表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

831/2453

第831話:次の新人はアカン子の可能性

「う~まく~な~れる~りゆうをし~いった~た~れを~つ~けて~す~すめ~」

「バエちゃん好調だね」


 魔境で一稼ぎしてから、昨日の約束通り、チュートリアルルームに御飯を食べにきた。

 最近ここではかれえが多かったので、焼き肉は久しぶりだな。

 予定よりちょっと遅れたけど、シスターの絵ができ上がったので渡してある。


「どおしたって~けせないにおい~とまらないくちも~おにくの~ためにつよく~な~れるなら~」

「バエちゃん絶好調だね」


 今日のバエちゃんはえらくテンション高いな?

 さては……。


「ボーナスが出たんだね?」

「御名答! ユーちゃん、さすが!」


 ここ何ヶ月も実質脱落者が出ていないからということらしい。


「よかったねえ」

「ユーちゃんのおかげよ」

「ハッハッハッ、その通りだ! あたしを崇めるがよい!」

「崇めるぬ!」

「あははははは!」


 気分がいいなあ。


「先輩が新人の面倒をみるシステムが動き始めてるからなー。もうよっぽどのことがないと脱落なんてしないわ」

「もう、ユーちゃんったらすぐフラグ立てるんだから」


 アハハ、フラグ違うわ。

 いや、普通の子だったら大丈夫だぞ?

 とゆーかやる気のある子なら面倒みる。

 自宅警備員はいらん。


「イシンバエワさん。ダイコンの煮物がおいしいです」

「あたしも思った。これなかなか複雑な味がする。醤油と海藻と魚、それから甘味かな? ひょっとしてバエちゃんものすごく料理の腕上げた?」


 ぶんぶん首を振る。


「違うの。めんつゆを使ってるの」

「めんつゆ?」

「醤油ベースにいろいろ混ざった調味料なの。舐めてみる?」

「もちろんその挑戦を受けようじゃないか」


 ぺろ。

 ははあ、なるほど。


「旨みが強くてマイルドな醤油って感じだね」

「薄めればそのままスープにできる、というものなのよ」

「おおう、なるほど。普通の料理には醤油よりこっちの方が使いやすいかも」

「あたし達の世界ではすごく使われてるの」

「こっちではまだ醤油も普及してないんだよ。醤油よりもめんつゆ売る方がいいかな?」


 旨み成分を安く大量に抽出する手段があればだが。

 むーん、難しいな?


「バエちゃん、ありがと。これは検討すべき事案だわ」

「熱心ねえ」

「バエの姉貴! おかわりいただきやす」

「ミーもね!」

「はい、どうぞどうぞ」


 あれ、ダンテがおかわりって珍しいな。

 こってりお肉とさっぱり大根は相性いいからかな?


「ボニーもギルドまで来たんだよ」

「あら、早いじゃない」

「今となってはチュートリアルルームで躊躇してたのがバカみたい。チュートリアルルームで躊躇、もうちょっと語呂がどうにかならないものか」

「あはははは!」


 まあ心配ないだろうってことだ。


「ツインズ、ノブ君と組んで、四人で行動することになりそう」

「ノブ君って、ヨブさんの弟よね? 顛末は聞いたけど」

「あんちゃんもきっかけがあると変わるかもしれないけどね。今のままだとノブ君の足を引っ張っちゃうから。バエちゃんの給料のためにも、ノブ君が『アトラスの冒険者』の方がいいと思うよ」

「そうねっ!」


 簡単に同意するバエちゃん。

 あの四人は当分同一行動ってことになりそうだし、そこにヨブ君加わったって困らないだろうしな。


「ボニーの次の子はそろそろ決まるんだっけ?」

「あっ、今日『地図の石板』が発給されたの。まだチュートリアルルームへは来てないけど」

「移民から選ばれるんだよね? 忙しいから、来るの遅くなるかも」

「早く来てくれるといいのに」


 ボニー以前は皆転送魔法陣が設置された日の内に来たって言ってたしな。

 ちょっと心配してるのかな。


「何て名前の子? 明日の午後時間あるから見てくるよ」

「あっ、助かる! ちょっと待っててね」


 帳面みたいなものをチェックしてる。


「えーと一六歳の男の子で、名前はジークハルト・ミュラー」

「ミュラー……あれ? ひょっとしてレイノス住み?」

「うん、そう。ユーちゃんの知ってる人?」


 まさかの艦長クリークさんの息子でござる!


「予想外だったな。移民って言ってたから、貧しい人かと思ったんだよ。でもジーク君は元帝国軍少将の息子なんだ」


 クリークさんに息子は二人いた。

 一六歳であれば兄の方だろう。


「固有能力が『水魔法』と『能動』の二つ持ちなの。期待できるでしょ?」


 『能動』とはスタン無効だそうだ。

 『水魔法』も攻撃五属性及び白魔法の使い手よりもよほど少ないらしい。

 しかし……。


「……ヤバいな」

「えっ、何が?」


 バエちゃんがキョトンとする。


「その子と顔合わせてるはずなのに全然印象ないんだ」

「えっ? だから?」

「あたしが優秀な子を見逃すわけないじゃん。嫌な予感がする。たまたま固有能力二つ持ちなだけで、アカン子かもしれない」

「脅かすのはやめてよ」

「でもできる子は見ればわかるからな? 今回は期待しない方がいいよ」

「ええっ、困る!」


 少なくとも初日からチュートリアルルームに来る気はない子だ。

 固有能力二つ持ちを脱落させたとなると、ボーナス取り消しになっちゃうのだろうか?


「ボーナス取り消しになっちゃう!」

「あまりにも思った通り過ぎて笑える」


 バエちゃんアワアワしてるけど。


「固有能力持ちが有利なのは異論ないけど、偏重し過ぎてるんじゃないの? エルマの時もそうだったじゃん。ステータス値はもちろん、やる気とか大事だよ?」

「で、でもエルマさんには手を貸してくれたじゃない」

「エルマにはやる気も見所もあったからだよ。選定の時、遠隔で固有能力まではわかっても、それ以上のことはわかんないってことなのかな?」


 ダンの時、レベルもわかってなかったみたいだしな。


「あとから伸びる子の方が多いから、道徳心と固有能力以外は重視されていないというか」

「使えない子が『アトラスの冒険者』に選ばれて、現場の給料下げられたんじゃやってられないでしょ。やり方変えた方がいいぞ?」

「例えば?」

「候補者リストを出して、その中から現役の『アトラスの冒険者』が本人に実際に会ってみてスカウトするとか。あ、でもバエちゃんが育てたっていう功績がなくなるから、ボーナスは出ないのか」

「どっちも困るう~」


 案外難しいぞ?

 

「ごちそうさま。今日は帰るね。とにかくこの子は見てくるよ」

「うん、お願い。またね」


 転移の玉を起動し帰宅する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ