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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第905話:異世界人と同族

「姐御、次の『地図の石板』はまだ来てやせんでしたぜ」

「そーかー。やっぱりな?」


 レイカパーティーを塔の村に送ったあと、うちの子達と話をする。

 赤眼族クエストが完了したのに次のクエストが発給されない異常事態だ。

 いや、まあ原因はわかってるんだが。


「レポートがニードね?」

「多分ね。憂鬱な宿題だわ」


 『本クエストについてレポートを書いて、チュートリアルルームに提出してください』というアナウンスが出ている。

 提出先がギルドじゃなくてチュートリアルルームってだけで、異世界と赤眼族の繋がりを感じさせるわ。

 どうしてくれようってなもんだ。

 特に得がないのでどうもしないけど。


「今日はこれから何をしましょうか?」


 ふむ、どーすべ?

 夕方におっぱいさん家にお邪魔するが、まだかなり時間がある。

 素材が結構あるので、アルアさんのところへ行くのは有力な選択肢だな。

 後輩ズやジーク君レノアの様子を聞きにギルドへ行くのも手、魔境に行くのもアリ。


「あっしは新しい転送先が欲しいぜ」

「うあー。宿題が嫌だよう」

「レポートがニードね?」

「ダンテが意地悪だよう」

「どの道レポートを提出しないと先へ進めませんよ。後回しにしてもメリットがありません。イシンバエワさんにお任せして、早く終えてしまいましょう」

「そーだな。面倒なことは上手に押しつけないと」


 となるとクララの言う通り、早めに終えちゃった方がいいか。


「今からチュートリアルルーム行くよー」

「「「了解!」」」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「こんにちはー」

「あっ、ユーちゃんいらっしゃい」


 チュートリアルルームへやって来た。


「クエストクリアしたんだけどさ。何かあたしもレポートをチュートリアルルームに出せって言われたの」

「そうなの?」


 ふむ、バエちゃんは平静を装っているが、若干の緊張が見られる。


「二段構えの変なクエストだったんだよ。ただやっぱりクリア条件はよくわかんなかったな。二段構え後半になってから、現地に行く回数だったかもしれない」

「回数?」

「うん。ゲレゲレさんも同じようなこと言ってたから。ま、クリアしたからいいんだ。レポートの書き方わかんないから手伝ってよ。これは報酬のお肉だよ。いつもよりたっぷりめ」

「やったあ!」


 クネクネお姉さんを落ち着かせて、クエストのあらましを説明する。


「最初魅力のない名前で行ってなかったんだけど、『ザクザク宝箱! アイテム長者は君だ!』っていう転送先に名前が変わったんだよ。宝箱いただくのは乙女のたしなみじゃん?」

「当然よね」


「……このレア素材は覚えてる、確か『アーリオオーリオ』だ、と思ったら『ケサランパサラン』でさ、ちょっとかすったけどなー」

「あははははははは!」


「……中に入れたものが悪くなりにくい、有用な箱ってわかったから全部回収してたらさ。居住空間が圧迫されてえらいことになった」

「あははははははは!」


「……で、銅鑼吊るしたら、うちの子達も鳴らす鳴らす。『ミーもガンガンガンガンしちゃうね!』って、ダンテがあんなにやる気出すの初めて見たよ」

「あははははははは!」


「……どーゆーわけか連続で箱一杯の魔法の葉が出るの。もー精神的活力が根本から失われたって思ったけど、ガンガンしたら復活した」

「あははははははは!」


「……ははーん、これは一つ二つ足りなかったりすると、売るとき安くなっちゃう罠だな? 毎回全部宝箱開けてくあたし達には通用しないぞ? って」

「あははははははは!」


「……クララがそのキモ人形ズ計一三体を枕元に並べて寝てるんだよ。これは今もなんだけど、寝室一緒の立場から物申したい」

「あははははははは!」


「……あんたワープヘタクソなんじゃない? どう見ても魔力ムダ使いしてるように思えるけど? って言ったら、バアルが絶句しちゃってさあ」

「あははははははは!」


「……と、まあ前半はそんなとこ」

「お腹痛いお腹痛い!」


 ハッハッハッ、今日もバエちゃんの腹筋を攻撃したった。

 これが美少女精霊使いのエンターテインメントだ。


「後半はあんまり面白くないんだ。聞く?」

「レポートには必要でしょ。どんな感じ」

「赤眼族っていう、その名の通り赤い瞳が特徴的な人ばかりの、ドーラの先住亜人の集落でさ……」


 やはりバエちゃんが微妙にぎこちないな。

 『アトラスの冒険者』が敵扱いされたこと、火事で食べ物を失っていたこと、お肉を届けたことを話す。


「お肉以外にもダイコンの種とかクレソンとかも届けたんだ」

「大丈夫そうなの?」

「春までは油断できないね。逆に初夏まで乗り切ったら飢えることないよ。ドーラの気候は安定してるから」

「ユーちゃんはもう、赤眼族の村へは行かないの?」

「いや、心配だから、もう何回かはお肉届けると思う。それに赤眼族だってドーラの仲間じゃん? あたし達の知らんことを知ってるかもだから、とりあえず仲良くしとくんだ」


 特別これ以上あたしから喋ろうとは思わないが。

 バエちゃんから質問があるだろうか?


「……赤眼族というのは、私達と同族なのよ」

「ふーん」

「驚かないのね。ユーちゃんは気付いてた?」

「赤い瞳が似てるなーとは思ってた」


 しまったな。

 真正面から来るとはちょっと意表を突かれたぞ?

 わかってたら『先住亜人』なんて誤魔化さなかったんだが。


「バエちゃんとこの世界からの移住者なんだ?」

「昔の王族だったって聞いてる。今私達の世界に王様はいないんだけど」

「つまり今回のやつは、赤眼族監視のためのクエスト、だからレポートを出せってことね。了解、でもそっちの世界関係の内幕を冒険者に言うのはありなん?」

「もちろんダメだけど、ユーちゃんはカンがいいからわかっちゃうだろうし」


 なるほど、あたしが怪しむとことが大きくなるかもしれない。

 状況をかき回されるくらいなら、ある程度の事情を話しておけってことか。

 シスター・テレサの指示かもしれないな。


「赤眼族の件についてはあんまり他言せず、新しい所見があったらバエちゃんに報告する、ってことでいいかな?」

「ありがとう。それでお願い」

「ところで、これで新しい『地図の石板』が来るの?」

「ええ、今日中には発給されると思う」

「楽しみだなー」


 バエちゃんに別れを告げ、転移の玉を起動し帰宅する。

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