第859話:恋愛談義
フイィィーンシュパパパッ。
魔境にやって来た、が?
「あっ、いらっしゃいませ、ユーラシアさん」
「こんにちはー! ゲレゲレさんとピンクマンがいる! ラッキー! ちょっと待っててよ」
すぐに転移の玉で家に戻り、ブツを持って再び魔境へ行く。
「ゲレゲレさんこれあげる。攻撃力と魔法防御の上がる手袋だよ。ピンクマンには魔法銃ね。かなりグレードの高いものだって。ヴィルカモン!」
「一体何だ? いつにも増して出し抜けじゃないか」
「ありがたいぴょんが、どうしたんだぴょん?」
「クエストで手に入れたんだよ。あたし達のパーティーは全員パワーカード使うから、普通の装備品はいらないし」
「そういうことなら、喜んでいただく」
「うむ、身どももだぴょん」
よしよし、バアルのお宝を渡せた。
特にゲレゲレさんにはほとんど会えないから、今日はツイてたわ。
あ、来た。
「じゃじゃーん! 御主人に呼ばれてヴィル参上ぬ!」
「……ユーラシア君が悪魔を可愛がってるという話は聞いたぴょんが」
「いい子だよ」
「いい子ぬよ? 御主人、このウサギさんは誰かぬ?」
「ゲレゲレさんだよ。挨拶しておきなさい」
「よろしくお願いしますぬ!」
「こちらこそぴょん」
「やー、よかった。ゲレゲレさんと連絡取るの大変でさ。これからは用があったらヴィル飛ばすからよろしくね」
「ほう、楽しみだぴょん」
「行ってくる!」
「待て!」「あっ、待ってください」「待つんだぴょん!」
三人に呼び止められる。
何事?
魔境があたしを待っているんだが。
「ユーラシアさん、何かゲレゲレさんに言うことがあるのではなかったですか?」
「あるある。ゲレゲレさん久しぶり! 行ってくる!」
「まるで嵐のようだぴょん」
「アハハ。褒めても何にも出ないよ」
オニオンさんが言う。
「ユーラシアさんの赤眼族クエストのことで……」
「思い出した! オニオンさんありがとう!」
気が急いてたからか、ちょっと頭から抜けてたな。
ヴィルを紹介したから、これからはいつでも会えると油断したせいもある。
「あたし今、赤眼族のクエスト請けてるんだよ」
「ふむ、赤眼族のクエストか。彼らはノーマル人嫌いぴょん。接触にそもそも苦労するぴょん?」
「いや、コンタクトは大丈夫なの。二ヶ月半くらい前に赤眼族の集落で火事があって、冬越しの食料が皆焼けて困ってたんだって。ピンチに美少女精霊使い登場、お肉を押しつけてきたから、すぐに仲良くなれた」
「さすがユーラシア君だぴょん」
何がさすがなんだ。
火事はあたしのせいじゃないわ。
「けど、どうすればこのクエスト完了になるのかがわかんないんだよね。ゲレゲレさんも一〇年位前に赤眼族に関係したクエスト請けてたと思うんだけど、その時のクリア条件は何だったの?」
オニオンさんも頷いている。
このアプローチで正解だな。
ゲレゲレさんが首をかしげる。
「……ふむ、確かに身どももあのクエストは意味不明だったぴょん。六、七回村に通った頃であろうか。何をしたとかでなく、転移の玉で帰還した時に唐突に完了になったぴょん」
「ははあ?」
接触した回数かもしれないな。
異世界が赤眼族を監視している説が本当ならおかしくはない。
「あとでレポートを書いて提出したぴょん」
「レポート?」
いよいよ赤眼族を監視している説が濃厚だ。
「書きものは苦手だな。ゲレゲレさんピンクマン、他のクエストでレポート書かされたことなんてある?」
首を振る二人。
状況証拠は揃ってきた。
「ありがとうゲレゲレさん。で、オニオンさんとピンクマンは何なの? ラブい話だと思うけど」
「おお、ユーラシア君すごいぴょん!」
まあピンクマンがサフラン連れてきてないし、見当はつく。
「ははーん。この中で唯一の既婚者であるゲレゲレさんに相談してたんだね? でも心配はいらないよ。この二人の場合は相手の方が惚れてるんだから」
「ふむ? イマイチ話を聞いていても要領を得なかったぴょん」
ハハッ、状況が目に浮かぶわ。
話聞いてても惚気なのか真剣に困ってるのかわからんだろうからな。
ゲレゲレさんにあらましを話す。
「何の問題もないぴょん?」
「ないねえ」
「いえ、サクラさんも忙しい方ですので、なかなか進展しないというか……」
まあオニオンさんの方は若干難しめだが。
「おっぱいさんって何人家族なんだっけ?」
「五人です。御両親とお婆さん、弟さんがいると聞いています」
「お土産持ってお宅を訪問すればいいじゃん」
「えっ?」
アタフタすんな。
進展って積極策に出ろとゆーことだ。
「賛成だぴょん。早いか遅いかなら、早い方が御家族の印象はいいと思うぴょんよ」
「ほらほら、ゲレゲレさんだってそう言ってるじゃん。覚悟決めなよ」
「わ、わかりました」
頑張ってくださいニヤニヤ。
「カール君の方はどうぴょん」
「どうって、認めりゃいいんじゃないの?」
「認める? 小生が何を認めればいいのだ?」
「要するにこの前のイシュトバーンさんの絵で改めてサフランの魅力に気付いちゃって、ギクシャクしちゃってるってことなんじゃないの?」
「!」
驚愕するピンクマン。
ハハッ、気分がいいなあ。
「そうなのかぴょん?」
「サフランの絵の日以来、ピンクマンには会ってなかったから知らないけど、あたしの乙女チックラブセンサーは優秀なんだなー。ピンと来た」
「……何を認めればいいのだろうか?」
「サフランをありのまま認めろってことだよ。黒の民族長の親族だったからなのか他の理由であえて遠ざかってたのかわからんけど、サフランはあんた好みの要素多いよ?」
おっぱいないし童顔だしな。
身長があるからロリと認識してなかっただけだと思う。
「ピンクマンは意識し始めると途端に動作がぎこちなくなるのも知ってる。でもサフランは多分全然気にしないぞ? 意識させたったぞやったあ、くらいに思ってるはず。何が問題なのよ?」
「ユーラシア君は実によく見てるぴょん」
「本当に」
ゲレゲレさんとオニオンさんが感心してる。
だからあたしの乙女チックラブセンサーは優秀だと言ってるのに。
もっと信用しろ。
「……サフランはモテるだろう?」
「うん」
黒の民の村で最もファッショナブルかつ華やかな少女らしいからな。
黒の民の評がなくても、イシュトバーンさんが喜んでモデルにしたがるくらいには魅力ある。




