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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第91話:図書室漫才

 うちの子達とソル君パーティーを連れて、灰の民の村の図書室にやって来た。

 目的はスキル調べだ。


「おーい、アレク!」


 やはりここにいたか。

 村の衆総出で宴会準備を手伝ってるというのに、このキノコ頭はまったく。

 あれ? 愕然とした顔してるけどどうした?


「ユー姉が、男を連れてきた……」

「誰の男だ! よく見ろ、嫁が二人もくっついてるだろーが!」

「よ、嫁?」


 ソル君は動揺してるが、アンセリは心なしか嬉しそうだぞ。

 こらアトム、そわそわすんな。

 『精霊の友』以外がいても遠慮せずツッコめ!


 しかしアンセリが図書室内を見渡して感心しているようだな。


「図書室っていう規模じゃないな。随分たくさん本を所蔵してるんだね」

「灰の民はちっちゃい頃から読み書きを教わるんだ。だからかな? 勉強家が多いんだよね。あたしを見りゃわかると思うけど」

「あははは! カトマスの図書館にも劣らないですよ」


 確かにあたしは勉強家じゃないけど笑うな。

 アンセリの故郷カトマスは、西域への街道の起点となる村だ。

 ドーラの中ではレイノスに次いで大きな集落だろう。

 そのカトマスの図書館に劣らない大きさって言われると誇らしいな。


 アレクが言う。


「どうしたの? ユー姉達は何か用だった?」


 かくかくしかじか。

 アレクは興味を持ったようだ。

 スキルが好きだから。


「へえ、『スキルハッカー』の固有能力。それはすごい」

「将来どんなスキルを習得すべきかってのは、駆け出しの内からある程度計画があってもいいじゃん?」

「計画といっても、欲しいスキルを使える人に会えるとは限らないじゃないか」

「けど、大雑把な方向性とか次善の策とかも考えられるでしょ? 魔法オタクのあんたなら何か意見あるかと思って」

「まあ魔法オタクですけれども」


 キノコ頭を揺らすアレク。


「ボケはいらない場面だよ?」

「ユー姉、それは『押すなよ』みたいな念押しフラグに聞こえるんだけど」

「あたしのオーラが念を感じさせるのか……」

「芸人のオーラだよ?」


 アレクがソル君パーティーをチラッと見る。


「今はソールさんが盾役で、後衛のお二人の火力が大きいのだと思います。でも将来的にソールさんに求められるのは、フィニッシャーの役割ですよね。ちなみに現在習得済みのスキルは何ですか?」

「『ハヤブサ斬り』と『薙ぎ払い』です」


 おーソル君『薙ぎ払い』を覚えたのか。

 使いでのあるバトルスキルだもんな。

 これは納得。


「普通に欲しいのは単体攻撃と全体攻撃の大技。セリカさんのエンチャントマジックを生かすために、できれば属性やステートの乗るスキルですね。他にヒットポイントやマジックポイントを回復する手段や、防御力無視技は欲しいかと」


 アレクがこちらを向く。


「当たり前の思考方向だから、ユー姉だってわかってるはずだ。何か違う考えがあるんだろう?」

「魔法はどうかと思って」


 アレクは意を図りかねたかのように聞き返す。


「魔法? アンさんセリカさんでカバーできない属性ってこと?」

「ではなくてさ」


 あたしは『魔法スキル大全』のあるページを開く。


「この魔法、どう思う?」

「……なるほど、回復役アンさんの負担を軽くして積極的な攻撃参加を促し、全体の火力を底上げしようってことか。序盤に覚えられれば特に効果は大きいだろうけど、かなりのレア魔法だよ。わかってる?」

「あたし使えるんだよ、これ」

「……本当に?」


 アレクが驚く。

 その魔法とは『リフレッシュ』。

 全員のヒットポイントを最大まで回復する、非戦闘時のみ使える魔法。

 コストが非常に小さいという特徴があるので、実際に使ってるあたしとしては、探索メインの冒険者に向いていると感じる。

 ちなみに習得条件は謎とされている。


「アレクの見解でも、スキルハッカーの枠一つもらうだけの価値はあると思う?」

「思う。十分にお釣りが来る」


 『リフレッシュ』のページを食い入るように見つめるソル君に水を向ける。


「どう? 覚えてく?」


 ここでアンセリから抗議が入る。


「いや、回復はわたしが担当すれば十分……」

「そうです! もっと強力な攻撃スキルを……」


 アンセリを制して一言。


「大いなる恵みで仲間を癒す慈悲のレア魔法は勇者にこそ相応しい、違うか?」

「「その通りです!」」

「ちょろっ!」


 こらアレク黙ってろ。

 本音が漏れてんぞ。


「お願いします!」


 相変わらずソル君は決断に迷いがないなー。

 あたしが『リフレッシュ』を使ってみせ、ソル君に習得させた。


「ソル君が『リフレッシュ』使えるなら、アンが戦闘にマジックポイントを回せるよ。適当な弓術スキルでもないか、バエちゃんに相談してみるといい。急ぎじゃないけど、いずれセリカも『ヒール』なり『クイックケア』なりを使えた方が事故が少なくなると思う」

「ええ、わかりました」


 ソル君は元気よく返事したが、アンセリが『バエちゃん?』って顔してる。

 チュートリアルルームのクネクネお姉さんのことだよ。


「アレク、あたしこのスキルも覚えたんだよ」

「『雑魚は往ね』? スーパーレアじゃないか。こういう大雑把なスキルはユー姉にピッタリだけれども」

「大雑把ゆーな」

「いえ、アレク君、ユーラシアさんの『雑魚は往ね』は本当にすごいんですよ」

「どうせアトムに盾役全部任せて、えいやで撃ってるんでしょう? 威力は大きくても正統派の前衛が使う技じゃない」

「ダンテに会うのは初めてだったっけ? オレンジ髪の散光の精霊ね。ダンテに『実りある経験』っていうオリジナルスキル覚えさせてて、これと『雑魚は往ね』のコンボがキョーレツなんだよ」

「『実りある経験』って何? 経験値倍増スキル? 取得経験値を水増しして『雑魚は往ね』で一掃? 邪道って言って欲しいの? ゲスって言って欲しいのどっち?」

「いや、メチャクチャ効果的なんだ。共闘した時、わたし達ほとんど何もせずにレベルを二つも上げてもらった」

「アンさん、セリカさん。こんなアバウトな戦術に夢見てちゃダメですよ? 所詮芸人スキルに過ぎませんから」

「だから芸人スキルはソル君に勧めてないだろーが!」

「ほら、自分でも芸人スキルって認めてる!」


 てんやわんやだ。

 こっちで漫才やってる間にも、ソル君は『魔法スキル大全』のページを熱心に繰っていた。

 さて、そろそろ宴会の時間だ。

 まーソル君とこのパーティーはソル君自身が盾役だから、『雑魚は往ね』は向いてない。

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