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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第875話:明日は地引網

 行政府から帰宅後、漁網を届けに開拓地に行く途中だ。

 えっ? 何故直接飛んでいかないのかって?

 天気がいいと歩きたくなっちゃうの。

 

「何だい、これは?」


 緩衝地帯を進んでいたところ、黒フードの男に呼び止められる。

 うむ、カラーズの人にも魚に興味を持ってもらいたかったからな。

 計算通りだ。

 やっぱり歩くのには魂胆があったんじゃないかって?

 そりゃあるわ。

 あたしはムダなことやんないわ。


「これねえ、魚を獲る網だよ」

「へえ?」

「帝国の人は魚を抵抗なく食べるんだ。だから移民にあげてこようかと思って」

「ああ、食料対策なのか。随分デカいんだな」

「空から落としてしばらく置いとくじゃん? あとで陸から皆で引っ張って魚ゴッソリってやつだよ」

「楽しそうじゃねえか。イベントにできるな」


 納得していただけたようだ。

 うむ、地引網は皆で楽しめる。

 そーいやあたしは何で地引網なんて知ってるんだろうな?

 多分賢いからだな。


「買い取り屋さんも、タスキかけてわかりやすくなったよ。手持ちに魔宝玉があったわ。買ってくれる?」

「おう、もちろんだ! まったく最近買い取り屋をゴミ回収業者と勘違いしてる輩が増えて……ってこりゃ、黄金皇珠じゃねえか!」

「あたしは冒険者だからさー。原則所属するギルドに売るんだけど、たまにはこっちの買い取り屋さんも儲けさせてあげようかと思って」

「ありがたいぜ! えーと二万ゴールドで引き取るがいいか?」

「うん」


 二万ゴールドを受け取る。

 かなり懐具合に余裕はできたが、来月のあったかパワーカードの納品量は多い。

 引き取りには今月以上のおゼゼが必要だしな?


「じゃーねー」

「おう、サンキューな」


 転移石碑から開拓地へ。


          ◇


 うんうん、忙しげに動き回ってる人が多いね。

 今年は水路を通さなきゃいけないのと同時に、畑も作んなきゃいけないから大変だ。 

 水路が完成するのはいつまでかかるのかなあ?


 さて、サブローさんいないかなっと。

 あ、知った顔だ。


「おーい、ディオ君!」

「あっ、ユーラシアさん! お久しぶりです」


 青の民族長代理のディオ君だ。


「ディオ君はいつも開拓地の方にいるの?」

「なるべく毎日様子を見に来るようにはしています」

「あたしこっち来るの、この前ディオ君と会った時以来なんだ。随分景色が変わったねえ。家がたくさんになった」

「そうですね。皆生き生きしてますよ」


 うむ、食べ物と住むところがあれば希望も見えるだろう。

 ディオ君も開拓地をよく見に来るってことは、ショップの方にさして不安はないんだろうな。


「ところで今日はどうされたんですか?」

「サブローさんいるかな? これ渡しに来たんだよ」

「網? ですか?」

「そうそう。魚捕まえる網」

「よう、精霊使いのお嬢ちゃんじゃねえか」


 ナイスタイミング、サブローさんだ。


「新天地で頑張るおっちゃんにプレゼントだぞー」

「おっ? 魚網じゃねえか」

「使って魚も食料にしてよ」


 微妙な表情になるサブローさん。


「いや、ありがてえが、舟も出せねえんだろ? 魚人との関係で。魚のいるところまで網を張ることができねえよ」

「そこで美少女精霊使いのプレゼント企画第二弾炸裂!」


 『遊歩』のパワーカードを渡す。

 ハハッ、サブローのおっちゃんのわけわからなそうな顔面白い。


「何だ? カード?」

「体内の魔力を流し込むと起動するんだ。こういう機能があるよ」

「お、浮いてる?」

「すごい!」

「これで海の上から網を落として、地上で引っ張ればいいよ。海の一族との取り決めには引っかからないからね」

「ほーん、考えたな」

「まずこの『遊歩』のパワーカードを使ってみてくれる? 飛ぶって考えるだけで飛べるし、進みたい方向をイメージすれば自在に動けるから」


 恐々宙に浮いたサブローさんだが、すぐにあちこち飛び回る。

 うんサブローさんくらいのレベルだとコントロールも難しくないらしい。

 問題なく使えるな。

 着地するやいなや興奮気味に話す。


「すげえ面白いものがドーラにはあるじゃねえか! もらっちまっていいのか?」

「いいよ。でも飛行魔法はレベル依存なんだよね。レベル二〇はないと使えないんだよ。今いる移民では該当者おっちゃんだけだな」

「ほーん、使用に制限があるのか」

「だから地引網やるときは、おっちゃんが音頭を取ってやってね」

「おう、わかったぜ!」


 ディオ君が聞いてくる。


「魚っておいしいんですか?」

「美味いぜ。生で食うと腹壊すことあるから、火通すのが基本だ」

「おいしいよ。レイノスでは海の王国から魚仕入れて、フライが大流行だよ」


 あ、閃いた!


「釣りでも漁でもいいんだけどさ、売れそうな魚あったらカラーズ緩衝地帯で販売してくれて構わないからね」

「ありがてえ。正直金がねえと不便なんだよな……」


 当たり前だわ。

 移民が金持ちになってくれないと、こっちだって商売できないからつまらん。

 となると開拓地にも働く場所があるのが理想だが……。

 パワーカード工房に出稼ぎに行く人いないかな?

 おゼゼになる作物を作らせたいが、今は腹の足しになるもの作んなきゃいけないし……。


「うーん、ダメだわ。今は食べる方がどう考えても先だなー」

「まあな。重々わかってるんだけどよ」

「今年一年頑張れば、食べてく方に関しては要領がわかると思う。そしたら畑広げて商品作物にシフトしようよ。あたしも儲かりそーな作物を調べとくからね」


 土地の広さのある開拓地で商品作物を大規模栽培できたら、輸出品の増加にもなりそうだ。

 あたしも帝国へ行けるようになるからチェックしないとな。

 ディオ君が提案する。


「明日、その網を使って漁をしてみませんか?」

「おう、試しにやってみるのも一興だ」

「じゃ、あたしはお肉少し狩ってくるね」

「「え?」」


 だって絶対魚獲れるならいいけど、空振って食べ物なかったらガッカリじゃん。


「いいとこに気付いたな。任せるぜ」

「お肉は任された。ところで、魚食べたことない人でも食べやすくするにはどうしたらいいかな?」

「骨がなければ食いやすいぜ。切り身にして焼いて塩か醤油でオーケーだろ」

「ドーラには醤油がまだ普及してないんだよなー」


 ここにも課題が。

 まあいい。

 できるところからだ。


「今日は帰るよ。明日朝、様子見にくるね」

「おう、またな」

「さようなら」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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