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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第997話:ギルドでトラブル?

「雨降ってるとつまらんなー」


 家へ帰ってきたが、もう特にやることないもんな。

 クララは本読んでるしダンテは邪神像磨いてるし。

 まったくダンテは何とゆー非生産的なことをしてるんだ。

 いや、つまらんつまらん言ってるあたしだって生産的なことをしてるわけじゃないけれども。

 ギルドでも冷やかしてくるか?


「姐御、パワーカード工房行きやしょうぜ」

「……そうだ、工房行こう!」


 素材もないわけじゃないしな。

 換金してくるべえ。


「行ってくる!」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさーん、こんにちはー!」


 アトムを連れてパワーカード工房へやって来た。


「はいよ、アンタはいつも元気だね」

「雨降ってあまりにもつまらな過ぎるから来ちゃった」

「かかかっ、そういう日もあるだろうさ」

「お肉お土産でーす」

「おや、いつもすまないね」

「換金お願いしまーす」


 交換ポイントは一五三六となる。

 ああ、もうやることなくなっちゃった。

 悲しい。

 と、おもむろにアルアさんが言う。


「黒妖石の加工をデスさんに頼まれたんだ。転移の玉、アンタの依頼なんだって?」

「うん。もう少し行動範囲を広げたくなったんだ」

「『アトラスの冒険者』の転移の玉だけでは足りないのかい?」

「うちにはヴィルがいるから、ヴィルにビーコンを運んでもらえば行ける場所が格段に増えると考えているの」


 しわ深い目蓋を引き上げ、驚いた表情を見せるアルアさん。


「アンタはさすがだね。完成してるよ」

「えっ?」


 もう?

 やたらと早くね?

 ありがたいけれども。


「デスさんのチェックが通ればオーケーさ」

「アルアさん、ありがとう! これ、お礼だよ」


 黄金皇珠を渡す。


「いいのかい? ありがたくいただくよ」


 やったぜ!

 これでウルトラチャーミングビューティーの恩恵に浴す地域が増えちゃうなー。

 シュパパパッ。

 おっと、誰か来たぞ?


「おーラルフ君達じゃないか。こんにちはー」

「師匠、こんにちは」

「これはあれか。雨降ってるとヒルデちゃんとデートできないから、暇を持て余して工房へ来たという?」

「いえいえ、デートがどうこうというわけでは……」


 後ろのゴール君ムオリス君ウスマン君が大きく頷いていますよ。

 しょっちゅう来て素材を換金してもらえるのはありがたいことだけれども。


「ちょうどよかった。ラルフ君とこのパーティーにもらって欲しい装備品があるんだよ」

「装備品ですか?」


 バアルのお宝で出た魔法の装備品を見せる。


「こ、これは……」

「以前、イシュトバーンさんの家で見せていただいたものですね?」

「素晴らしいです!」


 喜ぶ面々。


「アーチャーのウスマン君には魔法の箙かな。矢の自動生成機能があって、矢に闇属性がつくって。前衛のゴール君ムオリス君には、フルプレートアーマーか盾がいいかな? サブウェポンにダガーもいいかも」


 結局ムオリス君は即死・スタン付与のダガーを手に取った。

 ゴール君はかなり迷っていたが、サイズが合うということもあって、ヒットポイント自動回復八%付きパラメーター爆上げのフルプレートアーマーを選択した。

 まあフルプレートアーマーは常用ってわけじゃないだろうけど、強敵相手にはいいんじゃないの?

 ドラゴンに挑む時にでも使ってください。


「どれも素晴らしい装備品じゃないか。アンタは気前がいいねえ」

「装備品は実用品だよ。どんどん使ってもらった方がいいからねえ」


 パーティーが強化されるのはいいことだ。


「ところでラルフ君の用は何だったの?」

「特注のパワーカードが完成したんだよ」

「興味あるな。どんなの?」

「これさ」


 『ラルフスペシャル』【殴打】、魔法力/魔法防御/敏捷性全て+八%


 アルアさんの見せてくれたカードに納得する。

 ははあ、以前のヒルデちゃん連れてデートするなら、攻撃属性をつけといた方がいいというアドバイスを、こういう形で実現したか。


「やるなラルフ君。これは当然『ボトムアッパー』と置き換えるつもりで?」

「はい。かなり迷った挙句、これが正解かと」


 完全に後衛に徹するなら、『ボトムアッパー』の攻撃力増強効果はムダだ。

 一方でヒーラーの役割を担う者が防御力増強を省くのは勇気がいるが、ラルフ君は最後衛でしかも元々防御力低くないしな。

 魔法力/魔法防御/敏捷性の補正値が+八%と、『ボトムアッパー』の補正値を上回っているのもイカす。


「うん、いいと思う。確かにこれはラルフ君にしか用がないカードだわ。ちなみに名前は誰がつけたの?」


 アルアさんが笑う。


「エルマだよ」

「エルマかー」


 エルマが注文受けたのか。

 ラルフ君に気を使ったんだろうな。


「変えてもらったほうがいいでしょうか?」

「いや、いいよ。こんなに恥ずかしスペシャルな名前だったら、他の人がとち狂って買うこともないだろうし」


 アハハと笑い合う。

 パワーカードは本当に自由度が高いと思い知らされるな。

 名前まで自由だよ。

 そーいやアルアさんのばっちゃんが名付けたカード群も相当名前おかしいわ。

 『ポンコツトーイ』とか『るんるん』とか『ド素人』とか。


「ところで師匠。『勇者の旋律』のスキルスクロール販売が始まりましたが、御存じでしたか?」

「あっ、知らなかった!」


 対応早いな。

 というか、売り出したことを宣伝すればいいのに。


「支援系のスキルって地味なんだけど、『勇者の旋律』は正の速度補正と人形系にダメージ入る効果ですげー使いやすいと思うけどな」

「自分も購入して習得しました。まだ実戦で使用する機会はないですが」

「うんうん、いいね。話変わるけど、グリフォンの羽毛を手に入れる目処がついたんだ。大量に取れたら、ヨハンさんのところへ持っていきたいからよろしくね」

「わかりました。父にはそう伝えておきます」


 よし、用は終わりだ。

 ラルフ君に会えたのは収穫だった。


「師匠はこれからどうされるんです?」

「帰ろうかなと思ってたけど。ヒルデちゃんを構えないからって、あたしを誘おうとするのはどうかと思うぞ?」

「いえ、ギルドの依頼受付所で何やらトラブルの気配だったのです。師匠の好物かと思いまして」

「教えてくれてありがとう! 行ってみるよ。アルアさん、さよなら!」


 まだ夕飯まで時間あるしな。

 雨が降ってるので工房外の転移石碑は使わず、一旦転移の玉を起動し帰宅する。

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