第89話:決戦!
ボスのデカブツこと、人形系レア魔物デカダンスのいる地点に到着する。
結界を張っていた聖火教ハイプリースト達が話しかけてきた。
「さて、じゃあ結界を外していいか?」
「おおう、せっかちだな。ちょっと待っててね」
集まっている皆に大声で呼びかける。
「いよいよ最終決戦だぞ、覚悟はいいかーっ!」
全員がこちらを向く。
単にあたしの連れてる精霊が珍しいってこともあるだろうが。
「作戦会議するよ。まず、あの大型魔物についてよく知ってるとゆー人、皆に説明して欲しいんだけど」
ピンクマンが挙手して発言する。
「あの大型魔物の名は『デカダンス』。俗に言う人形系の魔物だ。人形系の魔物に魔法は効果がなく、また通常の物理攻撃もほぼ効かないという特徴がある」
「魔法も物理も効かない?」
「どうやって倒すんだ、そんなの……」
冒険者にとっては常識だが、兵士やカラーズの民にはやはり知らない人がいる。
知識共有を優先してよかった。
ピンクマンが続ける。
「やつに効果があるのは、衝波系ないし防御力無視系と呼ばれる攻撃のみ。ヒットポイントは三〇~四〇の間。通常の人形系魔物は素早く逃走しやすいが、デカダンスに限れば鈍重でそういう性質はない。攻撃は二回連続で行うことが多く、特に全体氷魔法は魔法力の高さもあって非常に苛烈だ。また通常攻撃に中確率でスタンが乗る。安定して戦うためには、おそらくレベル四〇以上が必要だと思う。小生の知っていることは以上である」
ほう、と感心している者が多い。
おおおおお、デキる子だなピンクマン!
性癖とファッションセンスさえまともならモテるのに。
「デカダンスに有効な衝波系の攻撃手段を持つ人、手を挙げて!」
……ゼロか。
一人でもいれば助けになるのに。
とゆーか『アトラスの冒険者』でも、踊る人形を積極的に倒して経験値稼ごうって人はいないんだな?
「あたしのパーティーは全員『経穴砕き』を習得していまーす。これは必ず一ダメージを与えることのできる衝波系スキルだよ。だからあたし達が攻撃を担当する。皆は回復と支援お願い!」
「支援ったって……なあ」
前衛職の面々が困惑している。
だろうね。
「内容を今から説明するよ。まず白魔法が使える人、回復と状態異常の解除を任せます。白魔法以外の支援系の魔法やバトルスキルを使える人、必要だと思われるタイミングで支援下さい。最後にそれ以外の人」
あたしとアトムがナップザックを下ろす。
「ここにポーションがどっさりあります! ヤバそーな時に投げて助けて下さい。それからあたし達がダメージ入れる度にカウントして!」
大勢いる前衛職や兵士等々が盛り上がる。
「用意周到だな!」
「勝てるかもしれねえぞ」
「マジックウォーターもたくさんあるよ! マジックポイント不安な人いない? 遠慮しないで回復して」
よーし、盛り上がってきた!
士気は最高潮だ!
「準備はいいかーっ!」
「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」
二人の聖火教ハイプリーストに指示を出す。
「結界外して!」
「わかった!」
おうおう、デカダンスったら随分長いこと閉じこめられてイラついてるんじゃないの?
レッツファイッ!
ダンテの実りある経験! あたしとアトムの経穴砕き!
そしてカウントが入る。
「「「「「「「「一! 二!」」」」」」」」
クララの精霊のヴェール! よし、ここまでは予定通り!
「攻撃来るよ、耐えて!」
デカダンスが全体氷魔法ブリザドを連発! ヒットポイントを半分以上持っていかれる。ダンテなんか瀕死じゃないか。
『寒桜』を装備しておまけに『精霊のヴェール』かかっててこれか?
氷耐性目一杯上げてるのにな。
レベルが全く足りてないという理由をまざまざと感じる。
だけど今は皆がいる!
外野からのリカバーとポーションで回復、これなら戦える!
「回復は外野に任せて攻撃に専念! クララは『精霊のヴェール』の張り替えだけ気をつけて!」
「「「了解!」」」
四人連続で経穴砕き!
「「「「「「「「三! 四! 五! 六!」」」」」」」」
「イケる! その調子で応援よろしく!」
「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」
デカダンスの通常攻撃二連! アトムとあたしが受ける。痛いことは痛いが、ヒットポイントと防御力の低いダンテが連続で食らうなんてことがない限り、おそらく問題はない。
外野からのポーションでアトムとあたしが回復。
そして再び四人連続で経穴砕き!
「「「「「「「「七! 八! 九! 一〇!」」」」」」」」
今のところ想定内、このまま押せるか?
デカダンスのブリザドと通常攻撃! アトムがスタン!
外野からリカバー、ポーション、キュア!
キュアをかけてくれたのはアンだ。
このままゴリ押す!
アトムを除く三人で経穴砕き!
「「「「「「「「一一! 一二! 一三!」」」」」」」」
デカダンスのブリザドと通常攻撃! アトムが受ける。
リカバーとポーションで回復して四人連続で経穴砕き!
「「「「「「「「一四! 一五! 一六! 一七!」」」」」」」」
「あと半分だ! 頑張れ!」
誰かが発破をかけてくれる。
ありがたいね。
涙ちょちょぎれるわ。
ここでデカダンスが全体氷魔法ブリザドを連発! これだけは痛い!
連続でリカバー!
聖火教ハイプリーストが指示してくれたらしい。
ポーションは飛んでこない。
よし、外野の支援方法も確立してきている。
「ひるむな! 攻撃!」
四人連続で経穴砕き!
「「「「「「「「一八! 一九! 二〇! 二一!」」」」」」」」
デカダンスがブリザドを連発! くっ、またかよ!
ハイプリースト二人が連続でリカバー!
ポーションはなし。
このパターンはもう怖くないぞ。
四人連続で経穴砕き!
「「「「「「「「二二! 二三! 二四! 二五!」」」」」」」」
そろそろ『精霊のヴェール』が切れそうだ。
切れると『ブリザド』連発に耐えられないからな。
クララに合図を送る。
デカダンスの通常攻撃二連! クララとあたしが受け、クララがスタン!
すぐさまポーションが飛び、アンが治癒魔法をかけてくれるが、『精霊のヴェール』の張り替えが間に合わない!
どうする?
ダンテの『三属性バリア』だけでは効果が足りない!
外野の支援を信じ、クララを除く三人で経穴砕き!
「「「「「「「「二六! 二七! 二八!」」」」」」」」
しかしデカダンスの『ブリザド』が来る!
ヤバい!




