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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第861話:ボニーのトラブル

 フイィィーンシュパパパッ。

 魔境ベースキャンプの転送魔法陣からギルドへやって来た。

 換金してこよーっと。


「やあ、ユーラシアさん。今日もチャーミングだね」

「こんにちはー、ポロックさん」

「こんにちはぬ!」

「今日はヴィルちゃんも一緒かい? いい子だね」

「いい子ぬよ?」


 ヴィルが頭を撫でられて満足そうだ。

 ん、どうしたんだろ?


「あれ? 何かトラブルかな?」

「そうかい? 気付かなかったな」


 ポロックさんもギルド内部を覗き込む。

 依頼受付所だ。

 あのえんじのバンダナはボニーだな。

 とゆーかいつものメンバー、ノブ君やツインズはどーした。

 やらかしたか?


「こんにちはー」

「あ、ユーラシア先輩」


 ボニーのタレ目目尻がもっと下がっている。

 さては困り顔だな?


「どうしたの? 面白い顔して」

「そ、そんなに面白い顔してる?」

「何でちょっと嬉しそうなんだよ」


 もーこいつは芸人スピリットに溢れてるんだから。

 つくづく愉快だな。


「で、何事よ? 愉快な困り顔に相応しい、結構なトラブルを期待しているよ」

「えっ? 大事じゃないんだが」

「冗談だとゆーのに。何なの?」

「実は……」


 依頼を請けたが達成できないということらしい。

 ははあ、ありがちではあるが。


「どんな依頼だったん?」

「これなんだが」

「何々? 強草二株本日中か」

「ああ、これを強草だと思って持ってきたんだけど……」

「なるほど。似てるっちゃ似てる」


 一人で請けてたなら、まさか退治とか護衛の依頼ってことはない。

 アイテムの調達だろうとは思ったが、間違えて異なる草を持っていたのに請けちゃったってことか。

 うちにはアイテムオーソリティのクララ大先生がいらっしゃるので、この手のトラブルは起きない。

 が、経験の浅い冒険者だと何度かやることなのかもなあ。


「サクラさん、依頼って失敗するとどうなるの?」

「ペナルティで、一ヶ月間依頼所クエストが請けられなくなるんですよ」

「むーん?」


 おっぱいさんも困った顔してるとこ見ると、依頼のキャンセルが利く段階にない。

 多分ボニーはツインズやノブ君よりレベルが低いから、少しでも追いつこうとしたんだろうな。

 とすると依頼所クエスト一ヶ月間のロスは痛い。

 というか後輩が頑張ってるのに、あたしが気分悪いわ。


「ちょうどさっき手に入れた強草一個あるからあげるよ」

「えっ?」

「とぼけた声出すんじゃないよ。今相応しいセリフは『先輩愛してる!』だぞ?」

「そ、そうか。ありがとう、先輩愛してる!」


 おお、なかなか勢いがあっていいじゃないか。

 おっぱいさんも笑ってら。

 ってのはさておき、本日中の依頼ということは、実質依頼受付所が閉まるまでの二時間ちょい。

 こんなもん取れるか取れないかは運だから、ちと厳しい時間だな。

 食堂にいた冒険者達に声をかける。


「皆注目! 強草一株持ってる人いない? 美少女精霊使いが素敵なプレゼントと引き換えるよ!」


 何だ何だ、また精霊使いのイベントか? みたいにやじ馬が集まって来る。


「オレ、強草持ってますけど」


 よっしゃ、ラッキー!

 知らん子がおずおずと手を上げる。

 ふむ、なかなかいい身体してる。

 明らかに前衛向き。

 レベルは低いから、おそらく冒険者希望でレイノスかカトマス辺りから来たんだろう。


「新人さんかな? 自己紹介お願いしようか」

「レイノス出身のチトーです。レベルは四、前衛希望です。冒険者を志してここドリフターズギルドに来ました」

「チトー君です、拍手!」

「「「「パチパチパチパチ!」」」」


 ハハッ、照れんでもいい。

 でも皆に名前を周知してもらうことはいいことだよ。


「チトー君はどうして強草持ってたの?」


 低レベルなのに不思議だな?


「たまたま先ほど参加させていただいたクエストで、分け前としていただいたんです」

「気前のいい先輩でよかったねえ。さてここでチトー君に運命の選択だよ! 強草一個と交換に何を得るのか?」


 三つの選択肢を示す。


 一:凄草と交換する。

 二:今日中にレベルを一〇まで引き上げる。

 三:両手に花。


「さあ、どれがいい?」

「や、やっぱり引き換えないというのは……」

「そんな選択肢はない」


 何だよ。

 胡散臭いと思ったか?


「おい、チトー。精霊使いは損な取り引きは持ちかけねえから、安心していいぜ」

「で、では一で」

「おいこら新人、一番つまんねえやつだ」

「ここは三番がお約束だぜ!」


 周りから野次が飛ぶ。

 まああたしもそー思わんではないが、ここからイベント仕立てにしたる。


「ちょっと待っててね」


 転移の玉で一旦帰宅し、予備の凄草一株を持って再びギルドへ。


「さて皆さんお立会い! これがレアステータスアップ薬草の凄草だよ!」

「凄草なんてもんがすぐ出てくるところが精霊使いだな」

「本物かよ?」

「いや、以前ポロックさんの娘に凄草を進呈したって聞いた」


 本物だとゆーのに。

 見てればわかるとゆーのに。


「チトー君。これに触れてくれる?」

「はい、わかりました」


 ギルドカードに触らせ、現在のステータスを表示させる。


「はい注目! 凄草を食べることによってパラメーターがどう変化するか、見てみようじゃないか」

「リアルタイムでステータス値の上がるところが拝めるってことかい?」

「ほう? 面白いな」


 興味を持つやじ馬達。

 あたしも凄草一株でどんだけパラメーターが上がるか知りたいしな。


「じゃあチトー君、ギルカに触れたまま、反対側の手で葉っぱつまんで食べてくれる?」

「わかりました。あ、甘い!」

「新鮮な凄草は甘いんだ。でも時間が経つと不味くなっちゃうの」

「おい、あんた新鮮な凄草なんて、どこから手に入れてきたんだよ?」

「乙女の秘め事かなー」

「何だそれー!」

「お、早速最大ヒットポイントが上がったぞ?」


 本当だ。

 パラメーターの上がる瞬間が見られるって、思ったよりワクワクするじゃないか。


「今度は運が上昇したぞ」

「へえ? ステータスアップの薬草って、本当に効果があるんだな」


 うむ、確かにステータスアップ薬草食べたって効果見えにくいもんな。

 いつの間にかやじ馬冒険者達も惹き込まれている。


「……最大マジックポイント上昇。これで敏捷性以外は上がったか?」

「あ、また最大ヒットポイントが上がった」

「来た! 敏捷性だ」


 ヴィルがソワソワしてるんだけど?

 でも悪い感情じゃないから大丈夫だろ。

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