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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第883話:リモネスと再会する

 足早にその飄々とした男はやって来た。


「おっちゃん久しぶり!」

「美少女戦士殿。ついに皇宮へ来られたのですな」

「そうそう。『アトラスの冒険者』のクエストで。あたしの名前ユーラシアね」

「ほう、地母神の名ですな」


 飛空艇を落としたあと、テンケン山岳地帯にこもってた時に知り合ったリモネスさんだ。

 他人の考えていることがある程度わかる『サトリ』の固有能力持ちなので、あたしの言ってることが本当だとわかってもらえるだろ。

 リモネスさんと盛り上がってるところへ、近衛兵長さんが話しかけてくる。


「リモネス殿、ではこの少女の言うことは信用してよいのですな?」

「うむ、私が保証しよう」

「しかしリモネス殿とドーラ人がどこで……」

「あたしとおっちゃんくらいになると色々あるんだよ。男女の仲を詮索するのは無粋だなー」


 アハハと笑い合う。


「ルキウス皇子殿下がどうかされたという話でしたかな?」

「おっちゃんに聞きたいところなんだ。プリンスルキウスが大使としてドーラに来てるの、帝国本土の人は皆知らないのかな?」

「公にされていない、というわけではないです。が、あえて触れる人はいませんな」


 ははあ、微妙な言い方だね?


「……プリンスが随員連れずに来たことと関係してるのかな?」


 リモネスさんと近衛兵長さんが顔を見合わせる。


「お察しくだされ」

「むーん?」


 考えていたより第二皇子の権力基盤は盤石っぽい。

 いくらパラキアスさんが工作してても、プリンスがドーラに来てること自体が知られてないんじゃ、どー考えたってプリンスを持ち上げる効果は微々たるものだ。

 第二皇子の権威を落とす効果はあるかもしれんけど。

 しかしリモネスさんと近衛兵長さんは第二皇子寄りではないんだね?

 了解。


 近衛兵長さんが聞いてくる。


「ルキウス殿下のレベルを上げたというのは?」

「うーん、言いづらいこともあるから、人払いしてもらっていい?」


 リモネスさんと近衛兵長さん以外の兵士達を下げてもらう。


「ドーラ政府は、プリンスルキウスが主席執政官の第二皇子に煙たがられてドーラに左遷されたと見てるの。でもぶっちゃけ対ドーラ戦を企図した第二皇子が帝国の最高権力者って、都合がよくないじゃん?」

「ハハハ、これはぶっちゃけましたな。ふむ、ドーラはドミティウス皇子を帝国の最高権力者と見ていますか」

「皇帝陛下が病床に臥せっている中での主席執政官なんでしょ? ……そう長い時間を経ずに、摂政になるかあるいは皇帝になると見てるよ」


 今上陛下死後の話だ。

 さすがに重苦しい雰囲気になる。


「で、帝国首脳部がプリンスルキウスをどう扱ってるかなんて一目瞭然じゃん? 一人で放り出すんだから。プリンス本人が島流しって言ってたくらいだわ。ドーラ政府がプリンスをチヤホヤしたら、こっちが帝国に睨まれちゃう」


 頷く二人。


「とゆーわけで、ドーラ政府はプリンスルキウスの待遇を良くできないから、十分な警備員や衛士をつけられない。となると身の安全に問題があるんで、プリンス自体が強くなるしかないでしょ? だからレベル上げしたの」


 近衛兵長さんが言う。


「ちょっと待ってくれ。レベル上げとはどういうことなのだ?」

「うちのパーティーに同行してもらって魔物退治すると、レベルは上げられるよ」

「合同訓練の類だな? レベル五〇というのは?」

「えーと、デカダンスとかの人形系魔物を狙って倒していくと、割と効率よくレベル上げられるって言うか。近衛兵長さんやリモネスのおっちゃんならあたしのレベルくらいわかると思うけど、レベル上げはあたしの得意技なんだ」

「「……」」


 黙っちゃいましたか。


「天然ものの人形系レア魔物ということか……」

「非常に面白いですな」

「ではルキウス殿下が現在レベル五〇というのは冗談ではないんだな?」

「うん」


 だからそう言ってるじゃん。

 何のためにリモネスさんいると思ってるのよ?


「いや、すまなかったな。精霊使いはシャレにならない冗談をかますことがあるから気をつけろ、と手紙にあったのだ」

「そーですか」


 魔法の葉青汁が相当堪えてるらしい。

 プリンス自身が飲んだのに、あたしに責任を押しつけるとは。


「もう一つ殿下の手紙から要領を得ないことがある」

「何だろ?」

「君はドーラでどういう立場にいるんだ?」

「立場? ただの一般人の冒険者だよ」


 大きく頷くリモネスさんと解せぬ顔の近衛兵長さん。


「……わけがわからない。どうして一般人が新大使として赴任した殿下と昵懇に?」

「ドーラの偉い人に、政府としてプリンスに肩入れするわけにいかないから、君頼むって言われたんだよ」

「政府関係者なんじゃないか!」

「違うよ? 給料もらってるわけじゃないし、いくら偉い人に頭下げられても嫌なことはやんないし。あたしはプリンスに味方した方が楽しい未来になりそーだから、自分の勝手で贔屓してるんだよ」


 リモネスさんが言う。


「ふむ、その楽しい未来というのは?」


 あんた他人の考えてることがわかるんじゃないのかよ?

 あ、近衛兵長さんに聞かせるためですか。


「大きい商売がしたいなー。ドーラと帝国が仲良くできるといいねえ。やっぱり人口が多くないと話になんないからさ。どんどん移民を受け入れて発展させたいし、貿易は貿易でガンガン進めたい」

「大変いいことですな。平和的です」


 近衛兵長さんにも納得いただけたようで。


「プリンスのことはちょっと置いとくね。今日は『アトラスの冒険者』のクエストでこっち来てるんだ」

「『アトラスの冒険者』……噂には聞いたことがある。転送魔法陣で旅する、世界の調整者とか……」

「大げさなもんじゃないんだよ。あたしは『アトラスの冒険者』になって、魔物肉を自由に狩れるようになったことが一番嬉しいな」


 話が脱線したが、お肉は正義だから仕方ない。


「で、魔法陣が設置されるということは、何かこっちで困りごとがあるから解決しろってことなんだ。冒険者の手の必要なことって何かある?」


 顔を見合わせる二人。

 正直このクエストの内容は見当がつかない。

 帝国みたいな大きな国で、しかもここは首都だしな?

 騎士や近衛兵もいるのに冒険者のクエストになるようなことって?

 

「困りごと、確かにありますな」

「うむ、こちらへ」


 あるらしいぞ?

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