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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第855話:俺より強いやつに会いに行くタイプ

「ところで悪魔バアルの話を聞かせてくださいよ」


 うむ、ソル君も魔王クエストなら、なるべく悪魔に関する情報が欲しいだろうしな。

 ナップザックから籠を取り出す。


「じゃーん、大悪魔登場!」

「大悪魔バアルである! 以後見知りおくである!」


 籠の中のバアルを興味深そうに見つめる、ソル君パーティーの三人。

 思ったよりノリが悪いぞ。

 もう少し盛り上げてやらないとバアルが可哀そう。


「レベルを一にされたというのはどういうことですか?」

「それは正確じゃないんだ。ペペさんから買った魔法で……」


 『ロック&デス』の魔法がうんぬんかんぬん。


「つまり、経験値をコストにするほどのスキルでないと仕留められなかったと?」

「でもなかったけど、なかなか面白い子だから塵にするのは可哀そうじゃない?」

「主は吾を認めたのである!」

「うちのブレーンだよ」


 時間差で頷くソル君パーティーの面々。

 あたしがバアルをどう扱ってるか理解したのだろう。


「今朝たまたま魔王の話してたんだよ」

「どんな話でした?」

「悪魔は一般に悪感情好きって言うけど、承認とか尊敬とかはもっと好きなんだって。でも悪魔同士は出会うとマウントの取り合いになっちゃうから、大体ソロ活動なんだそーな」

「認め合うことがないと」

「吾を尊敬するがいいである。吾が認めるのはおかしいである」

「おおう」


 どの悪魔も多かれ少なかれこんな感じなんだろうな。

 衝突する理由がわかるわ。

 どんだけヴィルがいい子なのかも。


「で、他の多くの悪魔を降すほど力の強い悪魔がいて、それを『魔王』って言うんだって」

「他の多くの悪魔を降すほど力の強い悪魔……」


 聞いただけでも一筋縄ではいかないだろうって気はする。


「ねえバアル、ヴィル。今の魔王ってどんな子?」


 せっかくだからソル君に情報を提供して差し上げろ。

 あたしも知りたいけれども。


「力を最上の価値観とする者である」

「わっちよりずっとレベルは高いぬ」


 ヴィルのレベルは五〇弱くらいだ。

 してみると、今朝バアルの言ってたようにかなり強いな。

 当たり前だけれども。

 

「幹部として従えている高位魔族は一〇名以上いるはずである」

「ここの世界に住んでるぬよ」

「理由はわからぬであるが、中立を保っているである」


 一〇名以上の悪魔って、もし敵に回ったらメッチャ厄介だなあ。

 『ここの世界』とは、亜空間を隔てていないこちらの実空間という意味だろう。

 ドーラと帝国しか目に入ってなかったけど、こっちの世界も広いなー。

 でも中立って、人間を敵にしてないってことか。

 あれ? 魔王とその家来は、どうやって活動するための悪感情を得ているんだろ?


「だって。ソル君達、何か質問ある?」

「魔王と人間が敵対する可能性はありますか?」

「おおう、真っ直ぐに来たねえ」


 バアルが首をかしげる。


「どうであろう? そうした欲望を持っているようには思えぬやつであるが」

「ライバルとは戦いたいかもしれないぬ」

「ははあ、俺より強いやつに会いに行くタイプ?」

「そうである」「そうだぬ」


 魔王って、悪魔っぽくない性格みたいだな。

 いや、だからこそ魔王なんてやってるのか?

 アンが呟く。


「変じゃないか。何故クエストになるのだろう?」

「納得いきませんねえ」


 魔王の暴走を止めろということではないらしい?

 ならば……。


「案外魔王が困ってるんだったりして」

「えっ、魔王がですか?」


 セリカは笑うけど。


「ライバルを紹介しろーとか」

「まさか」

「あり得るである」

「「「えっ?」」」


 バアルも普通のクエストじゃないって見解か。


「もしライバル探しなら、ソル君に相応しいクエストだったね。魔王のライバルは当然勇者だろ」

「「そうですねっ!」」


 アンセリの同意は得られた。

 こらソル君、遠い目をするな。


「楽しみなクエストだねえ。魔王と仲良くなったら紹介してよ。うちの子達面白いから、魔王も愉快な子なんじゃないかなーって思ってるんだ」

「ハハハ」


 曖昧に笑うソル君。


「いや、魔王にスキル教えてもらえるかもしれないじゃん。すげえスキル知ってるかもしれないよ? 何たって魔王なんだから」


 魔王たらしめている必殺技か何か、持ってるんじゃないだろうか。

 『スキルハッカー』の固有能力持ちソル君は興味あるんじゃないの?


「……なるほど、惹かれますね」

「でしょ? あとから考えると、クエストは皆それなりに楽しめたからなー」

「ユーラシアさんはいつも楽しそうですってば」

「楽しそうだぬ!」


 アハハと笑い合う。

 よしよし、ヴィルいい子だね。


「ユーラシアさんの方のクエストはどうなんです?」

「いや、どうなんだろ? 宮殿だよ。ドレスコードとかあったりする?」

「今日の服装は可愛らしいじゃないか」

「ありがとアン。今日例の画集用の絵描いてもらったの。この服装はレイノスの服屋さんのやつでさ。ニューファッションも輸出品候補だから、帝国の人の目に触れるようにっていう仕掛けなんだよ」

「一々意味があるんですねえ」


 画集による宣伝効果がどの程度威力を発揮するかはわからんけどね。


「ユーラシアさん自身の見解としては?」

「皇宮クエストはとっかかりが難しいかな。でも皇族の住む宮殿に、明らかな武器持ちで入るわけにいかないじゃん? ソル君よりあたしが請けるべきだとは思う」


 三人が頷く。

 パワーカード装備者は一見手ぶらだからな。

 まあ精霊連れも相当怪しいとは思うが。


「ねえバアル。帝国の皇宮だとどんなクエストだと思う?」

「戦闘は考えにくいであろう? となると何らかの陰謀でもあるのか、あるいは皇族貴族の人間関係のもつれなのか、サッパリわからないである」

「色々考えられるってことね」


 出たとこ勝負だな。

 しかし転送先がどこなのかは割とドキドキするわー。

 重要な会議やってるところのド真ん中に飛ばされちゃったら事件だぞ?

 ヤバ過ぎてクリアできる気がしないわ。


「ごちそうさま。ソル君達今から時間少しいいかな?」

「どうしたんですか?」

「大悪魔がくれたお宝があるんだよ。結構な魔法の装備品があるからもらってくれないかな」

「逸品揃いであるぞ!」

「いいんですか?」

「いいのいいの。こういうのは使ってナンボだから」

「では喜んでいただきます!」


 ウキウキのソル君パーティーを連れ、フレンドで転移の玉を起動し帰宅する。

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