表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

844/2453

第844話:ほこら守りの村の怪再び?

 ――――――――――一五九日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「おっはよー!」

「おう、待ってたぜ」


 イシュトバーンさん家にやって来た。

 既にスタンバイしている。


「これ、お土産のお肉と骨だよ」

「ん? 朝から魔物狩りしてたのか?」

「もちろん。食の確保は何より大切だからね」


 あたしが成人して独立したのは去年の精霊の月、所謂三の月だ。

 あれから一一ヶ月、元々の計画より我が家の人口が倍になっているのにも拘らず、冬越しの食べ物に困らないのは、冒険者になってお肉を自由に狩れるようになったおかげだ。

 レベルアップに伴い食欲も増したせいで、イモや豆の消費量は計算以上なのだが、そこはダイコンや凄草もあるし。

 今年はもっと様々なものを作ろう。


「行くけどいいかな」

「おう、楽しみだぜ」


 転移の玉を起動し、一旦帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 木のまばらに生えた森に降り立つ。

 ほこら守りの村の転送先だ。


「ここはもう少し朝早い時間で、木々の隙間から陽が差す方がいい雰囲気かもな」

「うん」


 もう大分高い位置まで太陽が来ているから、イシュトバーンさんが柄にもないことを言い出したのだろう。

 柔らかい木漏れ日も精一杯頑張ってる冬の日差しも、あたしは両方好きだけど。


「ここねえ、最初は『ほこら守りの村の怪』っていう転送先の名前だったんだ」

「怪? オカルトか?」

「うん。うちのアトムとダンテがビビっちゃっててさあ」

「ほこら守りの村の御神体は霊験あらたかなことで有名だ。神秘的なクエストもあるかもな。でも解決方法は力技だったんだろ?」

「お察しの通りだけど」


 アハハと笑いながら集落の方へ。


「こんにちはー」

「これは精霊使い殿、とイシュトバーン殿?」

「おう、村長久方ぶりだな」


 イシュトバーンさんは顔が広いなー。

 お肉を渡す。


「お土産だよ。皆さんでどーぞ」

「これはこれは。いつもすみませんな」


 どこへ持っていっても喜んでもらえるお肉は、偉大かつ正義だ。


「して、今日はどうされましたかな?」

「絵を描きに来たんだぜ」

「絵、ですか?」


 わかるまい。


「こんなのなんだよ」


 今までのモデルさんの絵を見せる。


「ほほう、これはこれは……」

「イシュトバーンさんの描いたいい女の絵を、画集として売り出そーっていう企画だよ」

「イシュトバーン殿の描いたものでありましたか。多才でありますなあ」

「マーシャと御神体リタをモデルに」

「えっ?」


 村長の言いたいことはわかる。

 あの二人にえっち要素ないもんな。


「世の中いろんな需要があるもんだから」

「そ、そうですか。田舎にこもっていると、都会の流行がわかりませんで……」

「マーシャはほこらかな?」

「はい。今時分はおそらく」


 村長と別れ、土地神様の碑を参ってから参道へ。


「クエストの時はこの参道がループしてて、ある程度魔物の数倒さないとほこらまで行けなかったんだ」

「よほどの魔力が空間に干渉してたんだな」

「御神体の少女霊が暴走しかかってたね。土地神様が消滅しちゃって悲しかったんだって」

「そんな可哀そうな霊を叩きのめすのかよ?」

「美少女パワーで圧倒したね」


 アハハと笑い合う。

 いや、喜んで叩きのめしたわけではないわ。

 他にやりようがなかっただけだわ。


「で、幼女預言者の方は?」

「これがまたわけがわからんくらいすんごい子なの。魔力が溢れ出てるのを周りの人が知覚できるくらいでさ。でも様子が割と自然なんだよね」

「あんたがすんごいって言うくらいか?」

「一目ですんごいってわかるくらいすんごいんだよ。ちっちゃい子なのに、占い師って自分で名乗ってる。占い師になりたいじゃなくてだよ? で、それを誰も疑問に思ってないの」

「ほお?」


 いつもの丸く好奇心に満ちたえっちな目だ。

 今日はモデルが年少だから自粛を勧告したい。


「着いた。せっかくだから参っていくかな。むーん!」


 参拝客用の御神体像に手を合わせて全力で祈る。


『ふおおおおおおおおお?』


 ヴィルがぎゅーされた時みたいな声がする。

 ほこらの中だ。


「何事だ?」

「行ってみよう!」


 以前リタが悪霊になりかけてた時みたいな、ひりつくような悪い雰囲気ではない。

 ほこらの中を覗く。


「おお、奇麗」

「何だこれは?」


 御神体こと少女霊リタが光ってるんだけど?


「あっ、ゆーしゃさま!」

「マーシャこんにちは。リタはどうしちゃったの?」

「とつぜんなのです!」


 暴走してる風じゃないしな?

 リタに声をかける。


「えー、本日はお日柄も良く……」

「こんにちはっこんにちはっ!」

「メッチャ元気だね?」

「今、すごいパワーが流れ込んできたんですっ!」

「あんたのせいじゃねえか」

「ごめん。全力で祈り過ぎたかもしれない」


 だってこんなんなると思わんもん。

 世の中摩訶不思議。


「大丈夫です大丈夫です大丈夫ですっ!」

「だいじょうぶですよ」


 まあマーシャが大丈夫と言うなら。

 落ち着いているマーシャの様子にイシュトバーンさんも興味持ったみたいだ。


「ゆーしゃさま、きょうはどうしましたか?」

「絵を描かせてもらいに来たんだよ。画集を出版するんだ。本や紙を売れるようにすること、帝国に輸出してドーラが儲かるようすることが目的かな」

「さんぎょうをはってんさせて、けいざいをまわすですね?」

「そうそう」


 ハハッ、イシュトバーンさんビックリしてやがる。

 マーシャはわかってる子。


「二人にはモデルになってもらいたいんだ。いいかな?」

「うれしいです。おねがいします」

「大丈夫です大丈夫です大丈夫ですっ!」


 本当に大丈夫かなあ?

 不安になるわ。


「どっちから描かせてもらう?」

「御神体だな」


 フルパワー少女霊に創作意欲が刺激されたらしい。

 見るからに神々しいもんなあ。

 えーと、立って両手を真横に広げたポーズか。

 バエちゃんの絵のポーズに似てるな。

 やや斜めから描くようだ。


「さいきんゆーしゃさまはいそがしいですか?」

「忙しいと言えば忙しいかな。あたしは動くのが好きだから毎日が楽しいねえ。マーシャは?」


 ちょっと質問がアバウトになった。

 今のマーシャがどうかってことには、さほど関心があるわけじゃない。

 もっと先のこと、自分の将来をどう考えているかってことには興味がある。

 マーシャはすごい子だけれども、あたしみたいにあちこち動き回るってのは想像しづらいんだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ