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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第884話:ガルーダの好物

「でね、ドーラと帝国との貿易が解禁されるでしょ? ドーラも魔宝玉やコショウに依存してたんじゃダメだからさ。いろんなものを輸出しようとしてるんだよ」


 案内してもらっている途中、リモネスさん近衛兵長さんと話しながら行く。

 クエストの内容について説明聞かなくていいのかって?

 そんなのはいつでも聞けるけど、ドーラの輸出品の宣伝できるチャンスがこの先あるかはわからんもん。

 どっちの優先順位が高いかは明らかだろ。


「興味深いですな。例えばどんなものが?」

「これ。パワーカードっていう、持ってる人の魔力で起動する魔道のカードだよ」


 あったかパワーカード『ウォームプレート』を二人に渡す。


「ふむ、面白い」

「ぬくぬくだよ」

「ほう! つまり燃料のいらない温具ですな?」

「こりゃあいい!」


 ハハッ、大絶賛だ。

 やったぜ!


「『ウォームプレート』って言うんだ。帝国本土は寒いからウケるかなーと思ったんだよね。それはあげるから、ぜひ宣伝しといてよ」

「結構なものを!」

「ありがとうございます。これはいくらくらいのものですかな?」

「ドーラでは一五〇〇ゴールドだよ。でも海渡るといくらになるかわかんないな? これ作れる職人が少なくて、月産二、三〇〇枚が限度なんだ。ほぼ全部輸出向けに回すつもりだよ。良さが広まっちゃうと、お金持ちに買われてなかなか手に入らなくなっちゃうと思う」


 買い占めるなり転売するなりしてもいいですよニヤニヤ。

 滅多に手に入らないっていう希少価値が宣伝されるだけでも売れちゃうわニヤニヤ。


「ユーラシア殿は商売が上手いですな」

「あたしのごまんとある長所の一つだなー」


 アハハと笑いながら進む。

 ん、地下か?


「ところで困りごとというのは何なの?」

「魔物なんですが」

「こんなでっかい宮殿に魔物?」


 魔物退治くらいは引き受けるけれども。

 『アトラスの冒険者』の石板クエストになる理由もわかる。

 けど、宮殿の地下に魔物って違和感あるな?

 ゴーストの類?


「飼育されている魔物がおるのです。夜に大声を発して暴れるのですな。安眠妨害というか」

「ははあ?」


 なるほど。

 閉じ込められてストレスの溜まった魔物が騒いじゃうのか。

 でもこの宮殿で安眠妨害になるほど騒ぐって、相当デカい魔物なのかな?


「ここです」


 スライム、角ウサギ、コッカーもいる。

 飼育員も結構大勢いるじゃないか。


「帝国では魔物を飼うのが盛んなんだ?」

「盛んとまではいきませんが。生態の調査であったり飼うこと自体がステータスだったり。見世物というのが最も多いです」

「ふーん。で、騒ぐのはどの子?」

「奥の方です」


 奥の方ほど強い魔物だな。

 当たり前か。

 何か問題があった時、封鎖するなら奥の方がいい。


「ガルーダの様子はどうだ?」

「今は落ち着いているのですが……」


 飼育員の不安そうな声。

 ガルーダって初めて見たな。

 グリフォンに似た、大型鳥の魔物だ。

 狂暴な目でこちらを見てくる。

 しかしあの顔は?


「結構な魔物だねえ。ワイバーンより強そう」

「見学の方ですか? ガルーダの強さはドラゴンクラスって言われていますよ」


 ドラゴンクラスの魔物を飼ってるってすげえ。

 どうやって捕まえたんだろ?

 飼育員が説明してくれる。


「ガルーダは凶暴な魔物ではありますが、ドラゴンのようにブレスを吐かず賢いので、飼いやすいのではないかと思われていたのです。しかしどうもうまくいかず……」

「うーん、でもあの顔は美味いもの食わせろって顔だよ?」

「「えっ?」」


 飼育員と近衛兵長さんが驚く。


「ユーラシア殿、わかりますか?」

「わかる。間違いない」

「で、でもエサはちゃんと食べてるんですが」

「エサじゃなくて美味いもの、ね」

「では好物を与えれば満足する、と?」

「多分」


 鳥っぽい魔物は表情豊かだなあ。

 割とわかりやすい気がする。


「が、ガルーダの好物と言っても……」

「ロック鳥やグリフォンは、人形系魔物の亡骸が好きだよ。この子も同じだと思うけど」

「処分対象の泣言地蔵がいます!」


 処分対象ってどゆこと?

 近衛兵長さんが説明してくれる。


「経験値とドロップの魔宝玉を目的に、人形系魔物を育て増やすという計画があったのです。しかし育成ものでは魔宝玉は獲得できず、経験値も低いという事実が判明し、計画が破棄されるところでありました」

「へー、帝国はすごいなー」


 人形系レアを飼うって発想もすごいけど、ダメだって知見が得られてるのもすごい。

 帝国は進んでるなー。


「面白いこと教えてくれてありがとう。泣言地蔵の亡骸をガルーダに与えれば、おそらく大丈夫だよ。でもガルーダじゃ泣言地蔵は倒せないかな?」

「ガルーダの攻撃方法は嘴と爪と狂音波だけです。人形系魔物には有効ではないと思われます」

「じゃああたしが倒すよ」

「泣言地蔵は魔道結界の中に閉じ込めてあります。お任せしてよろしいですかな?」


 なるほど、魔法使うやつはそういうところに閉じ込めてあるのか。

 ますます大したもんだなあ。


「うん、任せて」

「泣言地蔵は強い風魔法を撃ってくるんです! 危険ですよ!」

「知ってる知ってる。戦ったことある。鳩血珠や兎月照珠をドロップすることも覚えてる」


 狭いな。

 うちの子達は残し、あたしだけで行く。


「オーケー。結界外して!」


 レッツファイッ!

 泣言地蔵のダンシングウインド二連! ダメージを受けるが、あたしの通常攻撃! 泣言地蔵を倒した! ほんとだ。魔宝玉をドロップしない。


「リフレッシュ! ふいー、結構魔法攻撃キツいなー」

「精霊使い殿は『リフレッシュ』の魔法を使えるのか? というか泣言地蔵を一撃……」

「あとで話すよ。亡骸をガルーダのところへ運んで」

「はい!」


 うわ、バカデカい台車があるやん。


「おーい、御飯持ってきたぞー」


 ガルーダと目が合う。

 わかってくれてるね。

 顔が嬉しそうになった。


「本当だ。大喜びで食べる。ありがとうございました!」

「さっきみたいに機嫌悪そーな顔じゃないから、もう大丈夫だよ。でもずっと閉じ込めといて大丈夫かはわかんない」

「いやあ、大したものですな! これで皆がグッスリ眠れますぞ」

「こういうのは任せて。でもガルーダばかり美味いもの食べてと、あたしのお腹がグーグー文句を言っています」

「すぐ昼食を用意させますぞ!」


 ハハッ、昼御飯請求したった。

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