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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第836話:ミサイルは『獣性』

 フイィィーンシュパパパッ。


「ポロックさん、こんにちはー」

「やあ、チャーミングなユーラシアさん」

「早速固有能力を調べようとしてるんだ?」


 うちの子達を連れてギルドに来たら、先回りしていたダンとミサイルがフルステータスを起動してもらっていた。

 ミサイルがパネルに手を当てている。


「レベル一二、攻撃力、防御力、魔法防御に優れているね。固有能力は『獣性』だ」


 あれ、意外とダンが興味津々ですね?

 というか、前々からダンは固有能力に関心があるみたいなんだよな。


「固有能力は『獣性』だって!」

「いいじゃんいいじゃん。ミサイル向きだわ」

「ポロックさん、『獣性』とはどんなやつだい?」

「物理攻撃でクリティカルが出やすいというものだよ」

「ほお、バリバリの戦士向き固有能力じゃねえか。軟弱な魔法なんかよりいいかもしれねえぞ?」

「そうだな!」


 いつの間にかダンとミサイルが仲良くなってやがる。

 きっと精神年齢が近いんだな。


 シュパパパッ。

 おっと誰か来た。

 姫と若だ。


「遅くなりました」

「本当だよ。イチャイチャするのも大概にして欲しい」


 ごゆっくり心ゆくまでイチャイチャしてくださいニヤニヤ。


「見つめ合ってると時間を忘れてしまうんだぜ」


 すまながってるけどいいんだよニヤニヤ。

 玩具にしてるだけだからね。


「さあ、ちょっと早いけど、お昼御飯食べに行こ」


 食堂へ。

 大将にワイバーンの卵を渡して注文する。


「ヒルデちゃんはどうだったかな?」

「はい、とても調子がいいです。私の身体じゃないみたいに自由に軽く動かせる感じです」


 わかる。

 あたしも初めてのデカダンス戦で急にレベルが上がったあとは、ちょっと万能感があったわ。

 ラルフ君も頷いている。

 うんうん、よかったねえ。

 思う存分デートしてください。


「すぐ慣れるよ」

「思う存分デートすりゃいいぜ」

「ヤバかった。ダンと全く同じこと考えていたよ」

「心が通じ合ってるからだぜ」

「口に出さないところがあたしの理性だなー」

「出してるのと一緒だからな?」


 掛け合いしてる間に、フワフワ卵焼きが来た。

 メッチャ美味そう。


「「「「「いただきまーす!」」」」」


 うむ、実に旨みが濃いなー。

 これいつでも食べられるようにならないかなあ。

 でもワイバーンを家畜化するのはさすがにムリがあるし。


「美味い!」

「とてもおいしいです!」

「喜んでくれて嬉しいよ」


 盛り合わせも来た。

 どんどん食べてね。

 せっかくだから聞いておくか。


「赤眼族でお肉って言うと、やっぱ家畜のお肉なの?」

「そうだぞ。ヤギ、ヒツジ、ニワトリだ」

「ウシとかウマとかは飼ってないんだ?」

「飼ってない」


 赤眼族は異世界から追放された部族で、他と関わりを持たないで孤立していたのだと仮定すると、ヤギ、ヒツジ、ニワトリは最初から飼ってたんだろうな。

 

「あたし達は結構魔物肉食べること多いんだけど、赤眼族はあんまり食べないの?」

「ユーラシアにもらったやつ以外食べたことない、と思う。あまり魔物は見ないんだ」


 ふーん?

 あの辺魔物いなかったけど、火事で散っちゃったんじゃなくて、他に何か理由があるのかな?


「ん? また良からぬことを考えてるのか?」

「良いことを考えているんだよ。赤眼族の村のフィールド、魔物一体も見なかったじゃん? 魔物を寄せない工夫があるのかなと思って」

「魔物除けの類じゃねえか?」

「かもね。今度教えてもらお」

「熱心だな」

「より安く設置できたりとか、魔物除けの札と二重にすることで確実性が増したりとかするかも知れないじゃん。魔物の居住区侵入による被害はなるべく起きて欲しくないからさ」

「おい、ミサイル。お前はもうある程度魔物と戦えるレベルだ。でも間違っても一人で魔物を相手にしようなんて気を起こすなよ?」

「そーだぞ? 必要なら手を貸してやるからね」

「わかった!」


 高レベル者を配置するのも必要だが、そもそも魔物など近寄ってこない方がいいのだ。

 赤眼族はうまいことやってるのかもしれない。


「赤眼族はさー、他の部族の人達とは全然交流ないの?」

「獣人はたまに見る」

「へー、獣人はオーケーなんだ。どうして?」

「獣人は敵じゃない。もふりたい」

「すげーわかる」


 確かにもふもふしたい。

 赤眼族であってももふもふの欲求には逆らえないのか。

 ……してみると獣人冒険者ゲレゲレさんは、『アトラスの冒険者』であることを明かさず、獣人として赤眼族にアプローチし、クエストを完了させた可能性が高いか?


「師匠は赤眼族と交流したいんですね?」

「仲良くして損することないし」


 聞いてるかミサイル。

 文化交流大事だぞ?


「……ミサイルもよく食べたけど、ヒルデちゃんも結構食べてない?」

「自分でもビックリしてます」

「レベルが上がると燃費の悪い身体になるんだぜ」

「なるんだぬ!」


 大笑い。

 健康の基本は食べるところからだよ。

 これでヒルデちゃんも問題ないだろ。


「師匠は午後、どうされるんです?」

「行政府行ってくる。あたしに遊んでもらいたそーなのがいるから」


 ミスティさんが言うには、どうやらパラキアスさんが待ち構えているらしいのだ。

 呼び出しされてるわけじゃないから急ぎじゃないだろうけど、何か動きがあったのかもしれない。

 あたしも新しく『アトラスの冒険者』になったクリークさんの息子がどんな子か、知っておきたいし。


「そうですか……」

「え? 何なの?」


 ラルフ君がガッカリしてるんだけど。

 もっとあたしに遊んで欲しいのか?


「いえ、ヒルデさんを緑の民の村に送ってもらいたかったんですよ」

「えっ? あ、そーか!」


 ラルフ君はカラーズへの転送魔法陣を持っていない。

 ヒルデちゃんを送るとなると、パーティーメンバーのムオリス君の『フライ』が必要になる。


「今日、ムオリスは実家に行っておりまして、帰りが遅くなるのです」

「気付かなかったわ。早く言いなよ。送ってくってば」

「恐れ入ります」

「お願いします」


 姫と若がぺこりと頭を下げる。

 いいんだよ、ラブラブしてろニヤニヤ。

 ただ今後ドーラ内の各地との交流は盛んになる。

 ギルドからカラーズ、カトマス、塔の村くらいは誰でも飛べるようになる方が都合がいいなあ。


「ごちそうさま。じゃ、お開きにしようか。クレソン分けとくね」


 ダンと別れ、フレンドで転移の玉を起動し帰宅する。

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