも置かれているのでゲームしたりテレビ見たりしてます」

 内容も瀬奈と一緒だった。

「そこではみんな自由にしてるんだ。そこに講師っていうのか?そういう指示する人は来ないですか?」

 瀬奈と同じ質問をしてみた。

「講師っていう感じの人は見たことないですけど、全体の面倒を見ている人というのはいます。先生って呼んでますけど、鹿島さんという男の人で問題を必ず解くようにとか、生活面の乱れを注意されたりします」

 瀬奈が記憶を失っていた部分だった。

 講師というものはいないが、面倒を見ている人がいるのは新しい情報だ。名前までわかったのも収穫だ。

「あと他に思いつくこととかありますか」

「そういえば勉強部屋、4階ですけどいい香りがいつもしてます。アロマっていうのかな。お香ではないと思います。母がお香好きで家で嗅いでいましたが、あれは良くも悪くも線香の匂いなので俺はわかっちゃうんです。あれはお香じゃない」

「なるほど。アロマね…」

 リラックス効果等が期待されるものだけに、考えたらキリはないのだろうが何か意味深な気もしてくる。 

 龍平は色々思い出そうとしてみるが、その時その時で思うことはあれどこうして思い出してと言われると思い浮かばないのが人間で…なんでもいいと言っても…ほんとになんでもいいなら…

「俺は…僕は家に帰りたいと思う気持ちはいつでもあるんですけど、あそこにいる奴らみんな家には帰りたくないっていうんですよね。おれ…僕にはそれがわからなくて」

 言い換える龍平に笑って、中条が

「俺でもいいよ、気楽に行こう」

 と声をかけ、龍平は照れて茶色いサラサラ髪を撫でた。

「同じ教室にいる子たちは、家に帰りたくないと言ってるんだ?」

「はい、母親が鬼みたいで怖いとか…まあかーちゃんなんてそんなん時もありますからそれかなって流してるんですけど」

 隣で恵子が、キッと龍平を見つめー何言ってるのよ!ーと小声で脇腹を突く。

「いや、母親はそういうものですよね。うちの母も怖かったです」

 時臣が笑って言うと、龍平もですよね~と調子に乗ってきた。

 瀬奈が母親を怖がっていたこととも一致した。

 マインドコントロールがあるのだとすれば、そこにも影響を及ぼすものが敷かれている事になる。

 考えることが増えて、頭の整理も追いつかない。


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