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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第856話:皇宮クエストはどうなんだ?

 ソル君パーティーをうちに連れてきて、バアルのお宝の装備品を見せている。


「これがソル君向きかなと思ってるんだ」

「これは……炎の魔法剣ですか。すごい業物ですね」

「でしょ? バアルのお宝だけのことはある」


 真剣に刃を見つめるソル君を真剣に見つめるアンセリの図。

 そして何故かバアルが満足げだ。

 こーゆーのも認められたことになるからかな?


「セリカの固有能力が『氷魔法』と『雷魔法』だから、バランス的に炎属性のやつがいいかと思って」

「「ピッタリです!」」

「うむ、なかなか似合っているである」


 ソル君が握りや重さを確認して軽く素振りをしている。

 気に入ってもらえたようで何より。


「アンセリにも何かあげるよ」

「いいのか?」

「ありがとうございます!」


 アンは既に矢の自動生成機能付きの箙は持っていたので、籠手がいいそうな。

 セリカには雷属性魔法の威力の上がる短い杖をあげた。


「これ手に入れたの一ヶ月くらい前で、ずっとソル君達にプレゼントしようと思ってたんだよ。でも素性がわかんなくてさ」

「素性? どういうアイテムかわからないってことですか?」

「いや、手に入れた経緯が怪しかったんだよ。マジックアイテムだと、他所からでも探知できそうじゃん? バアルが迷惑かけちゃうといけないから」


 まあ主催者がバアルかなと、最初から薄々思ってはいた。

 性格も知らなかったし、アイテムを手に入れた者に嫌がらせするとかはあり得るかと。

 首を振るバアル。


「吾はそんなことはしないである。リスクを負って宝箱を開けるという、正当な取り引きであったゆえ」

「ごめんよ。全然リスクを感じてなかったから」

「吾が主が異常なのである」

「ハッハッハッ。褒めても何にも出ないぞー」

「褒めてないである!」


 アハハと笑い合う。

 バアルも愉快なやつだなあ。


「今イシュトバーンさん家に置いてあるけど、バアルのくれた美術品が素晴らしかったんだ。いずれバアル美術館を建てて観光客を呼びたいの」

「観光客?」

「ドーラ良いとこ一度はおいでちょいなちょいなってやつだよ」

「光栄である!」


 ソル君が言う。


「帝国から物見遊山目的のお客を呼んで、ドーラにお金を落としてもらうと?」

「そゆこと。ドーラに箱物を作るおゼゼがないから、実現は遠いけどね」


 お客さんが敬意を払って美術品を見てくれるなら、バアルは悪さをしなくてもいい負力を手に入れられるのではないか、という目論みもちょっぴりある。

 まあまだどうなるかわからん話だ。

 帝国とドーラの関係がもう一つ肌感覚でわからんし、美術館一つだけで客を呼べるとも思えん。

 皇宮クエストをもらったから、帝国の様子を観察したりドーラを売り込んだりしないとな。

 あれ、商売上の重要性が高いクエストだぞ?


「ところでユーラシアさんは今、どんなクエストに取りかかってるんですか?」

「赤眼族関係なんだけどね。クリア条件がわかんなくて。あ、そーだ。ソル君ドラゴンスレイヤーになる前、獣人のゲレゲレさんに会ってるよね?」

「ゲレゲレさんですか? はい、話をしたのは魔境で一回だけ。その前に掃討戦後のユーラシアさんの慰労会で拝見したことはありますが」

「魔境かー。いや、一〇年位前だと思うけど、ゲレゲレさんが赤眼族のクエスト請けててクリアしたっぽいんだよね。話聞けたらと思ったんだけど」


 ポロックさんの話を聞いて、必ずしもゲレゲレさんに会う必要はないとも思い始めているが、情報は多いに越したことはないのだ。

 ソル君が難しい顔になる。


「オレもたまたまだったんですよ。ベースキャンプで会って、ペコロスさんに紹介されたんです」

「偶然だったのか。ゲレゲレさんは魔境行くのかな?」

「月二、三回訪れて、離乳食代を稼ぐみたいな話をされてましたよ」

「ゲレゲレさんとこ双子の赤ちゃんがいるんだよ。すげー可愛いの」


 離乳食うんぬんはジョークだろうが、月二、三回回は魔境へ行くのか。

 ギルドで会うより難易度低いかな?


「うん、ありがとう。魔境はまた通うことにするよ。おゼゼも足りないし」

「どうしてユーラシアさんがお金に苦労してるのか、ギルドの七不思議ですねえ」

「ああ、ユーラシアさん知っているか? ギルドの七不思議の全部にユーラシアさんが関わっているんだぞ」

「何それ。初耳だよ」


 セリカとアンの衝撃発言だ。

 何なのギルドの七不思議って?

 さてはダンが余計なことしてるんだな?


「ダンさんだけじゃないんですよ」

「カールさんとかラルフとかヴィルとか」

「何故そこにヴィルの名が?」


 再びの衝撃だよ。

 まさかヴィルが悪魔らしい暗躍を?


「ヴィルちゃんは、ユーラシアさんがいなくても時々ギルドに遊びに来てるんです」

「へー、知らなかったわ」


 ギルドでも知らんことはあるもんだ。

 ヴィルも皆に可愛がってもらえるから、気分がいいんだろう。

 ……ってことはあたしの掴んでない情報も、ヴィルはギルドで聞いてる可能性があるのか。


 ソル君が言う。


「皇宮クエストは、最初が難しいでしょう?」

「逆にファーストコンタクトが上手くいって、自由に行き来できるようになればかなり面白いかな」


 帝国の首都メルエルへお手軽に行けるし、宮殿だったら有力者と知り合いになる機会もありそう。

 マジで最初が肝心だ。

 不審者と思われちゃったら次がない。


「リリー皇女を連れていくんですか?」

「……悩みどころだね。まだわかんない。リリーも色々あってドーラに来たみたいだから」


 向こうの生の状況を知ることができたら、判断もしやすい。

 病床にあるという皇帝陛下や実母の皇妃殿下には会わせてやりたいが、想像以上に人間関係がドロドロしてるんだったらパスだしな。


「ユーラシアさんのことだ。どうせ警備兵か近衛兵かを丸め込むんだろう?」

「一番楽で揉めない展開だね。でも皇帝の寝室に飛ばされるのかもしれないし」


 冗談抜きで最初に拗れると困っちゃうやつだ。

 せめて皇宮のどこに転送されるのかがわかればいいんだが。

 一度行ってみるしかないんだよなー。


「今日はありがとうございました」

「ゆーしゃさまのぜんとにさちあれっ!」

「アハハハ、何ですかそれ?」

「知り合いの占い師が言ってくれるんだよ。元気が出るの。じゃあまたね」

「「「さようなら」」」


 ソル君が転移の玉を起動し、姿を消す。

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